リアーナ 氏こそがスーパーボウルの真の勝者だった【ビューティ&ウェルネスブリーフィング】

DIGIDAY

スーパーボウルが終わったときには勝者と敗者が決まる。しかし、今年の真の勝者は、リアーナ氏と彼女のファッション&ビューティブランドだった。

復帰を飾った壮観なハーフタイムショー

約6年間、音楽活動から遠ざかっていたリアーナ氏だが、これ以上ない壮観な形で復帰した。「Rude Boy」や「Diamonds」などのトップヒット曲が散りばめられたセットリストで、リアーナ氏はステージを横切ったり曲に合わせて上下するプラットフォームに飛び乗ったりと動きまわった。オンラインではその姿は「大乱闘スマッシュブラザーズ」のプレイヤーのようだというジョークが飛び交った。最後のシーンはワイドショットが移動式ステージのスケールを映し出し、パフォーマンスの重厚感が強調された。(ジェニファー・ロペス氏やシャキーラ氏のように)ダンスでも魅せる歌手に慣れている視聴者にはこのショーのシンプルさは特にアピールしなかっただろうが、一大パフォーマンスであったことに変わりはない。

ショーでの最大のニュースはリアーナ氏の第2子の妊娠が確認されたことであるが、サヴェージ x フェンティ(Savage x Fenty)とフェンティ・ビューティ(Fenty Beauty)の両方にとって重要な瞬間でもあった。リアーナ氏のメイクはすべてフェンティ・ビューティ製品によるものだったが、衣装についてはそれほど個人的ではなかった。全身赤の衣装は、ロエベ(Loewe)、メゾン マルジェラ x サロモン(Maison Margiela x Salomon)、アライア(Alaïa)、ジョセフサイディアン&サンズ(Joseph Saidian & Sons)、ジェイコブ&カンパニー(Jacob & Co.)の組み合わせだった。一方、バックアップダンサーはカスタムのサヴェージ x フェンティの白いスポーツブラとボクサー姿だった。

ハーフタイムショーの制作費はカバーされるが、パフォーマンスに関してパフォーマーがギャラを受け取らないことは知られている。ミネソタ大学によると、スーパーボウルの有料広告に関しては、以前の調査ではスーパーボウルでの広告放映後に特に売上は増加しないということだが、オンライン検索はすぐに急増するという。これまでショーを担当したアーティストの曲のストリーミングとアルバムの販売もハーフタイムショーの後で推進されている。だが、リアーナは(歌手としてだけではなく)ハーフタイムショーを行う初の美容ブランドオーナーである。2020年に出演したジェニファー・ロペス氏は2021年にJLoビューティ(JLo Beauty)を、2017年出演のレディー・ガガ氏は2019年にハウスラボ(Haus Labs)を立ち上げている。

SNSでの反響

サヴェージはインスタグラムでハッシュタグ #SavageXGameDay を使った。このハッシュタグは2月13日月曜日の午後の時点で約700回使われていた。一方、フェンティ・ビューティはハッシュタグ #FentyGameFace と #TeamFenty を使い、インフルエンサーパートナーやソーシャルメディアモーメントにも使用された。この2つのハッシュタグはそれぞれ98回と3300回使われている。TikTokでは #SavageXGameDay が1200万回以上、#TeamFenty が400万回、#FentyGameFace が1900万回以上再生されている。フェンティはスーパーボウル前夜に(開催地の)アリゾナ州でインフルエンサー向けのディナーを主催した。また、開催都市へのインフルエンサー旅行の一環としてブレットマン・ロック氏やミケイラ・ノゲイラ氏ら4人のインフルエンサーを迎えた。最後に、ジュリア・デ・レリス氏(@GiuliaDelellis103、インスタグラムのフォロワーは530万人)とステファニー・ヴァレンタイン氏(@Glamzilla、インスタグラムのフォロワーは43.1万人)といった人々にフェンティ・ビューティ製品のパッケージを送り、受け取った人々はハッシュタグを使ってソーシャルメディアに投稿した。

リアーナのパフォーマンスではもうひとつ重要な瞬間があった。それはパフォーマンスの途中に、鏡を見ながらフェンティ・ビューティ・インビジマット(Fenty Beauty Invisimatte)フィニッシングパウダーをつけたときだった。フェンティ・ビューティはソーシャルメディアでその瞬間を言及したりクリップを転載した。別のインスタグラムアカウントを持つフェンティ・スキン(Fenty Skin)は同じ投稿を使用した。

