ファストファッションのシーイン、再販プラットフォームを開設:「環境破壊」からのイメージ刷新

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ファストファッション大手のシーイン(Shein)は、その規模の大きさと環境への影響に対する批判の高まりを受け、米国の顧客向けに再販プラットフォームを開設する。

顧客が過去に購入した商品をほかのユーザーに販売できるアプリ内プラットフォーム「シーイン・エクスチェンジ(Shein Exchange)」は、10月17日にローンチした。シーインのサステナビリティ担当ディレクターであるケイトリン・ワトソン氏は、米モダンリテールに対し、シーインが繊維廃棄物に関心がないという誤解を解くとともに、ユーザーに循環型経済への参加を促すことが目的であると語った。

「ファストファッションを嫌う人たちが、我々をこの運動に参加するという重要なことから遠ざけるようなことをさせるつもりはない」とワトソン氏は話した。「ファストファッションを嫌う人たちのせいで、我々がこの運動に参加できないのは納得がいかない。この運動に参加することで、多くのポジティブな影響が考えられる」。

このプラットフォームは、米国のアプリの英語版とスペイン語版で開始され、来年にはほかの市場にも拡大する予定だ。

批判にさらされてきたシーイン

14年の歴史の中で、シーインは婦人服の企業から、アクセサリー、紳士服、家庭用品を扱う多面的な小売業者へと成長してきた。2021年にはダウンロード数トップのiPhoneアプリとなり、ファストファッション市場をけん引する存在となった。調査会社アーネスト(Earnest)によると、2021年1月に13%だった市場シェアが、同年半ばには約28%に拡大した。また、ワトソン氏はは、シーインのSKUの数を正確には公表していないが、1日に1000以上のアイテムを発売していると強調した。

ファストファッションが環境に与える影響に対する意識が高まるなか、シーインは頻繁にその標的にされるようになった。ブランドの倫理的で持続可能な活動を評価するアプリであるグッド・オン・ユー(Good On You)は、シーインを「最悪の中の最悪」と呼んでいる。今夏、再販プラットフォームのスレッドアップ(ThredUp)は、米サンフランシスコにあるシーインのポップアップショップをボイコットするように顧客に呼びかけるマーケティングキャンペーンを行った。また、シーインはは手頃な価格でブランドを確立してきたが、顧客やレビュアーはしばしばその服の品質に批判的である。

しかし、市場をリードする同社のIPOの可能性が高まり、1000億ドル(約15兆円)の評価額の下落に直面していると報じられるなか、同社は反環境的な主張に対抗するための新たな取り組みを開始している。9月下旬、シーインは2030年までに排出量を25%削減する計画を発表した。この計画には、今年中に温室効果ガス排出量の基準値を設定し、今後の進捗を測定できるようにすることも含まれている。また、ブルックフィールド・リニューアブル・パートナーズ(Brookfield Renewable Partners)社と契約し、サプライチェーン全体で再生可能エネルギーへの切り替えに取り組む。

「学び」のための取り組み

シーイン・エクスチェンジのパイロット版では、売り手は過去に購入した商品をクリックして再販する。これにより、写真やサイズ、色などの詳細が自動入力される。その後、実際の商品の写真を追加するよう求められる。手数料は5%で、送料を取るかどうかは出品者の自由だ。

まとめ買いはすぐにはできない。しかし、ワトソン氏は、リリース後も顧客のフィードバックに基づいて変更し、さまざまな市場に展開していくことを想定している。

ワトソン氏によると、同社は、この再販取引で儲けることはないだろうという。販売ごとに5%のサービス料を徴収する予定だが、それでは運営費全体をカバーできない可能性がある。また、新商品の売り上げに影響する可能性もある。

「誰かが再販プラットフォームで購入することを選択した場合、彼らは通常の小売プラットフォームから何かを購入するわけではない」とワトソン氏は言う。「それはそれでいいのだ。循環型経済の一翼を担うにはどうすればいいのか、我々が学ばなければならないのだ」。

高まる中古品需要

ビジネスモデルこそ違えど、再販制度を立ち上げたブランドはシーインがはじめてではない。ルルレモン(Lululemon)やアイリーンフィッシャー(Eileen Fisher)のような高級ブランドは、自社のプラットフォームで中古品を販売している。ナスティーギャル(Nasty Gal)やプリティ・リトル・シング(Pretty Little Thing)など複数のブランドを運営するブーフーグループ(Boohoo Group)は今年、ポートフォリオ全体で再販に乗り出す計画を発表した。

