ファイヤーワーク、 ジェネレーティブAI を使ったライブショッピング機能を試験導入

DIGIDAY

動画コマース企業のファイヤーワーク(Firework)は、動画コマースプラットフォーム向けジェネレーティブAI製品のテストを6月から開始する。

ライブショッピング機能の利用を模索する企業が増えるなか、ファイヤーワークのジェネレーティブAIライブショッピングソリューションは、ライブストリーミングの終了後も消費者のエンゲージメントを高め、コンバージョンを促すことをめざしたものだ。たとえば、動画を見た消費者がレシピをリクエストすると、AIがその動画で紹介された食材や製品を知らせてくれる。

「動画」がいつでも利用できるインタラクティブなショッピング体験に

ファイヤーワークの共同創業者兼プレジデントのジェリー・ルック氏は、社内テストではまだ限られたデータしか得られていないものの、「いつでも利用できるAIチャット機能は買い物客に歓迎されるはずだ」と話す。リアルタイムで顧客に合わせた対応を取ることで、顧客維持率と顧客ロイヤルティが向上し、販売に繋がる確率も高まることを同氏は期待している。

「このツールでとりわけ高く評価された点は、常に繋がりを築けることだ。ライブストリーミングが終わった後も、正確で文脈に沿った応答をリアルタイムで返せるようになる」と、同氏はいう。

また、「ライブストリーミングイベントやオンデマンド動画を、ブランドのウェブサイト上でいつでも利用できるインタラクティブなショッピング体験に変えることで、購買意欲を持った顧客とつながりを築けるチャンスを増やしブランドを支援できる」とも付け加える。

AIを使用してエンゲージメントの倍増を狙う

ライブショッピングを試すエージェンシーやプラットフォームが増えているなか、ソーシャルコマースと動画コマースにおけるこの成長分野で、AIチャットがエンゲージメントを高める機会を構築しているという意見もある。一方で、社内プロジェクトやクライアント業務、それにクリエイティブコンテンツ向けにジェネレーティブAIやChatGPTツールをテストしている企業もある。

UMワールドワイド(UM Worldwide)で米国のコマース責任者を務めるエイミー・オーウェン氏が以前述べているように、こうした動きはリテールメディアとショッパブル動画を「組み合わせて一体化」するものだ。

ライブストリーミングが終わると買い物客とのやり取りも途絶えてしまうことが多いため、この機能によって、消費者が去った後にコンバージョンを促す新たな機会がもたらされる可能性があると、ルック氏は考えている。

同氏は、このツールを使うことでエンゲージメントが通常のライブストリーミングの10倍~50倍に高まると推測。このAIエンジンは多くの言語で応答できる大規模言語モデルを使用しており、ブランドのメッセージに合わせたカスタマイズも可能だ。米DIGIDAYはこのツールについて複数のエージェンシーの専門家に尋ねたが、まだリリースの初期段階であることを理由に、どの専門家も詳細なコメントは拒否した。

ライブストリーミング後のコンバージョンをカバー

とはいえ、ほかのライブショッピングプラットフォームも、エンゲージメントの向上をめざして同じような戦略をテストしている。ライブショッピングプラットフォームとマーケットプレイスを手がけるバイウィズ(Buywith)のCEOであるアディ・ローネン・アルマゴール氏によれば、同社のプラットフォームでは、投票、スタンプ、チャット、ライブチェックアウトなどの機能を使用したセッションで、最大70%のエンゲージメントを獲得できているという。

「イベント終了後はエンゲージメントの獲得がやや難しくなるが、実店舗でも店舗を出た買い物客とのエンゲージメントは難しい。我々はその点をカバーするツールや戦略を開発し、ブランドを支援している」と、同氏は語った。

バイウィズでは、ライブストリーミングが終わると消費者にSMSと電子メールでメッセージを送り、注目の商品を知らせたり、可能な場合はクーポンコードを提供したりしている。「こうすることで、その後もユーザーを引きつけておける。また、私たちはクリエイターに対し、セッションのまとめやおすすめの商品をソーシャルメディアアカウントで投稿するよう促している。コンバージョンは通常10%~40%で、多くの購入がライブストリーミング後に発生している」と、アルマゴール氏は付け加えた。

リテールメディアネットワークに動画広告を挿入

ファイヤーワークは、以前からのパートナーである食品スーパーのザ・フレッシュ・マーケット(The Fresh Market)と共同で、AIチャットをリリースする予定だ。ザ・フレッシュ・マーケットは、自社のウェブサイトとライブ動画コマースのリテールメディアネットワークで、このAIライブショッピング機能を試験導入する。

両社は今年2月、ショッパブルなライブコマースリテールメディアネットワークの利用で提携し、ブランドがライブストリーミングコンテンツにスポンサー付き動画広告を挿入できるようにした。大半のリテールメディアネットワークが静止画広告やディスプレイ広告に大きく依存しがちなのとは対照的な動きだ。

ザ・フレッシュ・マーケットでCMOを務めるケビン・ミラー氏によれば、顧客生涯価値はどのようなチャネルでもシームレスなやり取りに左右されるという。また、インテントシグナルや顧客の参加をきっかけとした購入前または購入後の顧客サービスについて、「常に100%優れたものである必要があり、ファイヤーワークのカスタムAIツールはその体験の改善に役立つ可能性がある」と述べた。

[原文:Video commerce platform Firework tests generative AI with The Fresh Market

Antoinette Siu(翻訳:佐藤 卓/ガリレオ、編集:島田涼平)

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