「OMOの世界観のさらなる加速と生活者の声を聞く仕組みのアップデートを行いたい」:良品計画 篠原佳名子氏

DIGIDAY

明るい未来、という表現はやや陳腐だが、2022年はコロナ禍を踏まえて次のフェーズに進む「新たな1年」になると、誰もが考えていたのではないだろうか。

しかし、ロシアによるウクライナ侵攻をはじめ、世界的な景気低迷とそれに伴う広告・メディア支出の混乱など、波乱に満ちた1年となった。DIGIDAY[日本版]恒例の年末年始企画「IN/OUT 2023」では、 DIGIDAY[日本版]とゆかりの深いブランド・パブリッシャーのエグゼクティブや次世代リーダーに、2022年をどのように受け止め、2023年にどのような可能性を見出し、新たな一年を切り開いていこうとしているのか伺った。

株式会社良品計画にて、ECデジタルサービス部の篠原佳名子氏の回答は以下のとおりだ。

――2022年を象徴するトピック、キーワードを教えてください。

マーケティング領域へのESG視点浸透。

これまでESGという概念は、企業内でも広報やサステナビリティを管掌する部門など、一部の部署を中心に議論がなされていたかと思います。しかし今年一年を振り返ると、そういった観点が当たり前のようにマーケティングやデジタルの世界でも語られるようになってきたと感じました。



特に今年中盤からは、物価の高騰や円安といったニュースが多く露出され、これらは消費者の買い物やリサイクル・リユースに関する考え方を変えさせられるほどのインパクトだったかと思います。ひとつの商品・サービスがESG視点で配慮されたものかどうか? といった観点が消費者にとっても非常に重要になってきていると感じております。



この潮流は来年さらに加速すると感じており、アンテナを高く張り、お客様にとって役に立つ商品・サービスそして仕組みについて真剣に取り組んでいきたいと考えています。

――2022年にもっとも大きなハードルとなった事象は何でしたか?

「withコロナ3年目らしい消費者の行動変容の違い」です。



コロナ禍の生活も今年で3年目。3年もの月日が経つと、それぞれがこの3年間で新たな習慣として取り入れたこと、止めたこと、住む場所やワークライフバランス含めライフスタイルを変える決断をされた方もいらっしゃると思います。加えて、本年はこれまでのwithコロナと異なり、行動制限も解除され、緊急事態宣言のない1年間でした。感染対策や人との接触に対する感度について、気にする人と気にしない人の差が大きく離れた1年でもあったでしょう。気にする派と気にしない派、どちらか一方へ配慮しながら意思決定を行うことも時折あり、この考え方は、これまでのwithコロナになかった2022年でできた新しい価値観・判断基準だと感じました。



そうした状況下で、地域や感性、はたまた組織/団体の決まり事など要因によって、消費者の外出や買い物の方法に大きな差や波が生じ、スピードと決断力が求められる場面が多くありました。例えば小売やECの領域ですと、どのカテゴリを店頭フロントやトップページでご紹介するかによって売り上げが大きく変わります。連休前に旅行需要の商品を打ち出すか、STAY HOME需要の商品を打ち出すか。そういった、先を読む力が問われ、しかも予想外だったことも多かった点でもっともハードルと感じました。

――2023年に必ず取り組むべきだと考えていることは何ですか?

「OMOの世界観のさらなる加速」、および「生活者の声を聞く仕組みのアップデートを行いたい」と考えております。



現在、当社ではECの店舗受け取りサービスのような、店舗とオンラインを融合することで価値が提供できるサービスが非常に成長しております。来年は当社のアプリであるMUJI passportを中心として、お客様がオンラインとオフラインの差を感じないようなオペレーション改善を行うと主に、新たな価値を生み出せるサービスにも挑戦していきたいです。



また、当社はこれまでもIDEA PARKといったコミュニティサイト等を通して、お客様の声に耳を傾けながら商品開発、事業運営を行ってきておりました。今後はこの強みをさらに強化するために、より気軽に当社に参加・意見していただく仕組みを作り、そして当社を推奨・情報発信してくださるお客様との関係構築を行い、商品開発やコミュニケーション改善につなげていきたいです。

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