「ブランドのストーリーに命を吹き込む場だ」:カナダグース社長キャリー・ベイカー氏、加速するD2C事業を語る

DIGIDAY

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高級アウターウェアブランドのカナダグース(Canada Goose)は、D2C(ダイレクト販売)に焦点を当てた未来に大きく賭けている。

カナダグースは、5カ年戦略計画の一環として、2028年度までにD2C事業が収益全体の約80%を占めるようにする計画だ。同社は現在、既存の実店舗を51店舗保有しているが、オムニチャネルをさらに発展させるため、これを倍増させる予定だ。また、消費者向けのデジタルプラットフォームを担当する初のチーフ・デジタル・オフィサーを採用する予定だ。

D2Cモデルは、より高い利益を確保できる可能性を持っている。第3四半期は、5億7670万カナダドル(4億2410万ドル/約578億円)のうち、4億5020万カナダドル(3億3110万ドル/約451億円)とD2Cが売上全体の大半を占めた。売上総利益率は72.2%で、同四半期に160ベーシスポイント上昇した。一方、卸売収入は1億1440万カナダドル(8400万ドル、約114億円)だった。同社の製品は、ノードストロームやサックス・フィフス・アベニューなどの店舗で販売されている。

カナダグースはこの数年、D2C戦略を練り上げてきた。カナダグースのプレジデントであるキャリー・ベイカー氏は、同社の戦略は、消費者が何を必要としているか、どのようにすれば消費者に最適なサービスを提供できるかによって導かれると話す。これまでのところ、同社はeコマースと実店舗に、「等しく」投資してきたと同氏は述べた。

米モダンリテールは、カナダグースのD2C戦略とアクションプランについて、ベイカー氏に話を聞いた。インタビューは、長さとわかりやすさのために編集を加えた。

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――D2C戦略を進めてきたなかで、カナダグースが学んだ最大の教訓は何か?

目的は商品を売ることだけではなく、それは、実に体験を作り上げることにある。ありがたいことに、カナダグースは純粋なメーカーであったときから、常にこの点に重点を置いてきた。

オンラインであれ、店舗であれ、D2Cはカナダグースのストーリーに命を吹き込む場である、ということが最大の学びだと考えている。

――D2C事業を加速させるために、カナダグースの店舗はどのような役割を担っているのか。

我々の持つチャネルは、それぞれ重要な役割を担っているが、それぞれ異なるものだと思っている。また、補完的でもある。eコマースについて考える際、人々が通常リサーチをするのはそこでもある。

(eコマース)は、消費者の需要がどこにあるのかをいち早く読み取ることができる。そして、店舗に足を運べば、それは最高の体験となる。没入感を生み出すのだ。

そこは、人々が我々のブランドを好きになる場所でもある。eコマースと同様、発見し、学びを得るが、触感がある。ブランドが象徴するものをすべて目にするチャンスなのだ。

我々は、それが効果的であることを知っている。人々はブランドを体験するために店舗を訪れ、そして、何度も足を運んでくれるのだ。

そして我々は、需要がどこにあるのか、そして、それがオンラインではどうなっているのかを見ている。それが、どこに出店するかという判断材料になるからだ。

――チーフ・デジタル・オフィサーという役割が加わることで、会社の運営にどのような影響があるのか。

我々は、消費者と接するデジタルプラットフォームがどのようなものであるかという点において、常に改善していきたいと考えている。それは、eコマースだけでなく、また、オムニチャネルだけでもない。ソーシャルセリングのようなものだ。

我々はこのように、さまざまなデジタル・チャンネルを活用することができるのだ。

2つめは、ビジネス全体にデジタルの考え方を浸透させるということだ。つまり、消費者向けのチャネルを成長させるだけでなく、ビジネスをどのように進化させるかということだ。60年以上の歴史を持つ企業として、これまで当たり前だと思っていたことを、どのように変えていくのか、ということでもある。

――御社は中古再販プラットフォームを立ち上げたばかりだ。それは、D2Cのエンゲージメントを促進するために、どのような効果があるのか。

第一に、我々はこのプラットフォームに適しているということ。二つ目は、我々は再販が盛んであることを知っているということだ。

カナダグースについて、「中古品」で検索していたり、「pre-loved」(中古、の意味)で検索していたり、どのような言葉であれ、昨年は人々が検索する数が大幅に増えた。これには非常に興奮している。多くのブランドがそうであるように、中古品はあまり確立されたチャネルではないので、学習曲線が必要となるだろう。

米国は我々にとって大きな市場なので、まだテストしているところだ。しかし、同じ製品を別の方法で利用するという、新しい方法であり、顧客を魅了する素晴らしい方法なのだ。

現在はまだ、オンラインのみの取り組みだ。では、店頭で提供するチャンスはあるのだろうかというと、それは、もちろんある。しかしその前に、消費者の行動を理解し、プロセスに関する問題を解決することが不可欠だ。

[原文:Canada Goose president Carrie Baker on the company’s DTC transformation]

Maria Monteros(翻訳・編集:戸田美子)
Image via Canada Goose

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