パーティー的感覚で使える招待アプリ「 パーティフル 」、スタートアップ創業者のあいだで話題に

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ニューヨーク・タイムズが2022年におけるもっとも「イタくない」招待プラットフォームと呼んで以来、パーティフル(Partiful)は、若いテック系ワーカーのあいだで広まり、そして現在、新たにeコマースの創業者のあいだで急成長している。

2020年に創設されたパーティフルは、自らを「イケてる人々のためのFacebookイベント」と説明しており、Z世代になじみやすい大胆でグラフィックな外観を取り入れている。このアプリは当初、テック関係の従業員に受け入れられ、「Z世代にとってのイベントブライト(Eventbrite)」とも呼ばれている

パーティフルは誕生日やハッピーアワーなどのプライベートなイベントを開催する用途で人気となった。ユーザーが招待に対して参加表明する(RSVP)と、ほかのユーザーのプロフィールを参照することができ、ユーザーの参加状況に絵文字で反応できるようになる。またこの1年間で、このアプリは、出席者のプロフィールやカレンダーのリマインダーといったシンプルな機能を好む、CPGの創業者や新興企業の従業員のあいだでよく使われるRSVPアプリともなった。何人かの創業者や小売業界の人々によると、ソーシャルディスタンスによって業界の集まりが行いにくくなったが、パーティフルによって、再び人々を集めるための迅速でシームレスな方法を作り出している。このプラットフォームにはいまだいくつかの重要な機能が欠けているが、一部の人々は、将来的に、このアプリをブランドの公式イベントやポップアップに利用することを計画している。

創業者たちに人気の理由

現在のところ、この招待ツールはオープンで、イベントの規模にかかわらず無償で使用できる。

パーティフルは、同プラットフォームの将来的なビジネスモデルの見通しについての質問に回答していない。しかし、同社は現在、商品デザイナーやモバイルエンジニアの職を募集しており、アプリがもうすぐ発表される可能性もある。また11月には、アンドリーセン・ホロウィッツ(Andreessen Horowitz)により主導された2000万ドル(約26億4000万円)のシリーズAシリーズを終了した。それでも、同社の皮肉めいたソーシャルメディアアカウントは、創業者たちがこのプラットフォームから急いで利益を得ようとはしていないことを明らかにしている。

したがって今のところ、小売業界のスタートアップ関係者は、パーティフルのツールを利用して、通常よりも「パーティー」的な感覚で、お互いを見つけ、人脈を構築している。

オムソム(Omsom)の共同創業者であるキム・ファム氏はここ数カ月間、パーティフルを使って「四半期ごとの退屈なミーティング」を主催してきた。このシリーズでは、創業者や小売業界の関係者を招待し、参加者のみに明かされるプライベートな場所に集まり、ドリンクを飲みながら気軽に交流できる。

人脈づくりは、ブランドのコラボレーションや投資の可能性など、成長の機会を常に模索している多くのCPG新興企業の創業者にとって重要だ。「しかし、Covidの最中に会社を立ち上げた多くの創業者は孤独を感じてきた」と同氏は述べる。オムソムを創設した最初の年である2020年、同氏と共同創業者のバネッサ・ファム氏は、対面サポートがあまりなく、「ほとんど単独で会社を作り上げた」と付け加えている。

「馬鹿馬鹿しいと思われるかもしれないが、こうしたイベントの多くは仕事上の人脈づくりのためだけではない。信頼できる関係、メンター、そして友人にまでなりうる、ほかの創業者との関係を築くのを助けてくれる」と、同氏は述べている。

楽しくカジュアルな空気

このような理由から、同氏のような若い創業者は堅苦しいネットワーキングのハッピーアワーには群がらない。同氏は2月、サステナブルな家庭用品ブランドのゴルデューン(Goldune)の創業者であるアゾラ・ゾーイ・パックナド氏と、前述した四半期ごとの退屈なミーティングへ招待をパーティフルを使って計画した。

ファム氏は、パーティフルについて、設定が簡単なこと、クリエイティビティの余地があることが、新興企業の人々にとって大きな魅力だと語る。同プラットフォームのUXは、ごくわずかな労力で多くの個性を出すことができると、同氏は付け加えている。パーティフルはコミュニケーションにSMS(ショートメッセージサービス)のみを使用するため、迷惑メールフォルダに入る恐れがあるメールは使われない。

