プログラマティック広告業界は、「私の空飛ぶ車はどこだ?」という瞬間を迎えたのかもしれない。 広告購入の自動化は、手作業で掲載申し込みを出す時代から市場を前進させたが、プログラマティック広告はその約束を果たそうとしているの […]
プログラマティック広告業界は、「私の空飛ぶ車はどこだ?」という瞬間を迎えたのかもしれない。
広告購入の自動化は、手作業で掲載申し込みを出す時代から市場を前進させたが、プログラマティック広告はその約束を果たそうとしているのか、それとも進歩のペースが鈍化しているのだろうか?――これは米国カリフォルニア州パームスプリングスで5月に開催された米DIGIDAYのProgrammatic Marketing Summitで、グループエムネクサス(GroupM Nexus)の北米担当プレジデントであるジヨン・キム氏が、プログラマティックマーケターたちに投げかけた質問だ。
キム氏は「(プログラマティック広告の)イノベーションに関しては、私たちはアクセルから足を離しているようなものだ」とステージ上で語った。つまり、プログラマティック広告は、マーケターがオンラインで人々にリーチする主な手段となり、「私たちは、これをどう使えば広告がよりよくなるかを理解するために、懸命に努力することをやめてしまったのだ」と同氏は言う。
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自動化のその先
プログラマティック広告の停滞はプログラマティック人材の未来に影響を与える可能性がある。「プログラマティック、デジタル、ソーシャル、検索に関わることはかつて、とても刺激的でクールなことだった。もし私たちが何百万もの人々にリーチできることをよりどころとするのであれば、それはもう刺激的なことではない」とキム氏は言う。また、「自動化されたツールのおかげで、コンピューターに仕事を任せることが容易になった今こそ、経験によって身に着けた技能を再び重視すべきだ」と呼びかけた。
「マシンを使えばいいというものではない。なぜなら、皆が同じマシンを持っているためだ。クライアントのよりよいキャンペーンと競合他社のキャンペーン、よりよい配分とそうではない配分。その違いを生み出すのは、まさに人間が下す決断だ」。
さらに、「イノベーションが必要な分野のひとつが広告クリエイティブだ」と、キム氏は言う。測定も挙げたが、「おそらく、クリエイティブの方がもっと必要だと思う。あまり時間をかけていないような気がするためだ」と強調した。
コホートベースと個人ベースのハイブリッド
メタ(Meta)のような企業は、画像やコピーのバリエーションといった広告主が提供するアセットをベースに、その場で広告枠をつくり上げるダイナミッククリエイティブオプションを展開しているが、そうしたツールは自動化された塗り絵のようなものだ。キム氏が求めているのは、広告露出とその後に至る一連の出来事など、クリエイティブの参考になるようなインサイトを増やすことである。
「あるモデルやコホートにおいて、一連の行動や資質が何を意味するかを予測したり、ほぼ理解できるようになったりすることを想像してほしい。かなり面白い空間だ」とキム氏は語りかけた。「そして、それがChatGPTや多くのAI(ツール)の本質的な姿だ。さまざまなアウトプットの可能性があり、時間をかけて観察した結果に基づき、最適な組み合わせの反応を選択してくれる」。
コホートベースの広告は一般的に、それほど進歩していないと考えられている。少なくとも、1対1の広告ターゲティングに比べると、あまりパーソナライズされていないかもしれない。しかし、キム氏はアウトドア愛好家などの大まかなカテゴリーに人々を分類するだけではなく、ほかの情報に重ね合わせて詳細な文脈をつくり上げ、コホートベースと個人ベースのハイブリッドを目指す高度なバージョンについて概説した。
「アウトドアに出かける前後は何をしているのだろう? どれくらいの頻度で出掛けるのか? どこに住んでいるのだろう? 誰かと行くのだろうか? それとも、ひとりで行くのだろうか?」とキム氏は問いかける。「これらすべてが、エンゲージメントの予測精度を大幅に高めてくれる(中略)それは、気味悪く聞こえるかもしれないが、それほどではないだろう」。
[原文:GroupM’s JiYoung Kim calls for programmatic innovation and cites creative as an area in need]
Tim Peterson(翻訳:米井香織/ガリレオ、編集:島田涼平)
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