多様化するブランドの ワールドカップ 広告:「組み合わせによって、期待されている試合に関わることができる」

DIGIDAY

アルゼンチン代表の優勝で幕を閉じたFIFAワールドカップ(FIFA World Cup)。ビール・ブランドのモデロ(Modelo)は同大会期間中、CTVを使ってサッカーファンの間でのブランド認知度を高めようと試みた。同社の広告予算の大半は依然として従来型のリニアTVに費やされているが、ワールドカップ期間中はストリーミング広告やソーシャルメディア広告を利用して、試合を視聴するあらゆる場所でファンにブランドを見せることをめざしていたという。

同社は、英語とスペイン語の両方でテレビ用の30秒スポットとソーシャルメディア用の15秒スポットの2つの広告スポットを作成。応援するチームを巡って熱狂し、ビールをこぼし撒き散らすスポーツファンたちの盛り上がりを商品とともに見せている。モデロの目標は、本格的なサッカーファンであるヒスパニック系のコア消費者へのブランド・メッセージを強化するほか、よりカジュアルなサッカーファンである新規消費者にもブランドを紹介することだ。

ライブスポーツへの投資はモデロにとって優先事項

同社のブランドマーケティング担当副社長グレッグ・ギャラガー氏は、「弊社のテレビ広告スポットは、一般消費者とヒスパニック市場の両方にリーチし、これらのターゲット層の両方にブランドを宣伝するという二重の目標を持っている」と述べた。「私たちは、市場全体の消費者におけるブランド認知を高め、ヒスパニック系の人々の間での(ビールを飲む際の)第1候補となることをめざしている」。

広告は11月下旬に開始され、TVスポットは12月18日まで、ソーシャルスポットはクリスマスまで続く。このキャンペーンの一環としてモデロの広告は、ESPN(スポンサー付きデジタルビデオ、プレロール広告、エディトリアルコンテンツ)、テレムンド・デジタル(Telemundo digital:スペイン語による、試合中に放送される試合内インベントリ)、YouTube広告、プログラマティック・デジタルTV(FIFA+とフューボーTV[FuboTV]を通じて)、試合内インベントリに関連するコンテンツとニュース報道、および英語とスペイン語でのFacebookとインスタグラムのリールを含むチャンネルに表示される。

FIFAワールドカップ期間中に広告を掲載することを選んだ理由について、ギャラガー氏は「消費者が最も関心を持っている場所でブランドを見せることができるため、ライブスポーツへの投資は引き続きモデロにとって優先事項である」と語る。「このイベントは、情熱的なサッカーファンとカジュアルなサッカーファンの両方にリーチする素晴らしい機会だ」。

同氏によると、広告はリニアテレビに傾いており、視聴率の高さからスペイン語による試合内に放送されるインベントリを優先しているという。「ライブTV(Live TV)でのサッカー観戦に関する指標と我々が行ってきた投資の組み合わせによって、オランダ対アメリカ戦のような、最も期待されている試合に入ることができた。これにより、アメリカチームを応援する盛り上がりを通じて、サッカーファンの総市場に到達することができる」という。

とはいえ、ギャラガー氏は全体的な予算の詳細を明らかにしなかったため、モデロの広告予算のうちどれだけがこのキャンペーンに割り当てられているかは不明である。パスマティックス(Pathmatics)のデータによると、2022年の広告費はこれまでのところ3000万ドル(約41億1800万円)強で、2021年の2300万ドル(約31億5744万円)から増加している。ギャラガー氏は同ブランドのワールドカップキャンペーンの予算の内訳を、77%がテレビ放送、12%がデジタル、6%がストリーミングTV、5%がインスタグラムとFacebookに使われたとしている。

ブランド認知の絶好な機会

FIFAワールドカップは、コカ・コーラ(Coca-Cola)フリトレー(Frito-Lay)など、モデロ以外にも多くの食品や飲料ブランドにとって重要なブランディングの場となっている。大会期間中、世界中で毎日数百万人が視聴しており、FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長によると、2022年末までにテレビやストリーミングプラットフォームで視聴者数は50億人を超えると予測されている。

モーニング・コンサルト(Morning Consult)の調査によると、サッカーファンの40%が有色人種であり、最も多様なファン層を持つスポーツとなっている。また、サッカーファンを自認する米国成人の約4分の1(27%)がヒスパニック系である。

「複数のデモグラフィックスと多様なオーディエンスに渡って見られているという事実、それが政治にほとんど汚染されていない文化的現象であるという事実が相まって、ブランドが賢く、そして真の意味でスポーツと自らを結びつける絶好の機会となっている」と、女性インフルエンサーのコミュニティであるシースピークス(SheSpeaks)のCEO、アリザ・フロイド氏は述べた。

[原文:Why broadcast and streaming TV are key to Modelo’s World Cup strategy

Julian Cannon(翻訳:塚本 紺、編集:島田涼平)

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