フランスのスキンケアブランド、エイムの顧客戦略とは?:美容サプリメントの激戦区、米国に進出

DIGIDAY

フランス人女性が肌を美しく保っているのは、彼女たちが摂取しているサプリメントのおかげかもしれない。そのサプリメントを米国人も摂取できるようになった。

フランスのブランド、エイム(Aime)は、肌の悩みを内側から癒すといわれるサプリメントを提供するスキンケア会社で、1月に米国の買い物客向けにウェブサイトでの販売をローンチした。

創業5年となるこのブランドは、マチルド・ラコンべ氏とフランソワ・モリエール氏によって設立された。ふたりは、いまはなきバーチボックス(Birchbox)に買収されたフランスの美容サブスクリスション会社ジョリボックス(Joliebox)の共同創業者でもある。エイムの初年度は、わずか3つの製品で300万ドル(約4億円)以上の売上を達成している。ラコンべ氏とモリエール氏は、マーケティングをソーシャルメディア、特にラコンべ氏が美容ブロガーとして集めた多くのインスタグラムのフォロワー(現在14万5000人)に依存している。また、エイムのウェブサイトに掲載された顧客の好意的な製品レビューも「マーケティングにいかなる費用もかけることなく、2年間ブランドを成長させ続けた」とラコンべ氏は言う。そしていま、創業者たちの目標は、今年中に売上高1000万ドル(約13億円)を達成することで、米国の消費者がその達成を手助けしてくれるのではないかと期待している。

米国の顧客にあわせた戦略を

2月、ラコンべ氏とモリエール氏は米国にコミュニティを築き始め、エイムは米国のローンチを祝うためにニューヨークのフェイシャル企業グロウバー(Glowbar)と提携した。2月の毎週末、グロウバーの6店舗のうち4店舗を訪れた人は誰でもエイムのフレーバー付きコラーゲンパウダーを入れたラテを無料で試すことができ、エイムの米国サイトで使用可能な20%オフのプロモーションコードも配布された。ラコンべ氏は、グロウバーの顧客から「すばらしいフィードバック」を受け取ったと述べている。エイムはチームメンバーふたりを現場に派遣し、顧客との対話を行っていた。グロウバーの創業者であるレイチェル・リバーマン氏によると、「グロウバーには、製品を購入できるか確認するために電話をかけてくる顧客さえいた」とラコンベ氏は述べている。両ブランドはインスタグラムとCRMツールで今回のパートナーシップを宣伝し、合計800杯近くのラテをプレゼントした。

エイムは、事業拡大前からすでに小規模ながら米国の顧客を獲得していた。以前は米国内への発送も行っていたが、フランスからの製品であるため割高だった。そこでエイムはニュージャージーに倉庫を獲得して、米国内への発送を6ドル(約790円)で提供した。だが、製品はフランス製であることに変わりはない。「(米国の)メーカーが処方に関して私たちの要求に見合うことができなかったため、製造は引き続きフランスで行うことに決定した」とラコンべ氏は言う。

エイムは米国における拠点のローンチに先立ち、ラコンべ氏いわく「ブランドのどの製品が愛されているか、米国で展開する場合に私たちに何を期待しているか、市場では何が不足していると感じているかを把握するため」に米国の顧客にアンケートを実施している。「(さまざまな地域ごとに)顧客が異なっていることはわかっているので、米国に参入する際にあらゆることをフランスと同じやり方にはしたくなかった。それではうまくいかない」。

エイムはアンケートに答えてくれた人全員に好きなサプリメントを1本ずつ送った。「ウェブサイトが機能しているかどうかを確認するために、ロジスティクスをテストするよい方法だった」とラコンべ氏は述べている。

インフルエンサーではなく顧客の体験を共有

エイムは、スポンサードコンテンツに大物インフルエンサーを起用することはないだろう。その代わりにラコンべ氏は、フランスで行ってきたように顧客が自らの意思で体験を共有することを奨励したいと考えている。「サプリメントを気に入り、少なくとも3カ月間摂取して結果を目にしている人々と関わりたい」と同氏は話す。エイムは、一部の顧客にサプリメントをプレゼントする以外に、ララコンべ氏がフランスでうまくいっていると語ったアフィリエイトプログラムを米国でも開始する計画だ。「私たちは(製品を宣伝するための)報酬を支払わないので、アフィリエイトを通じて少しでもお金になることができれば、人々のやる気を維持するのに役立つだろう」。