こうした取り組みは、消費者が激動の経済と格闘するなかで、中古品の買い物が一般的になる過程で登場した。再利用可能な商品のマーケットプレイスであるオファーアップ(OfferUp)によると、2021年に「リコマース」は15%近く成長したという。

生地への不安や粗悪な作りなど、シーインの服の品質に対する批判が広がっているが、ワトソン氏は、すでにかなりの量のシーインの服が再販されていると話す。スレッドアップやポッシュマーク(Poshmark)のような再販プラットフォームには、シーインの中古の服が頻繁に登場しているのだ。また、全国の地元の古着屋にも出回っている。

シーインは、このプラットフォームを立ち上げる前に、顧客がどのような持続可能なファッション活動を望んでいるのかについて調査を行った。その結果、47%の顧客が中古のシーインのアイテムを売ったことがあると答え、53%が購入したことがあると答えており、「再販」の動きが目立っていた。

再販が盛んなのは、あるイベントのためだけに購入した服をそのまま手放してしまうなど、人々がファストファッションの商品をどのように利用しているかにも、一部起因している可能性がある。また、以前より着用したかった商品や、サイズが合わない商品を購入した可能性があると、ワトソンさん氏は述べた。

「長く愛用できるアイテムもたくさんある。ファストファッションだからといって、長持ちしないとは限らないのだ」とワトソン氏は話した。「どんな理由であれ、今は、その商品を共有する簡単な方法がある」。

再販競争

ジェーンハリ・アソシエイツ(Jane Hali Associates)のアナリストであるジェシカ・ラミレス氏は、このプラットフォームが成功するかどうかは、ユーザーが出品に費やす時間や収入を制限するなど、いかにユーザーフレンドリーであるかにかかっているかもしれない、と指摘する。

「もし売り手にとって、シーインのプラットフォームの方がポッシュマークのものよりいいものに仕上がっていれば、彼らはおそらくシーインを利用するだろう」と述べた。

全体として、いくつかのブランドの社内再販プログラムは非常にうまくいっているとラミレス氏は言う。同氏は、ルルレモンとリーバイス(Levi’s)を例に挙げ、リーバイスは中古品をプラットフォームに載せる前に補修することに触れた。このようなプログラムの最終的な結果として、顧客がブランドとより密接に関わり、ブランドへのロイヤルティにつながるとラミレス氏は話した。

「ブランドは依然としてその顧客を引き寄せ、彼らの注意を引きつけているのだ」と同氏は語った。

ラミレス氏は、服を一度しか身に着けない顧客が多いことを考えると、シーイン・エクスチェンジのプラットフォームは、ファストファッションとして理にかなっていると述べた。しかし、同氏は、この戦略は、持続可能性の名の下に他ブランドが行っていることに合わせるための動きかもしれないとも述べた。

「サステナビリティについて語るとき、問題となるのは、『それは本当にサステナブルなのか、それともマーケティングとして利用しているのか』ということだ。これは、シーインが歩んでいる非常に微妙なラインなのだ」と同氏は語った。

ファストファッションへの懸念

半年前にシーインに入社したワトソン氏によると、環境・社会・ガバナンスの問題は会社の優先事項であり、それは同氏の部署、そして会社の上層部や創業者たちが隔週で会議を開いていることからも明らかだという。ワトソン氏は、「これらのプロジェクトを立ち上げようとする意欲と熱量がある」と語った。

ワトソン氏はまた、シーインの生産とファストファッション全体について、「誤解」があるという。小売業者のなかには、生産時に何十万着もの衣料品を生産するところもあるが、シーインは少量で多様性を提供することで運営している。同氏によると、服の年間販売率は90%以上で、過剰在庫は1ケタ台だという。

「各スタイル100~200着という超小ロットで生産している」とワトソン氏は説明した。「そして、顧客の反応を見て、さらに生産を依頼するべきかどうか、また、推測や希望ではなく、具体的にどれだけ需要を満たすために依頼するべきかを判断できる、非常に賢いアルゴリズムを持っている」。

また、シーインは、ESGの取り組みを公表する予定だという。再販プログラムは、ブランドアンバサダーだけでなく、アプリを通じても販売する。また、シーインが参加しているテキスタイル・エクスチェンジ(Textile Exchange)など複数の業界団体が、企業の気候変動への意識向上を支援していると指摘した。

「さまざまな種類の企業が、さまざまな顧客にサービスを提供するのだから、それは異なるものになるだろう」とワトソン氏は語った。「本当に重要なのは、さまざまな企業が参加し、さまざまな種類のサービスがあることだろう」。

[原文:As part of an image rehab, Shein is launching a resale platform]

MELISSA DANIELS(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Shein

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