広告業界で変化する「 プレミアムコンテンツ 」の定義:SPOからアドレッサビリティ、SSPとの関係性まで

DIGIDAY

景気の先行きが不透明ななか、広告主はメディア予算の使い道をこれまで以上に厳選するようになった。無駄を省くことに加え、「プレミアムコンテンツ」という定義のハードルを上げることに、ますます力を入れている。

これらの問題は、11月の初週にニューヨークで開催されたいくつかのカンファレンスで議論され、出席者たちは、メディアのサプライチェーンのスリム化(トップが交代したTwitterの役割を含めて)や、景気後退期におけるメディア予算の正当化について話し合った。

コンテキストは依然として最重要

DSPのザ・トレードデスク(The Trade Desk、以下TTD)は2022年、同社のもっともディスラプティブなサプライパス最適化の取り組みとして、広告主がプレミアムパブリッシャーの広告インベントリー(在庫)に直接アクセスできるようにする「オープンパス(OpenPath)」を立ち上げた。

TTDのインベントリー開発担当バイスプレジデント、ウィル・ドハーティー氏は、動画プラットフォームのコナティックス(Connatix)が開催したイベント、Captivateのパネルセッションで、ジャウンス・メディア(Jounce Media)のクリス・ケイン氏の質問に回答。業界第2位である同DSPの考え方がどのように進化してきたかについて語った。

重要なのは「パブリッシャーが構築した、実際に存在し直接販売されるような動画だ」とドハーティー氏は述べ、TTDによるサプライパスの品質確保の取り組みを通じて、直販ではなく、コンテキストに関連しない動画インベントリーがたびたび見つかっていたと話す。

「このようなミスマッチはいずれ気づかれるし、それ以外にも動画より長い広告などが挙げられる」と、ドハーティー氏は述べている。「我々が望まないのは、我々の需要の多くが意図せずして、ユーザーの期待にもマーケターの期待にも沿わないMFA(made-for-advertising:ユーザーの興味を引き、広告をクリックさせることだけを目的としたサイト)のようなブランド価値を下げるコンテンツに流れてしまうことだ」。

測定がこれまで以上に重要に

業界のほとんど誰もが、広告主の予算の大幅減が予想される不況に身構えるなか、Captivate by Connatixの同じセッションにパネリストとして参加したホライゾン・メディア(Horizon Media)のジェシー・フィッシャー氏と、グループエム(GroupM)のエスラ・バッカー氏は、マーケターがどのように予算を決定するかについて語った。両氏ともに指摘するのは、新興ブランドか成熟したブランドかによって、優先順位が変わってくるということだ。

フィッシャー氏は、「新興ブランドの場合、認知度を上げる必要があるため、まだROIに多くを投じることができない」として、そのようなマーケターは引き続き認知度の向上を優先する可能性が高いと述べている。

また、同氏は「しかし、より成熟したブランドに目を向けると、非常に有利なポジションにいるのがわかる。(中略)彼らは100万ドル(約1億4000万円)費やすなら110万ドル(約1億5000万円)のROIを確実に得られるようにしたいので、より測定可能なチャネルやアクティベーションに支出をシフトする可能性がある」と言及した。

バッカー氏は、「アドレッサビリティが鍵だ」と述べ、データの活用に関してマーケターとそのメディアエージェンシーの洗練度が上がっているため、予想される今後の不況下でなされる決定は、2008年の金融危機後におけるそれと同じにはならないと指摘した。

加えて、「2008年には、全体で平均30%前後の削減となったが(中略)、これから起こることに対しては、(新型コロナウイルス感染症の)パンデミックがちょうどよい予行演習になった」とバッカー氏は振り返り、一例としてバイヤーに識別子を提供するCTVのブームを挙げた。さらに、「我々は、オーディエンスがどこにいて、どこで最も高いエンゲージメントが得られるかに合わせ、アドレサブルな測定が得られる場所に応じて再配分している」と話した。

最重要事項は、中間業者の排除

(前出のTTDのドハーティー氏が述べたように)DSPがプレミアムパブリッシャーと密接な関係を構築するのと並行して、メディアエージェンシーも同様にSSPと密接な関係を築いており、グループエムのような企業はサプライの重複を最小化しようとしている。

「1万社のパブリッシャーと話すことは不可能だが、50社のSSPと話すことは可能だ」と、ブランドセーフティ・ウィーク(Brand Safety Week)の出席者のひとり(米DIGIDAYの取材に応じることが許可されないため匿名を希望した人物)は述べている。

同氏は、「そのため、例えば10~15社のパブリッシャーにDSPを介して予算をいくら投じるかを検討し、その上で、どのSSPがユニークなサプライ、ユニークなデータ、(中略)そして(決定論的または確率論的な)代替IDを生成するのに我々が活用できる番組レベルのデータなどに関して、透明性を有しているかを検討するだろう」と話した。

[原文:How the buy-side of the ad industry is now defining ‘premium’ content

Ronan Shields(翻訳:高橋朋子/ガリレオ、編集:島田涼平)

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