バーバリーとリシュモンの決算が示す、日本の ラグジュアリー 市場への新たな依存

DIGIDAY

バーバリーとリシュモンが1月18日に発表した第3四半期決算によると、ブランドは日本をAPAC地域における強力な中間市場とみている。この地域の代表的なトップ市場である中国での売上は、Covidによる強制的なロックダウンとそれに関連したショッピングへの障害により、12月末までの期間に減速した。

バーバリー(Burberry)とリシュモン(Richemont)が1月18日に発表した第3四半期決算によると、ブランドは日本をAPAC地域における強力な中間市場とみている。この地域の代表的なトップ市場である中国での売上は、Covidによる強制的なロックダウンとそれに関連したショッピングへの障害により、12月末までの期間に減速した。1月8日、中国は3年ぶりに国境を再開すると発表したが、現地のラグジュアリー市場が回復するまでには時間がかかるだろう。

中国とは異なる日本のラグジュアリー市場

だが、ブランドが日本市場を活用するには、中国とは異なるアプローチを取る必要がある。マッキンゼー(McKinsey)の2022年東アジア・ラグジュアリー消費者調査(2022 East Asia Luxury Consumer Survey)によると、日本の消費者は依然としてオフラインのチャネルや販売員との関係を重視している。これに対し、中国の消費者の80%はオンラインでの購入を好む。スタティスタ(Statista)によれば、2022年のラグジュアリー商品市場全体のうち中国が17%を占め、日本は7%だった。同コンサルティング会社は、日本のラグジュアリー市場は2025年まで毎年およそ4%成長し、そのほとんどが若年富裕層の買い物客に牽引されるだろうと予想している。コンサルティング会社のベイン(Bain)は、2030年までにラグジュアリー消費者の40%を中国が占めるとしている。

バーバリーは、日本は同ブランドにとって成長中のAPAC市場であり、前年比28%増となっていると報告した。2019年には中国大陸がバーバリーの売り上げ全体の40%を占めていたが、たび重なる製品配送の遅れやCovidの再拡大のために、この地域の売上の予測と計画が困難になり、第3四半期は25%となっている。

2023年4月までバーバリーの最高財務責任者を務めるジュリー・ブラウン氏は、12月に中国での客の出足が落ち込んだことに関して、「中国の疾病予防管理センターからデータを入手したところ、感染率がおよそ70%とされていた」と決算説明会で説明した。「これによって12月の取引はすぐに不安定になった。来店者数だけでなく、顧客アドバイザーの稼働率にも大きな影響を及ぼしたため、12月は中国での四半期で最悪の月となった」。この件について同ブランドにコメントを求めたが、返答は得られなかった。

重要なAPAC市場としての日本

クロエ(Chloé)やカルティエ(Cartier)などのブランドを傘下におさめるリシュモンでは、日本が引き続き成長を牽引しており、この地域での売上高は前年同期比43%増となった。一方、決算報告によれば、中国大陸での売上は24%減少している。

ファーフェッチ(Farfetch)にとっても、日本は重要なAPAC市場となっている。「中国と比較すると、日本のオーディエンスはやや年齢層が高く、男性顧客の割合が高い」と、ファーフェッチのグレーターチャイナおよびAPACバイスプレジデントのアレクシー・ボノム氏は言う。「日本の顧客は非常に洗練されていて、独自のマーチャンダイジングや体験を求める『プライベートクライアント』の割合がかなり高い」。プライベートクライアントとは、年間1万2000ドル(約156万円)以上消費する、ファーフェッチのVIP顧客を指す。ボノム氏いわく、日本の顧客は、インド人デザイナーのドゥルーフ・カプール氏のような、若い才能あるデザイナーが手がけるメンズウェアブランドのファンだ。カプール氏は、1月16日にミラノ・メンズファッションウィークで2回目のコレクションを発表した。彼の最大のカスタマーベースは日本だ。

オフラインのアクティベーションが重要

年配の顧客向けの比較的地味なラグジュアリーブランドにとって、日本は長いあいだ、ターゲット市場となっている。イタリアのラグジュアリーブランド、マルニ(Marni)は2000年に日本初の店舗をオープン、最近では、2023年秋のランウェイショーを2月1日に東京で開催する予定だ。CEOのバルバラ・カロ氏いわく、日本市場は同ブランドの売上全体の23%を占める。12月には、マルニが2年以内に国内2店舗目となる旗艦店を東京にオープンする計画があると報じられた。その店舗は、クリエイティブディレクターのフランチェスコ・リッソ氏が昨年6月にミラノで初めて発表した新しいストアコンセプトに基づくものとなる。

日本はまた、オフラインのアクティベーションがいまも重要な市場だと、ボノム氏は指摘している。「日本で成功しているブランドは、デジタルキャンペーンで店内でのアクティベーションやイベントを宣伝するという、オンラインからオフラインへのキャンペーンにかなりの投資をしている。また、クリエイティビティと商業性のバランスを巧みに保ち、顧客と関わっている」と述べた。その一例として、ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)は昨年末、日本初のカフェ、ル・カフェ・ヴィー(Le Cafe V)を大阪にオープンしている。「一方で日本のラグジュアリーの買い物客は、eコマースプラットフォームやソーシャルメディアチャネルを主な情報源とみなし、ブランドの公式ウェブサイトを通じてブランドと交流したがる」とボノム氏は述べている。

[原文:Burberry and Richemont earnings show new reliance on Japanese luxury market]

ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)


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