ケンタッキー、 Google のアドバイスのもとアプリ戦略を一新:「ファーストパーティデータで顧客体験を強化する」

DIGIDAY

ファストフードブランドのKFC(KFCコーポレーション)が、テック大手企業Googleからのアドバイスを得て、専用アプリの新戦略を開発した。

アプリの新戦略は2020年、Googleがブランドの指針となるインサイトを共有した後、実行に移された。

2021年にリリースされたアプリを見直す取り組みは、KFCのマーケティングリーダーの交代に伴うもので、同チェーンは、商品をより顧客に親しみやすいものにしようと試みている。GoogleとKFCは2020年から協力関係にあるが、両社はそれぞれ、この提携に関する金銭面での合意について公表を控えている。

自社アプリの浸透とファストパーティデータ

KFCのカスタマージャーニー・マーケティング担当ディレクター、ジェフ・ロング氏は、「顧客にKFCを楽しんでもらうために、時間をかけてより良い体験を提供し続けることを目指している」と語る。同ブランドがアプリ広告や有名なバーレル(樽型パッケージ)の広告などTVで取り入れている、顧客の生活をよりよいものにしたいというメッセージをアピールするのが狙いだ。

KFCアプリを使えば、顧客は前回の注文を再注文でき、容易に時間を節約できる。これらの機能は、Googleが分析したデータを考慮して作られたものだが、この新戦略は、プライバシーに対するKFCの視点を揺るがすものではない。「我々は、ゲストの体験をより適切でパーソナライズされたものにする方法を常に模索しており、ファーストパーティデータを取得・拡大することは、その強化された顧客体験を提供する方法のひとつだ」と、ロング氏は述べる。

Googleの飲食・レストラン業界担当責任者、ミーガン・ダニエルソン氏は次のように話す。「カスタマージャーニーの多くがデジタルで行われるようになった今、我々は、KFCのようなブランドと新しい方法で提携し、変化し続ける消費者の需要に応えるために、こうした方針転換やニーズを支援するユニークな機会を得ている」。ダニエルソン氏は、「テイクアウトレストラン」の検索が2020年から2021年にかけて前年比で400%増加していることを指摘したが、その成長の正確な数値は示していない。

ソーシャルメディア戦略のターゲットはミレニアル世代とZ世代

娯楽としてオンライン動画やケーブルTVを利用する人が増えているのは周知の通りで、YouTube、インスタグラム、TikTokなどのプラットフォームは、既存および新規のオーディエンスにリーチするための強力なツールになり得る。KFCがラッパーのジャック・ハーロウとコラボした最近のキャンペーンは、これらのソーシャル・プラットフォームの人気を利用したものだ。

KFCは、ソーシャルメディア戦略の一環として、ソーシャルメディア・プラットフォームをオーガニックに活用し、ジャック・ハーロウを起用したキャンペーンでミレニアル世代とZ世代の注目を集めようとした。「我々は、各プラットフォームの長所と短所を活用し、我々が提供するサービスの内容や、なぜKFCやジャック・ハーロウの食事に注目すべきかを理解してもらうための、全体的なキャンペーンアプローチを考えていた」と、ロング氏は語る。

ロング氏は全体的な予算の詳細を明らかにしていないため、広告予算のうちどの程度がKFCアプリに割り当てられているかはわからない。ロング氏は、KFCがオーガニックな成長のためにFacebookを利用し、広告費はTikTok、ピンタレスト(Pinterest)、Twitter、インスタグラムに分割されていると述べる。カンター(Kantar)のデータによると、KFCは2022年にマーケティング活動に4700万ドル(約61億8700万円)近くを費やしているという。

ブランドは最も忠実な顧客に投資し備える

パンデミックによりレストランアプリのダウンロードは増加した。レストランのオーナーたちは消費者のあいだで自身を差別化し、もはやCookieをあてにできなくなった時代にロイヤルティを高めようとしている。

オムニチャネル・マーケティング・プラットフォームのスカイ(Skai)でCMOを務めるマーゴ・カーンローズ氏は、「パンデミックによるファストフードのオンライン注文の増加と相まって、チェーンのモバイルアプリにトラフィックを送るための投資をすることは賢明だ」と述べ、消費者との認証された関係により、KFCは豊富なファーストパーティデータに基づいて、関係を調整しサービスを提供できるようになったと付け加える。統計データによると、2021年秋には、サードパーティ製アプリと比較して、レストランの顧客の半数以上がそのレストランの自社アプリを日常的に利用していることが判明している。

デジタル市場は近年、アプリの成長により、パーソナライズされたブランド体験という考え方に馴染んできていることが明らかになっている。たとえば、KFCのようなトップブランドは、最も忠実な顧客に投資し、消費者の習慣が時間とともに進化し続けるなかで、次に来るものに備えようとしている。

UTAのパートナーで、戦略的アドバイザリー企業メディアリンク(Medialink)のエンターテインメントおよびカルチャーマーケティング部門の共同責任者であるデビッド・アンダーソン氏は、「最も成功しているブランドは、見出しだけに頼るのではなく、利用可能なあらゆるプレミアリソースを活用し、結果と成長を促すことを目的としたデータに裏付けられたソリューションを構築している」と語った。

[原文:Why KFC worked with Google to create a marketing strategy for its app

Julian Cannon(翻訳:藤原聡美/ガリレオ、編集:猿渡さとみ)

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