特にニューヨークやサンフランシスコのような都市で同僚との会合を呼びかけるとき、パーティフルは即座に相手と接触できる点において、ほかの業界関係者にも好評だ。

CPGコンサルタントのネート・ローゼン氏は現在、飲料ブランドの立ち上げに取り組んでいるが、パーティフルの信念は、楽しくカジュアルな空気を生み出すのを「悪びれていない感じ」がすると語っている。

ニッチなデジタル招待にも一役

このサイトはニッチなデジタル招待の空白を埋めるためにも一役買っている。

「人々がFacebookを使わなくなって以来、業界のイベントを企画・開催するための良い選択肢がなくなってしまった」と、ローゼン氏は語る。ほとんどの場合、同氏とCPG新興企業の同僚たちは、メールや、テキスト、カレンダーの招待を組み合わせてイベントを開催していた。

対面のイベントが再開されると、ローゼン氏と何人かの同僚はパーティフルを使って「CPGのハッピーアワー」を毎月ニューヨーク市で開催するようになった。「直前になってからでも招待のページを簡単に作成し、それをさまざまな人に送ることができる」と、同氏は述べている。

毎月のハッピーアワーや、ローゼン氏が新たに立ち上げた四半期ごとのブランドパネル・イベントなどの定期的なイベントには、パーティフルのアーカイブされたイベントデータが役に立つ。

「誰がどのイベントに参加したかを確認できる。招待すべき人を常に全員覚えているわけではないので、この機能は役立つ」と、同氏は述べている。パーティフルはトレードショーやカンファレンスに出張した際の会合を計画する際にも便利なことがわかっていると、同氏は付け加えている。

ローゼン氏は1月、「消費者委員会」というパネルを共同開催するため、パーティフルを使いはじめた。このパネルは、ベルギアンボーイズ(Belgian Boys)や、男性向けスキンケア新興企業のヒューロン(Huron)といったブランドの経営者たちを引きつけた。「ルナーセルツァー(Lunar seltzer)やマイビノ(Myvino)などのブランドの創業者がすでに参加してくれている。そのため、月1回のペースで行えるよう試みている」と、同氏は述べている。

ブランドが正式導入する動きも

現在のところ、パーティフルは主に、社内の集まりや業界の人脈づくりのために使用されている。

しかし、CPGインキュベーターのザ・ネイキッド・マーケット(The Naked Market)は、ブランドの公式イベントでパーティフルを実験的に使用している。同社は、3月初めに開催されたエキスポウエスト(Expo West)で、このサイトを使用して、歌手のジョー・ジョナス氏とともに、同氏のブランドであるロブス・バックステージ・ポップコーン(Rob’s Backstage Popcorn)のプライベートDJセットを主催した。ザ・ネイキッド・マーケットは、ロブス・バックステージ・ポップコーンとともにジョイントベンチャーを進めている。

ザ・ネイキッド・マーケットの共同創業者でCEOを務めるハリソン・ファグマン氏は、インキュベーターである同社は、パンデミック直前の2019年の末に創設されたため、物理的なイベントを行いはじめたのはこの数カ月のことだと語った。

「当社は、イベントを陽気でお祝い気分のものにしたいと考えた。ショーの最初の夜をダンスパーティーに変えたのは、CPGコミュニティの他社との人脈を作り上げるのに完璧な方法だった」と、同氏は語る。同社は、パーティフルのリマインダー機能がエキスポウエストの参加者にとって有益だったという多くのフィードバックを受け取った。「DJセットに誰も参加しそびれないようにリアルタイムで最新情報を発信できたのは最高だった」と、同氏は述べている。

しかし、パーティフルは完全な機能を持つ招待プラットフォームではなく、制限が存在する。たとえば、参加者はイベントへの招待を自分たちのカレンダーに自動的にダウンロードできない。

「私は間違いなく、オムソムのイベントにこのプラットフォームを使うことを検討する」と、ファム氏は述べる。しかし同氏はまず、よりブランドに特化した体験を統合できるよう、ランディングページにカスタマイズオプションがさらに増えることを望んでいる。

同様に、ファグマン氏は企業イベントに関して、パーティフルは「競合他社と比べて多少の弱点があるのは間違いないが、うまく成功させた」と語っている。

[原文:How Partiful became the hottest invitation app for startup founders]

Gabriela Barkho(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Partiful

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