ラコンべ氏はかつて重度の酒さに悩まされ、その原因が腸の炎症であることを知ったあと、肌を癒すサプリメントを作ることを思いついた。「腸と皮膚はつながっているが、これまで私が会った皮膚科でそうした関連づけをした人はひとりもいなかった」と同氏は言う。特定のプロバイオティクス菌株、栄養素、およびいくつかのライフスタイルの変化の助けを借りて、同氏は炎症を治療し、酒さは消失した。「その時、ニキビや湿疹、酒さがある場合、対処が必要なのは肌の表面だけではないことを人々に伝える機会に気づいた。内側にも原因がある」。ラコンべ氏は現在、自分の酒さのビフォーアフター写真をエイムの広告として使っている。それは顧客にも好評で、顧客も自分たちの結果を共有しており、ブランドのウェブサイトで見ることができる。

米国人がフレーバー付きコラーゲンパウダーにかなりの関心を寄せている一方で、ラコンベ氏は、フランスでベストセラーとなっているエイムの錠剤サプリメントもまた米国で大ヒット商品になるだろうと予測している。そのなかには、酒さや乾燥肌のためのフレンチグロウ(French Glow)、吹き出物用のピュアグロウ(Pure Glow)、ホルモンの変動による肌荒れ用のバランス&グロウ(Balance & Glow)がある。「どれもプロバイオティクスをベースにしているが、求める効果に応じて異なる菌株に依存している。そして、それぞれの肌の悩みに対処するよう、ミネラルやビタミン、クルクマといった成分を加えている」とラコンベ氏。「(サプリメントは)収益の50%以上を牽引している。私たちの主力製品であり、人々が私たちのブランドを利用する理由だ」。

美容サプリメントに対する消費者の需要が高まっている

ダグラスインサイツ(Douglas Insights)の2022年のレポートによると、世界の美容サプリメント市場は、2020年から2030年にかけて毎年12%以上の成長が見込まれている。ラコンベ氏は、米国では飽和状態にあることを認識しているが、エイムが埋めることができる穴があると話す。「ウェルネスサプリメントはたくさんあるが、エイムのようにスキンケアブランドとして紹介されているものはひとつも存在しない」。

米国における美容サプリメントは現在、グープグロウ(GoopGlow)のモーニングスキンスーパーパウダー(Morning Skin Superpowder)のように肌に「輝き」を与えるものや、エージェントネイチャー(Agent Nateur)のホリ(メイン)(Holi(mane))のようにコラーゲン生成を高めるもの、ドクターバーバラシュトルム(Dr. Barbara Sturm)のスキンリカバリー(Skin Recovery)のように酸化ストレスから肌を守るもの、ハム(Hum)のビューティZzzz(Beauty Zzzz)のように美しい睡眠といわれる安眠に役立つものなどが中心となっている。エイムと同様に、創業14年のブランド、ザ・ビューティシェフ(The Beauty Chef)は、プロバイオティクスを使用したサプリメントをラインナップしているが、パウダーとリキッドの形態で、より幅広い肌の悩みに対応している。

アルタビューティ(Ulta Beauty)は、近年、美容サプリメントに対する消費者の需要が高まっていることに着目しており、それに応えるべく、提供する商品の成長と進化を続けている。アルタビューティのスキンケア・サンケア・フレグランス・バス部門マーチャンダイジング・バイスプレジデントであるペニー・コイ氏は、「美容愛好家、とりわけZ世代のあいだで、美容とホリスティックウェルネスとの結びつきが強まっていることを実感している」と語る。「顧客がいる場所でつねに顧客に出会うという精神から、当社は2021年にウェルネスショップ(Wellness Shop)をデビューさせ、内側からの美を促進する摂取可能な商品やサプリメントを専門的にキュレーションしている」。コイ氏によると、消費者がもっとも惹かれているサプリメントの種類のひとつは、プロバイオティクスのような腸のサポートを提供するものだ。

フランスでは、エイムはセフォラ(Sephora)といくつかのフランスのドラッグストアに販売スペースを確保している。ラコンベ氏とモリエール氏は、米国での同ブランドに適した小売業者を模索しているが、急いではいない。ラコンベ氏いわく、顧客に結果をシェアしてもらい、口コミを広めてもらうよう推奨すること、そしてウェルネス(代替ラテ)の発信地であるLAにエイムを紹介するために、適切な提携先となってくれるブランドを見つけることに専念している。

[原文:Inside French skin-care brand Aime’s U.S. expansion]

RENÉE REARDIN(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)

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