ミラノファッションウィーク(以下、MFW)ではデザイナーたちが持続可能性に関する対話を推進し続けている。9月の最後の週末にミラノでショーを行ったシンガポール人デザイナーのリサ・フォン・タン氏は、自身の名を冠したブランドのコレクションの全作品に新しい持続可能性の実践を取り入れた。
ミラノファッションウィーク(以下、MFW)ではデザイナーたちが持続可能性に関する対話を推進し続けている。
リサ・フォン・タンの持続可能性を実践したコレクション
9月の最後の週末にミラノでショーを行ったシンガポール人デザイナーのリサ・フォン・タン氏は、自身の名を冠したブランドのコレクションの全作品に新しい持続可能性の実践を取り入れた。埋め立て地に捨てられる運命だったデッドストック生地をイタリアの繊維工場からアップサイクルしてドレスやガウンを制作した。絹や麻などの天然素材も化学処理されていないものが使われた。また、フォン・タン氏はこのコレクションの全サプライヤーと全パートナーがオーガニック テキスタイル スタンダード(Global Organic Textile Standard)、グローバル リサイクル スタンダード(Global Recycle Standard)、ワールドワイド レスポンシブル アクレディテーション プロダクション(Worldwide Responsible Accredited Production)プログラムなどの環境認証を取得していることを確認した。
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テモワールの持続可能性の取り組み
同様のテーマとアイデアはほかのショーでも見られた。
イタリアのブランド、テモワール(Themoiré)はトゥギャザー・バイ・テモワール/チャプター02(Together by Themoiré/Chapter 02)というコレクションを発表した。全作品はマダガスカルから持続可能な方法で調達されたヤシの葉であるラフィアから100%作られている。また、テモワールは現地の職人と協力して繊維を織ってコレクションを制作したが、売上の一部をマダガスカルの孤児院に還元する計画がある。
テモワールの共同創業者のフランチェスカ・モナコ氏は次のように述べている。「限定版のコレクションの制作のために、メキシコ、チアパス州オクスチュックのコミュニティに関与してもらった。カンタロアスール(Cantaro Azul)協会と協力して売上からの収益を再投資し、農村部の7校に飲料水を提供した。このプロジェクトのチャプター02ではアンタナナリボのコミュニティが対象だ。マダガスカルの赤土とその優れた生物多様性の稀有な美しさに我々は魅了されたが、極度の貧困にある住民たちの状況に無関心ではいられなかった」。
生物多様性保護賞を受賞したゼニア家
持続可能性はエルメネジルド・ゼニアでも称えられた。同ブランドは9月25日にミラノで開催されたイタリアファッション国立商工会議所(Camera Nazionale della Moda Italiana)の毎年恒例のサステナブルファッション賞において生物多様性保護賞を受賞した。エルメネジルド・ゼニアとゼニア家は100年以上にわたり維持されてきた北イタリアの100平方キロメートルの保護区域であるオアジゼニア(Oasi Zegna)により表彰された。ゼニア家はこの区域に50万本以上の木を植え、土地を再生して、無料の自然公園に変えている。
イタリアはファッション業界の持続可能性への取り組みにとって重要な場所である。同国にはデザイン、素材調達、製造の、そしてMFWなどのショーケースイベントの重要な拠点があり、すべてがファッションの持続可能な実践を促進する役割を果たしている。
持続可能性の実行を促すショートフィルム上映
ファッションの未来への投資としての持続可能性へのフォーカスもMFWにおいて模索された。ウィメンズウェアブランドのプランC(Plan C)はこの構想を前面に押し出したコレクションでパオロ・ゼルビーニ監督のショートフィルムを上映した。
「フィルムで持続可能性を実現させるという視聴者の持久力を広げたかった、夢と同じように」とゼルビーニ監督は述べている。「だが、目覚めることによって夢は初めて現実のものになる」。
[原文:MFW Briefing: In Milan, designers look toward a sustainable future]
DANNY PARISI(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)
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