米Glossyはニューヨーク5番街にあるアロヨガ・サンクチュアリー&スタジオ(Alo Yoga Sanctuary & Studio)にて、2月に会員限定イベントとなるエグゼクティブ・ラウンドテーブルを開催した。ファッションや美容のブランド、小売業者、代理店のエグゼクティブたちが集まり、現在のマーケティングの課題と機会について議論し、ソーシャルプラットフォームのナビゲーションとブランドコミュニティの構築に関する多くの対話がなされた。
以下は、3つの主要トピックのハイライトである。
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コンテンツ・プラットフォームのロイヤルティ
TikTokのような新しいプラットフォームが定額課金制モデルを導入すると、顧客はコンテンツがまだオーガニックに感じられるほかのプラットフォームに焦点を移すかもしれないと、複数のエグゼクティブが指摘している。またエンターテインメント性の高い、洗練されていないソーシャルコンテンツを作成するという課題と、顧客が作成したコンテンツを活用する機会についても議論された。
アロヨガのCMO、アンジェリック・ヴェンデッテ氏は次のように述べた。「個人が定額課金制で自分のコンテンツを促進できるという概念は、インフルエンサーやUGCを利用するブランドにとって、非常に興味深い将来の戦略を切り開く。それはすばらしいことだ。私たちのコミュニティが、もし人々が投資しているものなら、より多くの注目を集めることができるからだ。また、一般的に物事の反対の側面として、かなりの投資をしてきた特定のブランドはビュー数が減少するかもしれないが、平等な競争の場があるのも非常によいことだ」。
「そこで宣伝されているものは実際に人々が見たいものではないということを、インスタグラムのフィードで目にしてきたように、TikTokからさらに離れるようになる世代もいるかもしれない」と、ある美容コングロマリットのエグゼクティブは述べた。「多くの人々、特に若い人たちがインスタグラムから離れ始めているのを目の当たりにしている。多くの若者にとってインスタグラムがそうなっているように、TikTokはハイライトリールになるのだろうか」。現在そのブランドでは、より親しみやすいブランドにするために、スタッフを起用した動画に注力しているという。
「(ソーシャルプラットフォームの)課題のひとつは、ブランドの観点から、成功を測るためのKPIの違いを把握することだ」と、あるインディー美容ブランドのエグゼクティブは述べた。「また、リアルであることに対するニーズと、多くのZ世代がありのままを公開したいという願望を結びつけると、ビーリアル(BeReal)についても本当に興味がある」。このブランドでは現在、ASMRコンテンツとTikTokのフィルターなしのコンテンツに注力しており、ブランドにとってよいパフォーマンスをしているという。
デ・インフルエンシング
TikTokでのデ・インフルエンシングのような新しいトレンドは、バイラリティを求めてこのプラットフォームに依存している中小企業にとって懸念材料となっていることが判明している。だが、製品がバイラルになればなるほど、インフルエンサーが代替品を探し出して、製品が否定される可能性は高くなる。
あるエグゼクティブは、「中小企業やスタートアップ企業は神経質になっている」とオフレコで語った。誰かにプレゼントをする場合、企業はその人がTikTokで自社のマスカラやクレンジングの悪口を言う投稿を作成し、それがバイラルになることを望んでいない。小さなブランドは、このトレンドをどう乗り切ればいいのかと問いかけている。
「小さなブランドについてはあまり心配していない。なぜなら人々がデ・インフルエンシングをしようとする類の製品で、これまで目にしてきたものは、誰もが話題にしていてカルトになっているバイラルな美容やファッションの購入品だったからだ」とあるエグゼクティブは述べた。「ゴミ箱に入れても問題ないのは、力のあるブランドだと人々は考えている」。
オンラインで親密なコミュニティをセグメント化する
最後に、アロヨガのようなブランドは、Web3やデジタル空間においてこれらのプラットフォーム上でセグメント化されたマイクロコミュニティに語りかけることで進化を続けている。
「それぞれのアカウントで、かなり多くの違ったタイプの人々の共感を呼ばなくてはならない」とヴェンデッテ氏は言う。「また、プラットフォームごとに異なる戦略を立てるべきだ。セカンドライフ(Second Life)は年齢層が高いデモグラフィックなのに対して、Robloxは年齢層がずっと低いので、それぞれ違う形で語りかけることができる」。さらに彼女は、アロヨガが異なるユーザーに対応するために複数のDiscordチャネルを持っていると指摘した。
Twitterやレディット(Reddit)のようなテキストベースのプラットフォームは、Web3コミュニティが人気を高める手段となっており、改めて関心を集めている。
「いまでもTwitterのスペースで毎週あるいは毎日ライブをやっている人が大勢いる」とヴェンデッテ氏。「そこには、本当に協力的なコミュニティがある。アロはTwitch(ツイッチ)でもライブストリームを配信しており、YouTubeにはオンデマンドとキュレーションされた動画の両方のコンテンツがある。どのチャネルがオーディエンスにヒットするか、優先順位をつける必要がある」。
WhatsApp、Slack、Discordのようなインスタントメッセージングプラットフォームを通じて、クライアンテリング(優良顧客管理)スタイルのコミュニケーションがより一般的になりつつある。「私のクライアントはWhatsAppのクライアンテリングを活用しているが、実際には新しいことではない。また、SlackやDiscordを使ってコミュニティを作り、さらに深い会話ができるようにもしている」と、あるエグゼクティブはオフレコで語った。
だが、ブランドコミュニティのファネルから外れてしまうデモグラフィックも、いまだに存在する。
「私のクライアントは、35歳以上の忙しい母親をターゲットにしている」と、あるファッションエージェンシーのエグゼクティブは述べた。「クラインアントはコミュニティを作ろうとしているが、反応が得られない。この層はSlackやDiscord、インスタグラムにはいないし、TikTokもあまり利用していない。これらのプラットフォームをうまく使っているクライアントもいるが、それはどこにフォーカスしているかによるのだ」。
ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)