また、フェンティ・ビューティはNFLレポーターのエリン・アンドリューズ氏と歌手兼女優で「Lift Every Voice and Sing」を歌ったシェリル・リー・ラルフ氏にフェンティ・ビューティの製品を使ってもらった。その様子はフェンティ・ビューティのインスタグラムストーリーで披露されている。

クリエイティブインフルエンサー企業、エージェンシーワカモレ(Agency Guacamole)のプリンシパル、ビラル・カイザー氏は次のように述べている。「(このような例は)過度にブランド化したりやり過ぎることなく、フェンティを統合する素晴らしい方法だ。ビューティは、ファッションブランドのようにあるブランドを着ていることを示すロゴを必要とせず、我々のあらゆる行動に取り入れられるという点でとりわけ特別になれる可能性がある」。

ローンチメトリックスのMIV価値

ローンチメトリックス(Launchmetrics)のデータによると、スーパーボウル最中のフェンティ・ビューティの言及は最初の12時間で560万ドル(約7.4億円)のMIVだったが、サヴェージは260万ドル(約3.4億円)のMIVを生み出した。リアーナのパフォーマンスは8830万ドル(約118億円)のMIVを生み出し、12時間で生じたスーパーボウルの総MIVの27%を占めた。MIVとはメディアインパクト値に対するローンチメトリックス独自の指標であり、インフルエンサー、印刷メディア、セレブリティ、公式サードパーティパートナー、ブランドのメディアチャネルの影響を追跡する。

スーパーボウル関連のアクティベーション

ただし、スーパーボウルの前には、SavageX.comとFentyBeauty.comのいずれにおいても、サヴェージの「フルスピード(Full Speed)」コレクションのローンチ日だった2月2日を除いて、ウェブサイトのトラフィックが大幅に増加することはなかった。2月1日には約14万件だったトラフィックは2日には40万件に急増した。一方、フェンティ・ビューティのウェブサイトのトラフィックは2月には約8万件と安定していた。どちらのブランドもリアーナ氏のパフォーマンスを利用して、サヴェージはロサンゼルスで3日間のポップアップを開催し、パーカー、スウェットパンツ、ボクサー、ビーニーのゲームデイ(Game Day)コレクションを披露した。同様に、フェンティ・ビューティも1月末にフットボールテーマのゲームデイコレクションをローンチした。FentyBeauty.comでは現在、「ゲームデイ」専用タブがナビゲーションバーに表示されるようになっており、ホームページにはリアーナのハーフタイムショーのビューティルックの詳細が掲載されている。

データ検索会社、スペイト(Spate)の共同創業者、ヤーデン・ホロウィッツ氏は次のように述べている。「フェンティ・ビューティはこの1年間、ビューティカテゴリーのトップのトレンディングブランドであり、2022年11月が売上のピークだった。『リアーナ』の検索はスーパーボウルに至るまでの数日間に盛り上がったが、『フェンティ』の検索では同じようなことは見られなかった。だが、スーパーボウル以降は検索が増えると予想している」。

次の動きは、サヴェージとフェンティがハーフタイムショーを利用してメディアモーメントを拡大する能力にかかっている。たとえば、日曜日のスーパーボウルの後、フェンティ・ビューティは翌日に顧客に「リアーナのアイコニックなハーフタイムショーのルック」というタイトルのメールを送信した。ニュースサイクルの速さを知っているカイザー氏は、リアーナのブランドがハーフタイムショーをマーケティングに使い続けられるのは数週間しかないと述べている。2月13日月曜日の時点で、サヴェージはインスタグラムとTikTokでスーパーボウルに関して9本の投稿を共有している。一方、フェンティ・ビューティとフェンティ・スキンはインスタグラムとTikTokに15本の投稿を行った。

「(インビジマットを使った)瞬間はこれらのブランドを構築するためにリアーナ氏が行ってきたすべての作業を統合した素晴らしい瞬間だった。歌唱、美容、ファッション、そして妊娠のニュースすべてをまとめたのは長年の尽力の集大成のように見えた」とカイザー氏は語った。

[原文:Beauty & Wellness Briefing: Rihanna was the real winner of the Super Bowl

EMMA SANDLER(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)

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