肉のD2C ブッチャーボックス 、BJ’s ホールセールクラブと提携:創業7年で初めて卸売に本格進出

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食肉宅配の新興企業であるブッチャーボックス(ButcherBox)は、7年間近くにわたってD2Cビジネス限定で事業を続けてきたが、初めての小売業に大規模に参入しようとしている。

同社は最近、ビージェイズホールセールクラブ(BJ’s Wholesale Club)とのあいだで卸売契約を締結した。会員制小売業者である同社は、ブッチャーボックスのグリルボックス(小売価格99ドル[約1万4000円])を自社の129店舗で販売する。「当社のオンラインのお客様がオフラインで買い物できるようにすることは、当社にとって新しい試みだが、この取り組みに大いに期待している」と、ブッチャーボックスの創業者でCEOを務めるマイク・サルゲロ氏は述べる。

同氏は、ブッチャーボックスが卸売への展開を決定したのは、Covidにより食品宅配市場に起きた一時的な売上急増が沈静化した後、大多数の人々が依然として店舗で食料品を購入していることが明らかになったからだといい、「当社は市場が存在するところで販売を行いたい」と語る。同社は店舗において、ギフトボックスや、ウェブサイトでは取り扱わない厳選された商品を販売することに重点を置いている。

ビージェイズホールセールクラブと提携

2015年に創設されたブッチャーボックスは、オンラインで十分な成長を維持できていたため、これまで小売業への参入に強く抵抗してきた。同社はブートストラップ経営で、42万5000人ほどのサブスクリプション加入者を抱え、昨年は約6億ドル(約846億円)の収益をあげた。同社が目標としているのは、近くの食料品店では買えないようなグラスフェッド(牧草で育てられた)の高品質な食肉を簡単に購入できるようにし、人々の自宅まで配送することだ。今回の卸売への参入を除いて、同社はサブスクリプションのみで販売を行っている。

新興企業である同社は、自社の食肉のメインバイヤーを通して、会員制の小売業者であるビージェイズホールセールクラブとつながった。このバイヤーはブッチャーボックスに入社する前、20年ほどビージェイズホールセールに勤務していた。ブッチャーボックスは、ビージェイズホールセールで販売を開始する前、チーズショップや、パントリー必需品販売店など、いくつかの食料品専門店で、専用フリーザーを使用して商品の販売を試みてきた。しかし、これらのパートナーシップは同社がめざしていた販売数量に達しなかったと、サルゲロ氏は語る。

ビージェイズホールセールでの販売促進のため、ブッチャーボックスはインフルエンサーを起用したキャンペーンをいくつか行っている。アフィリエイトマーケティングは、同社が2015年に創業して最初に投資したチャネルのひとつで、その初期に、栄養やフィットネスのインフルエンサーのあいだに熱心な支持者を獲得した。同社は現在、ポッドキャスト広告からTVコマーシャルまで、あらゆる媒体を使用している。

サルゲロ氏は、ビージェイズホールセールで買い物をするのはどのような顧客なのか、すなわち新規顧客が多いのか、既存の顧客が多いのかを知ることが主な目的であるという。また、新規顧客が中心であれば、「その商品を購入したあと、オンラインストアへの訪問も検討してもらえるかどうかも重要だ」と、同氏は述べている。

顧客のフィードバックを生かす

コンフルエンサーコマース(Confluencer Commerce)の創業者であるブライアン・ギルデンバーグ氏は、会員制の小売業者のなかでも、特にコストコ(Costco)は全国にプレゼンスがあり、地域的な購買構造を持っていることから、伝統的に「新しく優れた現地ブランドの実情を把握している」傾向があると語っている。これに対して、ビージェイズホールセールの店舗のほとんどは北東部と南東部に位置している。そのため同社の店舗は、「どちらかといえばすでに実績がある既存ブランド向け」だと、ギルデンバーグ氏は語る。また、経済が低迷するとき、ビージェイズホールセールは、日常的な食料品の買い物客を、通常よりもはるかに多く引き寄せることになる」とも同氏は言及している。

デジタルネイティブなブランドから見た会員制の小売業者の利点は、ブランドに対して「量販店よりも高級市場の買い物客により多くアクセスでき、多少裕福な客層にリーチできること」だと、ギルデンバーグ氏は述べる。また、多くの場合は買い物の金額も大きくなる。しかし、ブランドは通常、従来型の小売業者よりも低い総料率での販売を迫られる。

ビージェイズホールセールとの取引に加えて、新商品の展開も今年のブッチャーボックスの主な注目分野だと、サルゲロ氏は語る。ブッチャーボックスは長年にわたってグラスフェッド食肉で知られてきたが、ホットドッグやエッグバイトなどの調理済み食品も増やしていく。「当社は常に、ブッチャーボックスの真の価値は、顧客のボックスに追加商品を加えることにあると信じてきた」と、同氏は述べている。

ブッチャーボックスは、加入者からのフィードバックをもとに、さまざまな工夫を行ってきた。たとえば、同社がペット用フードの販売を開始したのは、顧客から「ペットに与えるフードにもこの品質の商品があれば素晴らしいと思う」という声を聞いたからだと、同氏は述べている。

またサルゲロ氏は、顧客の嗜好が多様化するなか、これは加入者を維持する重要な方法になると見ている。この数カ月はインフレも減速しているが、顧客は出費のしかたについて「より慎重に」なっていると、同氏は語る。

「自社で起きているすべての会話の中心を会員に置くことに、十分な注意を払う必要があると思う」と、同氏は述べ、さらに「会員は自社を使用してくれているが、ほかの選択肢もあり、別の場所にいくかもしれないことを忘れるべきではない」としている。

[原文:ButcherBox launches in BJ’s Wholesale Club]

Anna Hensel(翻訳:ジェスコーポレーション 編集:)
Image via ButcherBox

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