「メディアプランからパブリッシャーを消し去ることも…」:Cookieの使用許諾に関する、あるマーケターの告白

DIGIDAY

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一部のマーケターにとって、サードパーティCookieの喪失は待ったなしの問題だ――しかも、先日イービクイティ(Ebiquity)とクッキーボット(Cookiebot)が実施した調査の中身が真実の場合はなおさらだ。

騒動の発端は、広告トラッカーがGDPR(EU一般データ保護規則)に反し、依然として欧消費者のデータを同意なく収集していると報じた件の報告書だ。当然、マーケター勢は懸念を露わにし、なかには答えを求めて自ら調査に乗り出す企業もある。

匿名を条件に本音を語ってもらう告白シリーズ。今回は、広告主であるグローバル企業のチーフメディアオフィサーが、これから進める調査の結果、最悪のシナリオが現実となった場合にどう対応するのか、語ってくれた。なお読みやすさを考慮し、以下のインタビューには編集を加えてある。

――報告書を読んで驚いたか?

もちろん驚いた。そういった不正に関しては、まだ多少は存在すると想像していたが、報告書にあったほどの数は予想外だった。てっきり、そういう類はGDPRが一掃してくれたとばかり思っていた。そもそも、我々が抵触しているかさえわからないし、いまは正直恐ろしくて仕方がない。誰が不正を正してくれるのかも不明瞭な状態だ。

――報告書の内容を受けて、パブリッシャーに投じた広告費を引き上げるつもりは?

現状では何ともいえない。解明するべきことが山ほどある。EUの当局が動くかどうかもまだ定かじゃないし。我々にできるのは、とりあえず同意に関するミスや合法であるはずの違法データ収集が、本当に報告書にあるほど頻繁に起きているのかどうか調べる以外にない。いまのところは様子見の姿勢だ。

――つまり、独自に調査をはじめると?

そうだ。こうした問題の解明に際して、現状を評価するユニバーサルな尺度がない以上、自ら監査をする以外に手はない。そこで我々はいま、専門家と話を詰めている。もちろんこの報告書の作成者は、調査結果をめぐるパニックを利用して、自社のサービスにより多くの関心を集めようとしている可能性もある。しかし、早急な対応が必要な状況であることは間違いないし、見通しが立たないというのはストレスが溜まるだけだ。

――調査の結果、即刻の対応が必要となったら?

我々にできるのは、メディアエージェンシーに対し、問題が起こっている媒体には広告を掲載しないよう指示することだけだ。そうなると、多額の資金を引き揚げる必要があるだろう。なにせ、広告主が広告枠を買っている有力サイトは1000に上るし、その実に半数が同意のないCookieで溢れている。しかし、もしこうした対応を実際に行うとすると、我々は非常に難しい状況に置かれる。メディアプランから、パブリッシャーのメディアを消し去ることになるからだ。しかもその場合、残される選択肢はただひとつ――引き上げたその金を、いわゆるウォールドガーデンに投じるしかなくなる。もちろん、まだ行動は起こしていない。いずれにせよ、パブリッシャーに投じる費用を引き上げるか否かの決断を下す前に、まずは徹底的な監査を実施したい。これは、是正できない問題ではないはずだ。それにはまず、人々が共有することに同意したCookieの使用が、どれほど危険なものかを知る必要がある。

――ウォールドガーデンに広告費が流れることについてはどう思う?

あまり気分は良くない。実際我々は、これまでその反対のことをしてきたのだから。しかし結局、彼らのもとに無理やり戻される気がしてならない。マーケターとしては、やるも地獄、やらないも地獄、という感じだ。

――しかし、事態を放っておけばおくほどリスクは高まる

それはそうだが、監査の結果、万が一我々も問題に巻き込まれていると判明した場合に、そうした変化を行動に移すための然るべき予定をいま立てるのは、早計に過ぎる。ただ、2022年1月前にメディアプランに何らかの変更を加える可能性はきわめて低い。加えるとすれば、2月近くになる可能性が高い。それなら、メディアオーナーたちに問題を是正する時間を与えられる。それがさほど大変なことだとは思わない――Cookieをひとつのページから別のページに移すのは、メディアオーナーたちにしてみれば、コピペのようなものだろう。ほんの数週間で、多くのメディアを個人情報保護法に則ったものにできるはずだ。ただし、あくまでもそれは、我々が金を引き上げると脅したならば、の話だが。

――それは一時的な解決でしかないのでは?

そのとおり。我々が本当に知りたいのはEUの方針だ。彼らがこれを問題視するのかどうか、特にIABテックラボ(IAB Tech Lab)のトランスペアレンシー&コンセントフレームワーク(Transparency and Consent Framework/透明性と同意の枠組、の意)に照らし合わせてどう考えるのか、そこが知りたい。これまでGDPRによる規制幅はかなり狭いものだった。つまり解釈が許されるグレーゾーンがかなり広い、ということだ。あの報告書が暴いた諸々は明快であり、是正を促す意図がはっきりと感じられるが、かといって当局が行動を起こし、パブリッシャー勢とアドテク企業勢に責任を負わせるとも限らない。問題は、デジタルプラットフォーム勢だけが当局の規制に沿った現在の道を進み辛くなるように思える点だ。

――広告業界のなかで、非難合戦がはじまるのでは?

厄介なことになると思う。みんなが責任のなすりつけ合いをはじめるだろう。

[原文:‘That’s a lot of money that would need to be pulled’: Confessions of a marketer on cookie consent snafu

SEB JOSEPH(翻訳:SI Japan、編集:村上莞)

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