潜在顧客が動く「 TikTok売れ 」、いかに再現べきか?:要点まとめ

DIGIDAY

TikTok売れ」という言葉が、いま世の中を賑わせている。

2021年9月27日、グロバールでMAU10億人を達成した、TikTok。昨今、この「TikTok売れ」という言葉が広く報道され、「日経トレンディ2021年12月号」で発表された「2021年ヒット商品ベスト30」で、見事1位を獲得した。

スマートフォンの普及以降、伸長目覚ましいデジタル広告業界では、活況に湧く反面、一部プラットフォームによる寡占が国内外で問題視されている。そんななか、このショートムービープラットフォームは2021年、「TikTok売れ」という現象を通して、デジタル広告業界の第三極としても、俄然注目を集め始めた。

「TikTokきっかけでものを買って、TikTokでそれをシェアする。TikTokは、そういったコマースに影響を与えるような場所になっている」と、TikTok For Business Japanの駒﨑誠一郎氏は語る。「グミから書籍、不動産、化粧品、高級車まで、2021年、TikTokがきっかけとなり、いろんなものが売れた」。

本記事では、2021年12月8日にザ・リッツ・カールトン東京で開催された、DIGIDAY BRAND LEADERSにおける駒﨑氏のセッション「潜在顧客が動く『TikTok売れ』。その正体とは?」の要点をまとめていく。

TikTok For Business Japanの駒﨑氏

主なキーポイント:

  • 2021年11月発売の「日経トレンディ2021年12月号」で発表された「2021年ヒット商品ベスト30」で、「TikTok売れ」が1位になった。
  • 「TikTok売れ」とは、TikTokをきっかけにユーザーが商品を購入し、それをさらに自分もTikTokで紹介するという新しい購買行動のこと。お菓子から高級車まで、あらゆる価格帯の商品が売れている。
  • この「TikTok売れ」という現象は「#購入品紹介」というハッシュタグに象徴される。これは同プラットフォーム内における人気コンテンツで、国内では視聴数が14億回を超えるという。ちなみに、海外では「#TikTokMadeMeBuyIt」というハッシュタグが愛用され、こちらは70億回以上の視聴数を誇る。
  • TikTok独自の「おすすめ視聴」がユーザーと商品の新たな出合いを生み、潜在的な需要を刺激している。

「TikTok売れ」のメカニズム

TikTokがほかのプラットフォームと決定的に異なる点がひとつある。それは、「フィルターバブル」を生みにくいということだ。この特徴が「TikTok売れ」に大いに関係してくる。

既存のテクノロジープラットフォームは、検索であれフォローであれ、その設計理念に通底しているのは、顕在ニーズに応えるという点だ。そのため、「知りたい」と思う情報ばかりが集まってきて便利になる反面、それ以外の情報が遮断されてしまう。いわゆる、これが「フィルターバブル」だ。

もちろん、このショートムービープラットフォームにも、検索やフォローという手段は存在する。しかし、TikTokでは、それよりも「おすすめ」というレコメンドフィードの方がユーザーに愛されているという。おすすめとは、TikTokのレコメンドシステムが、ユーザーの嗜好やプラットフォーム上でいま流行っているものなどの情報をかけ合わせ、ユーザーのフォロー内外を問わず、「ユーザーが好むであろう」投稿をおすすめしてくれる機能だ。

TikTok売れ」の仕組み

「これは、従来のルートでは出会えなかった『次に好きなもの』に出会えるということ」と、駒﨑氏は説明する。「ニューノーマルの時代、変化の過渡期を迎え、これまでより新しいものに飢えているユーザーに対して、TikTokでは既視感のある情報ではなく、『これから興味を持てるもの』との出会いを提供できる」。

おすすめ視聴という「魔法」

駒﨑氏によると、世界のTikTokユーザーの8割が、このおすすめフィードを視聴。日々そこに費やされる時間は、平均67分以上にも上る(自社調べ、2021年7月時点)。しかもそれは、音声がON、全画面表示という状態だ。そのため、「ながら視聴の割合は9%しかいない(主要プラットフォーム3社平均比、データ出典:*Media Science research 2021.TikTok marketing science study)」という。

「この集中した状態でおすすめ視聴をしているため、思わぬ出合いがユーザーの潜在需要を強く刺激し、気持ちが動く。結果『TikTok売れ』が生まれる」と、駒﨑氏。「ユーザーを顕在層・潜在層・無関心層と分けた場合、従来のデジタルマーケティングは顕在層ばかりをターゲットしてきた。しかし、TikTokならおすすめ視聴を通して、潜在層にアプローチできる。そこがTikTokの一番強いところだ」。

おすすめ視聴という「魔法」

TikTokのおすすめでは、ユーザーが意図しない、さまざまな情報がシームレスに紹介される。しかも、その動画は短尺のため、情報がギュッと凝縮されているので、スキマ時間にぱっと見ても楽しめる、情報を吸収できるようになっているのだ。TikTok広告は、そのなかにネイティブに挿入される。だからこそ、心に残りやすい。

「広告について、TikTokとほかのメディアと比較したときに、1.5倍ほどより心に残りやすいという調査報告もある(データ出典:*Media Science research 2021.TikTok marketing science study)」と、駒﨑氏は補足する。「これはつまり、『全然知らない人の話は、やっぱり面白くて端的で分かりやすいほうがいい』ということではないか」。

「TikTok売れ」を生み出す方法

では、この「TikTok売れ」を意図的に生み出すことは可能なのだろうか? 「これは我々も日々試行錯誤している最中だ。なので、『これをやれば確実に売れる』ということは言いにくい。しかし、結果が出たやり方というのは、共有できる」と、駒﨑氏は語る。そんな「TikTok売れ」を意図的に生み出すアプローチはふたつあるという。

TikTok売れ」を生み出す方法

ひとつは、広告+クリエイターを使った、フルファネルアプローチ。これは、広告を通じて、ブランド視点のユニークなメッセージを発信するだけでなく、さらにクリエイター視点でさまざまな階層のユーザーへメッセージングしていくという手法だ。TikTokのユーザーはリアクティブ(反応が早い)なため、ブランドメッセージとクリエイターメッセージでユーザーを挟み込むと、コメント欄などを通して情報がめぐり、「TikTok売れ」につながりやすいという。

もうひとつは、トレンドの芽を捉え、広告で増幅するアプローチ。TikTokはトレンドの震源地と呼ばれていて、日頃からちょっとしたトレンドの芽というのが次々と生まれている。これは、そうしたトレンドをウォッチして、つかまえて、広告を使って増幅させていくというやり方だ。こうすることで、そのトレンドをブランドが所有することができるという。なかにはこの手法で、800万再生を超えた結果を生み、商品の売り上げも安定継続していった事例もあるのだそうだ。

「おすすめ視聴と広告の併用が、TikTok売れのポイントだ」と、駒﨑氏は締めくくる。「これらを通して、パートナー企業の商品との新しい出会い・会話をブーストして、TikTok売れを再現していきたい」。

Sponsored by TikTok For Business Japan

Written by DIGIDAY Brand STUDIO
Photo by 渡部幸和(人物)
Illustration by IVY LIU

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