ビーリアル 、絶頂期は過ぎ去り消えつつあるのか:機能の少なさや広告無掲載で勢いは下り坂

DIGIDAY

ビーリアル(BeReal)は、ユーザーのあいだでは勢いを失っていないが、マーケターとクリエイターのあいだでは勢いが衰えつつある。

同プラットフォームが転換期に入ったと言っているのではない。このアプリを完全に見限るのは、まだ時期尚早だ。だが、マーケターがハイプサイクルの絶頂期をかなり過ぎているのは、すでに明らかだ。

DL数は1520万から420万に

DIGIDAYが2022年10月に報じたように、ビーリアルは興味を引かれるユニークな機能を早急にマーケターに提供しなければ、はかない成功が終わりを告げ、注がれていた関心が他に向かうようになるだろう。

そして、そうした時期がもう来ているように見える。

モバイルアプリについてリアルタイムで情報を提供する企業アプトピア(Apptopia)のデータによると、世界全体でのダウンロード件数は、10月に平均で1520万件に達し、その後は2月の約420万件にまで減少している。それに加えて、デイリーアクティブユーザーも、2022年10月の平均1470万人から2023年2月の約770万人へと約52%減少した。

今のところ同プラットフォームにとどまっているのは、広告の存在だけでなく、ソーシャルメディアで強い発信力があることを誇りにしているブランドに限られる。ほかのマーケターはビーリアルを二の次にしている。

話題は沈静化し、ブランドからの注目も薄い

ソーシャルメディア代理店のソーシャルエレメント(The Social Element)でCEOを務めるタマラ・リトルトン氏は、「まだブランド向けにはビーリアルを支持しておらず、より確立されたソーシャルメディアアプリに焦点を合わせ続けている」と語る。

また、「より成熟したプラットフォームにはすべての指標があり、大企業の大規模なエンゲージメントを支援するためにほかのツールと連携するように分類されたAPIは、とにかく使いやすく、より大きな成功を収めている。誤解しないでほしいが、我々は実験を好み、ブランドが発信力を高めるのを支援しているが、ビーリアルを利用したこの特定の道を駆け進んではいない」と同氏は付け加えた。

ブーメランFT(Boomerang FT)の人材担当責任者であるディーン・クーマン氏は、2022年に、ソーシャルキャンペーンにビーリアルを追加するように顧客にアドバイスしたが、それ以来、同アプリに関する話題はかなり沈静化していると述べた。そのため、クーマン氏はビーリアルをもう勧めてはいない。

「ビーリアルは大多数のブランドに注目されておらず、正直に言うと、それもよいと思える。あらゆる流行に乗ろうとするのではなく、一部のプラットフォームをコミュニティに任せて使ってもいいのだ」とリトルトン氏は言い添えた。

とはいえ、広告があったとしても、マーケターがビーリアルに対して違った見方をするとは限らない。一度目にした人のエンゲージを維持するための要素が、あまりないためだ。

提供できる目新しいものが何もない

ビーリアルが2022年にZ世代の注意を引いて以来、ユーザーには相変わらず、毎日不定期な時間に、「リアルな姿」でアプリ上のネットワークに自分の写真を投稿するよう要求される通知が送られている。そして、これまでのところ、それしか機能がない。

「プラットフォームがモデルを十分に多様化してこなかったために、ビーリアルの初期の魅力を持続できないことが明らかになった」と、ビリオンダラーボーイ(Billion Dollar Boy)の創業者でグループCEOであるエド・イースト氏はコメントした。「フォーマットと機能が多様化すれば、プラットフォームの新鮮さを保ち、エンゲージメントとユーザーリテンションを高めるのに役立つだろう。だが、現状では、すでにいささか新鮮味に欠け始めている。あまりにも頻繁に、デスクやPC画面の写真を共有できるだけだからだ」。

マーケターが先を争ってビーリアルに熱中した1年前とは大違いである。そうした注目にかかわらず、それが必ずしもアプリによってかき立てられたわけではなかった。イースト氏が指摘したように、このアプリが消えつつあるのはそれほど意外ではない。当初の提案を超えて進化させるための、適切なリソースを持っていないのだから。

加えて、ビーリアルがそうした変化をすでに遂げていたとしても、マーケターを魅了するまでには及ばなかった可能性がある。ビーリアルは今のところ、マーケターのことなどどうでもいいからだ。

マーケターが最優先ではない

(ビーリアルの)チームはコメントを求められても、いまだ個々の要請には応えていない。だが、プラットフォームの現在の優先事項については、ウェブサイトに声明を投稿しており、どうやらまだユーザー向けの最良の製品作りが優先事項であるようだ。

「ビーリアルは無料で利用でき、広告は掲載しない。我々が将来的に広告を表示するのかどうか、また、アプリのマネタイズについてどう考えているのか、ユーザーの皆様は疑問に思っているかもしれません。まず、ユーザーがいる限り、我々はユーザーに寄り添いたいと思っていますが、ブランドとの協働は優先事項ではありません。開発したい洗練された機能が数多くあり、このように時間の優先順位をつけられることは、非常に幸運なことだと思う」とビーリアルのチームは述べている。

上記が、広告についての同社の明確なスタンスなのだ。

さしあたって、ビーリアルの経営陣は、広告料金なしで持続可能な事業を確立できると断言している。この企業が、2020年に創設された、まだ草創期にあることを念頭に置いてほしい。明らかに、経営陣は、野心の実現に必要な多くの社内インフラの構築に忙しい。何と言っても、2022年11月にDIGIDAYが報じたとおり、ビーリアルは2022年初めにすでにシリーズBの資金調達ラウンドで6000万ドル(約81億6000万円)を得ており、有効活用する、あるいはただ燃やすだけの現金があるのだ。

Twitterの大御所が参画

リンクトイン(LinkedIn)によると、ビーリアルには現在108人の従業員がおり、ごく最近採用された注目すべき人材は、Twitterの元最高プライバシー責任者ダミアン・キーラン氏だ。同氏は、ビーリアルへの参画動機として製品と従業員、プラットフォームの可能性を挙げている。同氏のリンクトインのプロフィールによれば、イーロン・マスク氏による買収後の11月にTwitterを辞職し、今年2月上旬に法務顧問としてビーリアルに参画したようだ。

ビーリアルのウェブサイトによると、製品およびエンジニアリング関係の役職でまだ10人分の欠員があるらしい。問題は、ほかのソーシャルメディアアプリがすでにビーリアル独自のセールスポイントを模倣しており、競争に勝つのが間違いなく困難になっている点だ。

「ビーリアルが人気を復活させるためには、クリエイターやブランドに対する魅力を増やす必要があるだろう。それなしでは、定期的な外部投資とコンテンツのバリエーションの不足によって、ビーリアルは徐々にソーシャルメディア市場から姿を消していくだろう」とイースト氏は指摘している。

[原文:BeReal still has potential for advertisers, but its hype period is well and truly over

Krystal Scanlon(翻訳:矢倉美登里/ガリレオ、編集:島田涼平)

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