米メディアの 労働組合 、労働契約締結に向けた第4四半期の動き:要点まとめ

DIGIDAY

経営陣との労働契約締結を画策するニュースルーム系労働組合は、年末が近づき躍起になっている。

新型コロナのパンデミックが始まってからというもの、アトランティック(The Atlantic)やポリティコ(Politico)などのパブリケーションで働くジャーナリストらは、経営陣お墨付きの労働組合を立ち上げてきた。しかしながら、なかにはそれほどスムーズに事が運んでいないニュースルームもある。

ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)の労働組合は、1970年代以来というストライキを12月8日木曜日に敢行すると息巻いた。ロイター(Reuters)は12月に入るとすぐに2日間のピケを張っている。また、ハースト・マガジン(Hearst Magazine)の労働組合も11月28日のサイバーマンデーにラリーを開催した。

この数カ月、メディア系労働組合ではさまざまな活動が見られるので、そのすべての動向を追跡し、結果をチェックするのは至難の業と言えるだろう。

そこでここでは、第4四半期における主要労働組合の動き(ストライキからラリー開催まで)を、時間を遡りながら見ていこう。

ニューヨーク・タイムズ

日付:12月2日

行動:ストライキ決行で威嚇

詳細:ニューヨーク・タイムズの労働組合員は、1000人以上の組合員が署名した誓約を経営陣に送りつけ、労働契約が締結されなければ、12月8日に24時間のストライキを決行すると強気の姿勢を示した。同組合の契約は2021年3月で期限が切れている。組合は、12月8日午後1時(米東部時間)にニューヨーク・タイムズ本社ビルの外でパブリックラリーを決行する予定。

結果:未定。これまでのところニューヨーク・タイムズ経営陣は、ストライキを決行すれば、12月8日には給与が支払われなくなる旨を従業員に伝えている

ロイター

日付:12月1日

行動:2日間の情報ピケ

詳細:ロイターの労働組合員は、ニューヨークのマンハッタン、ミッドタウンにある「ロイターNEXT」グローバルフォーラムの外で、11月30日と12月1日の2日間にわたり情報ピケを張った。ロイター労働組合の代理を務めるニュースギルド・オブ・ニューヨーク(NewsGuild of New York)の発表によると、同組合は通りを歩く人々にビラを配り、経営陣に「速やか」な契約締結を求めた。今回のピケが実施されたのは、組合員の81%がストライキ実施に賛同してから数週間後。その前には、8月4日にロイター米国各局の従業員約300人が1日限定のウォークアウト(抗議のための一時的な職場放棄)を実施した。これは同組合で30年以上ぶりのウォークアウトとなる。なお、組合によると、全面的な賃上げは3年にわたり実現していないという。契約期限が切れてから12月15日で2年になる。

結果:依然として契約に至らず。経営陣との交渉が12月6日に再開

ハーストマガジンズ(Hearst Magazines)

日付:11月28日

行動:ラリー

詳細:サイバーマンデー(11月28日)の夜、ハーストマガジンズの従業員と支援者150人が、ハーストタワーの前に集結し、初の労働契約に向けてラリーを決行した。主な抗議の主張は賃上げ。同労働組合は、契約を2年間にするよう交渉を続けている。

結果:依然として契約に至らず。

ガネット

日付:11月4日

行動:1日限定ストライキ

詳細: 14ニュースルームのガネット従業員200人以上が、1日限定ストライキを実施。解雇や一時解雇をもたらしたコスト削減に反対するだけでなく、賃金と手当の上昇も求める。そのほかも数多くの従業員が各地でピケを張った。この動きに先立ち、9月にニューヨーク市マンハッタンのミッドタウンで開催されたシティのグローバル・テクノロジー・カンファレンスの外では、数名のガネット組合員が抗議活動を実施。登壇する同社CEOマイク・ミード氏の注目を引くためだ。リード氏はストライキ参加者に、年末までには労働組合と契約合意に至りたいと伝えている。

結果:契約はまだ合意に至っていない。

ピッツバーグ・ポストガゼット

日付:10月18日

行動:ストライキ

詳細:10月18日、ピッツバーグ・ポストガゼットのニュースルームスタッフで、ピッツバーグの新聞労働組合ニュースぺーパー・ギルド・オブ・ピッツバーグ(Newspaper Guild of Pittsburgh)に所属する101人のジャーナリストが、同社に対して「不公平な労働慣行の是正を求めるストライキ」に賛成票を投じた。

結果:労働組合員は現在もストライキを続行中。12月6日に経営陣の代表者と3回目の会合を持ち、12月20日に再度交渉が予定されている。要望がある程度認められるまでストライキはやめないと従業員。その要望には、一部部門の従業員を再度健康保険の対象にすること、新たな契約が合意されるまで以前の契約の条件を復活させることなどがある。

ドードー(The Dodo)

日付:10月7日

行動:ストライキをちらつかせる

詳細:ボックスメディア(Vox Media)傘下のドードーで働く記者と編集者40人全員がストライキ決行をちらつかせた。10月末の契約の期限が切れるまでに契約同意に達しなければストライキに突入するという誓約書に署名していたのだ。ボックスメディアCEOのジム・バンコフ氏のもとには、公平な契約を求める3700人以上の署名文書が送付された。このレターキャンペーンは、米国最大のアメリカ労働総同盟・産業別組合会議(AFL-CIO)のみならず、下部組織の熟練労働者部門やニューヨーク市地方労働組合評議会も支持。

結果:10月31日、組合は3年間の新たな団体協約を批准。これはドードーで2回目の団体協約であり、ボックスメディアでは初の団体協約である。

業界の声

「TikTokは依然としてとても価値が高いが、なんといってもキングはYoutTubeだ。テレビで[YouTubeを]見るので、視聴時間が長くなる。それに、[新たに加わった]ショート[動画]というメリットは間違いなく大きな強みになる」
――チームホイッスル、コンテンツ担当エグゼクティブバイスプレジデント、ノア・ワイズマン氏。同社がオリジナルのYouTubeショート動画制作に投資する理由に言及。

[原文:Media Briefing: A timeline of media unions’ actions this quarter

Sara Guaglione(翻訳:SI Japan、編集:分島翔平)

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