人気の対戦ゲームプラットフォーム 、広告在庫の販売へ:「フェイスイット」の新戦略

DIGIDAY

大手ゲームプラットフォームのフェイスイット(FACEIT)は、広告サービスフェイスイット・アド(FACEIT Ads)を開始した。このサービスにより、同社のeスポーツプラットフォーム内でブランドたちが直接ゲーマーにリーチできるようになる。同社のプラットフォームは、カウンターストライク(Counter-Strike)、ドータ2(Dota 2)、ロケット・リーグ(Rocket League)などのゲームのリーグとトーナメントを管理している。

2012年の設立以来、フェイスイットは業界でもっとも人気のあるゲームプラットフォームのひとつとなり、世界中で2350万人以上のユーザーを誇っている(数字は同社提供)。このプラットフォームは、Webブラウザと専用デスクトップアプリケーションの両方を介してアクセス可能で、主要なトーナメントを開催し、ランク付けされたマッチメイキングサービスを提供する競技プレイヤーのためのコミュニティハブとして機能している。2月、サウジアラビアを拠点とする持ち株会社サヴィー・ゲーミング・グループ(Savvy Gaming Group:SGG)が同社を買収し、近くSGGが最近買収したESLゲーミング(ESL Gaming)と合併する。

フェイスイットは何百万人もの優良ユーザーを抱えており、eスポーツコミュニティに興味を持つ広告主にとって価値あるものとなっている。しかしフェイスイット・アドは同社の最初の広告サービスであり、実験的な態度でローンチを扱っている。同社の商業戦略責任者であるジュリア・ゼッチーニ氏は、「どのようなクリエイティヴが有効で、どのようなものが顧客にとって効果的かについて、A/Bテストを行う必要がある」と述べている。

従来の広告とゲーム内広告の中間

現在、フェイスイットは、オーバーレイ動画やクライアントの下部に表示されるリーダーボード・バナー広告など、プラットフォーム内広告のさまざまなフォーマットをブランドに提供している。「やり方は繊細だ。オーバーレイと動画のロジックは非常にテストされている。オーバーレイはユーザーにとってかなり邪魔なので、ユーザー体験を混乱させたくない」と広告収益化製品ディレクターで、同社がゲーム内広告会社ビッドスタック(Bidstack)から引き抜いたモリッツ・ナタリニ氏は言う。「基本的に、ユーザーが特定の長さの非アクティブ状態から復帰したときにのみオーバーレイをトリガーするトラッキングを作成した。たとえば、ゲームをしているユーザーが、ウィンドウから3分以上離れたあとに戻ってくると、この目に留まるイメージが表示される」(広告製品の価格について具体的な詳細を明らかにしなかった)。

同社のプラットフォーム内広告は邪魔にならないものであると同時に、ユーザーのゲーム体験に統合されているため、同社は今回の新製品がゲーマーを苛立たせることなくブランドを満足させると確信している。視覚的には、オーバーレイされた動画とバナー広告は多かれ少なかれ従来的な広告である。ブランドはその仕組みに慣れており、プログラマティック的に売買することができる。しかし、「完全に没入的な体験だ」とゼッチーニ氏は言う。「ブランドがフェイスイットで広告展開すると、人々がブランド活動に積極的に参加しているような体験を作り出すことができる。ただ受身的に視聴する広告ではない」。

従来の広告フォーマットを競技ゲーム体験のなかに埋め込むという形式を取ることで、フェイスイット・アドは従来の広告とゲーム内広告の中間に位置している。「それはゲームを中断させるような広告ではなく、注意を惹きつける広告になるだろう。そしてそれはうまくいくだろう」と、体験型広告テクノロジー企業リアクト(React)の最高経営責任者、フランク・マッジョ氏は語った。「これらの人々は、ゲームから興奮を受け取ったばかりで、次のアドレナリン・ラッシュを待っている状態だ(その状態で広告を消費する)」。

競技ゲーマーにリーチする機会

プラットフォーム内広告に加えて、同社はゲーム分野に広告参入するブランドにコンサルティングサービスを提供し始めており、ブランドにとって安全な環境を構築するために、より多くのオーダーメイドの広告体験を構築している。「完全にブランド化されたゲーム体験を構築することができる」とゼッチーニ氏は言った。「5対5ではなく2対2の形式でレッドブル(Red Bull)のためにカウンターストライク・トーナメントを作った」。

同社はまた、ブランドセーフティに関する長年の議論を肝に銘じている。「ゲームにもいくつか編集が加えられている。リアルな血を流すのではなく、もう少し未来的な演出にしており、ブランドにとっては素晴らしいことだ」とゼッチーニ氏は付け加えた。

近く展開されるインテル(Intel)の広告キャンペーンに加えて、フェイスイット・アドはすでにビザ(Visa)やエクスプレスVPN(Express VPN)などのブランドと提携しており、前者のプロモーションは2億2500万インプレッションを獲得したと、内部の数字を引用した。ゲーム活動が増加しているなか、eスポーツプラットフォームの広告サービスは、ブランドがゲームを中断することなく、競技ゲーマーにリーチする機会を提供するポテンシャルを持っている。

「誰もがeスポーツ視聴者を求めている」

「私がフェイスイットで仕事を始めたとき、私の目標のひとつは、ブランド、エージェンシー、従来的なメディアバイヤーにフェイスイットが誰であるかを確実に知ってもらうことだった。なぜなら、明らかに市場にとって新しいものだったから」とナタリーニ氏。「しかし実際はとてもシンプルだった。誰もがeスポーツ視聴者を求めている」。

[原文:How FACEIT is turning its popular competitive gaming platform into inventory for esports ads

Alexander Lee(翻訳:塚本 紺、編集:長田真)

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