「最高ブランド責任者として、次の150年の生き残る」: プルデンシャル のR・パーキンソン氏

DIGIDAY

マーケティングを取り巻く環境が常に変化していることは、周知の事実だ。業界関係者の多くにとって、2020年のさまざまな出来事と、その概して不安定な先行きは、さらなる変化の触媒となり、大小さまざまなブランドをより柔軟なマーケティング戦略の導入へと後押しした。

創業から150年近く経つ金融ブランド、プルデンシャル(Prudential)は、ブランドの適合性を維持しながら、常に時代の先を行くという課題を抱えている。それは、リチャード・パーキンソン氏が今年4月、同社の最高ブランド責任者に就任して以来、取ろうとしてきたバランスだ。プルデンシャルはレガシーブランドとして、いまそのギアを変えつつあり、広告費を再配分し、対象を絞ったデジタルメディアチャネルと多文化メディアへの投資額を増やしている。この戦略が、プルデンシャルのブランド適合性(ブランド・レリバンス)を維持するだけでなく、新たな若いオーディエンスに同ブランドのことを知ってもらうきっかけになってくれると、パーキンソン氏は期待を寄せている。

米DIGIDAYはパーキンソン氏にコンタクトし、変わりつつあるプルデンシャルの戦略、最新のキャンペーン、そして同ブランドの今後について語ってもらった。なお、読みやすさを考慮して、このインタビューの一部には修正を加えている。

――オーディエンスとブランドの関わり合い方は変化しつつある。このことはプルデンシャルのメディアミックスにどのような影響を及ぼしているか?

どのブランドもそうだと思うが、プルデンシャルは基本的に、ターゲットオーディエンスがどこで、どのようにメディアを消費しているのかを見極めて、彼らにリーチしようとしている。リサーチ、オーディエンス構成、パフォーマンスというレンズを通して、そこに目を向けている。いまわかってきているのは、文化の節目やライブイベントへもっと関与していく必要があるということであり、特にテレビに関してはそう言える。プルデンシャルのその他のターゲットオーディエンスの一部、とくに若いオーディエンスに対しては、従来型のメディアチャネルへの依存度を減らしている。これからも、ESPNやTBS、NFL Network、NHLの試合のスポット広告を通して、彼らにリーチしていくことになるだろう。だがその一方で、我々のオーディエンスがデジタルへ移行しつつあることもわかっている。プルデンシャルはそこにいなければならない。そして、これらのチャネルで本物でいなければならない。プリント広告や屋外広告が衰退していることは確かだ。いま我々が期待しているのは、特にプルデンシャルのようなブランドとのライブイベントとソーシャルにおける適合性だ。

世の中が開かれていくにしたがって、屋外広告にもまだまだ担うべき役割があることが明らかになっている。人々のメディア消費のスタイルが変化している以上、今後それがもっとも大きな役割を担うようなことはないかもしれないが。プリント広告に関しては、ブランデッドコンテンツに力を入れていくことになるだろう。単に出稿するだけではなく、ブランド適合性が高く、オーディエンスが信頼できるパートナーとしてだ。

――プルデンシャルは先日、有色人種が所有するメディアや、多文化メディアへの投資を増やす計画を発表した。これについて詳しく教えてほしい。

プルデンシャルはいま、マイノリティが所有するメディアや、多文化メディアに多額の投資を行っている。これらのメディアはそのメッセージを力強く伝える術を知っている。そして、コミュニティはそのメッセージをリスペクトし、ソースとして信頼している。こうした戦略的提携、そしてこれらのメディアに関して我々が目を向けているのは、バナー広告だけではない。これらのコミュニティに積極的に関わり、そこで何らかの役割を担うことにも目を向けている。我々は本物に戻らなければならない。そこに姿を見せたり、広告費を使ったりしても何の意味もない。そんなことをしてもダメだ。そのようなものはオーディエンスにすぐに見抜かれてしまう(プルデンシャルの広報担当者によれば、雑誌『ブラック・エンタープライズ[Black Enterprise]』との提携、雑誌『エッセンス[Essence]』とのブランデッドコンテンツプログラム、BET[ブラック・エンターテインメント・テレビジョン:Black Entertainment Television]へのスポット広告といった取り組みが、今年から来年にかけて行われるという)。

――プルデンシャルのようなレガシーブランドが新しいオーディエンス、特に若いオーディエンスの前に出ていくことに、何か秘策は?

TikTokやインスタグラムで活躍している今日のクリエイターたちは、人を引きつける力に満ちあふれている。ブランドがそこから学べることは大いにある。我々もこうしたストーリーを、オーディエンスがプルデンシャルを身近に感じてくれる、ワクワクするような手法で伝えなければならない。プルデンシャルは、オーディエンスに合わせて、高めの年齢層にはFacebookを、若いオーディエンスにはインスタグラムやTikTokを使うことが多い。一方では、オーディエンスがどこで、特にどのソーシャルでメディアを消費しているのか、誰に注目しているのかに注意を払わなければならない。同時に、これからの未来、これから登場する新たなクリエイター、新たなプラットフォームにも注意を払わなければならない。このやり方は我々のオーディエンスに適しているのか? このやり方は本物なのか? それとも、我々はただ露出しているだけなのか? もし露出しているだけなら、そんなものはやめるべきだろう。

――自身に課せられた使命という観点から見て、オーディエンスに関するこの新たな方針は、どんなことを意味するのか?

人々はプルデンシャルのことを知っていると思っているが、そんなことはないと私は思っている。オーディエンスが望むメディア消費のスタイルで、この創業150年を迎えるブランドがいまなお、そしてこれからも彼らとつながっていることを示せるスタイルで、彼らにふさわしいストーリーを伝えること。それが私の仕事だ。我々の目標は次の150年だ。このブランドがこれからも生き続けていくことを、自分の目で確かめたい。大切なのは、いまだけではない。いまのメディア消費のあり方だけではない。メディアを取り巻く環境はどのように変化しているのか? 新たなチャネルへ進出しながら本物でいるには、どうすればいいのか? 創業150年を迎えるブランドがオーディエンスにふさわしい存在でいるには、どうすればいいのか? 私のような最高ブランド責任者にとって大切なのは、むしろこうしたことだ。これが私の使命、すなわち、プルデンシャルがブランド適合性を維持し、その強みを生かして、我々が頼りになる存在であることを人々にわかってもらうということの原動力になっている。

[原文:‘Go back to being authentic’: How 150-year-old Prudential Financial wants to maintain brand relevance

KIMEKO MCCOY(翻訳:ガリレオ、編集:長田真)

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