DIGIDAYリサーチ: パブリッシャーの プログラマティック広告 依存、今後も拡大の見通し

DIGIDAY

プログラマティック広告のオープンマーケットが、問題点を抱えていることをパブリッシャーたちは理解している。しかし、だからといってそこから得られる収益、とくにオープンマーケットから得られる収益から企業は目を背けていないようだ。

実際、DIGIDAYリサーチがパブリッシャー勤務のプロフェッショナル112人に調査したところ、パブリッシャーはプログラマティック広告からかなりの割合の収益を得ており、その大部分はオープンマーケットからのものだという。

同調査では、パブリッシャーにとってはプログラマティック広告が大きな収益源であり、このカテゴリーにはまだ成長の余地があることがわかった。回答者の85%が、2023年第1四半期のプログラマティック広告から少なくともわずかな収益を得ていると回答しており、これは6カ月前の78%から増加している。

また、84%が次の6カ月で、プログラマティック事業を拡大することに少なくとも一部の焦点を当てる予定であり、これは昨年の第3四半期の76%から増加している。

プログラマティック広告から大きな収益を得るパターンは再び上昇

プログラマティック広告から収益を得ているパブリッシャーだけを見てみると、「大きな収益」を得ている傾向が強い。同調査に回答した人のうち、3分の1以上(38%)が、プログラマティック広告から「大きな収益」または「非常に大きな収益」を得ていると述べた。

この割合は、37%が同様の回答をした2年前と同水準だが、昨年2022年には同じ回答をしたのは30%~32%であったことから、回復していることが分かる。それに比べ、過去2年間でプログラマティックから「小さな収益」または「非常に小さな収益」を得ていると述べた回答者は、4分の1程度だ。

今回の調査結果をみると、パブリッシャー企業のプログラマティック広告事業は、どちらかといえば成長する可能性が高いことを示している。今年の第1四半期に回答者の45%が、今後6カ月間でプログラマティック事業を拡大することが「大きな焦点」または「非常に大きな焦点」となると述べた。これは、2022年の第3四半期に同じことを述べた回答割合の43%と一致しているが、昨年の第1四半期の32%と比べると大幅なジャンプである。

一方、同調査に回答した人のうち、第1四半期にプログラマティックが今後数カ月間で「小さな焦点」または「非常に小さな焦点」となると述べたのは18%だけだった。

同調査では、大手パブリッシャーと小規模パブリッシャーのあいだで、プログラマティック広告収益にどれだけ依存しているかについて大きな違いがあることがわかった。大手では、プログラマティック広告から少なくとも「非常に小さな部分」の収益を得ていると回答した割合は93%であったのに対して、小規模パブリッシャーのあいだでは72%に減少する。

そして、プログラマティック広告から収益を得ているパブリッシャーのなかでも、企業規模によって得られる収益に大きな違いがあることも明らかになった。大手パブリッシャーで働くプロフェッショナルの27%が、プログラマティック広告から「適度な部分」の収益を得ていると述べたのに対し、小規模パブリッシャーで同様の回答をしたのは17%だった。

また、大手の32%がプログラマティック広告から「大きな部分」の収益を得ていると述べたのに対して、小規模パブリッシャーで同様の回答をしたのは22%だった。「非常に大きな部分」の回答カテゴリーにおいても違いは一貫している。大手の17%がプログラマティック広告から「非常に大きな部分」の収益を得ていると述べたのに対して、小規模なパブリッシャーではわずか8%だった。

大手は小規模パブリッシャーよりもプログラマティックにフォーカス

プログラマティック広告収益における大手と小規模パブリッシャーの違いは、今年も変わらないだろうことも今回の調査で明らかになっている。大手パブリッシャーの93%が今後6カ月間でプログラマティック広告ビジネスの成長に少なくとも「非常に小さな焦点」を当てると述べたのに対し、小規模企業で同様の回答をしたのは75%となっている。

大手勤務の回答者のほぼ3分の1(32%)が、今後数カ月でプログラマティック事業の成長に「大きな焦点」を当てると述べ、4分の1以上(27%)が「非常に大きな焦点」とすると述べた。一方、小規模パブリッシャーで働く回答者のなかでプログラマティック事業の成長に「大きな焦点」を当てると述べたのは19%で、「非常に大きな焦点」とすると述べたのも同じく19%だった。これらは、大小の企業間で顕著な違いだ。

今後6カ月間でプログラマティック広告収益の拡大に注力すると述べた小規模パブリッシャーのうち、最も高い割合(28%)がこの事業部分に「適度な焦点」を当てると述べた。

プログラマティック広告から収益を得ているパブリッシャーのなかでは、直接販売のプログラマティック広告よりもオープンマーケットから多くの収益を上げる傾向がはるかに強いことが同調査で分かった。

プログラマティック広告から収益を得ているパブリッシャーの27%は、今年の第1四半期にオープンマーケットのプログラマティック広告から「大部分の収益」を得ていると述べた。これに対して、直接販売されたプログラマティック広告から「大部分の収益」を得ていると回答したのは15%だった。

一方で、オープンマーケットからプログラマティック広告収益の「非常に大部分」を得ているとの回答は26%であり、直接販売されたプログラマティック広告から「非常に大部分」の収益を得ていると回答したのは9%だった。

また、オープンマーケットからプログラマティック広告収益の大部分が得ているとDIGIDAYに回答した割合は、過去6カ月間で大幅に増加した。昨年の第3四半期にオープンマーケットのプログラマティック広告から収益の「大部分」を得ていたと述べた回答は19%であった(これは昨年の第1四半期に同様の回答を述べた割合[18%]と同じだ)。その割合が今年の第1四半期に27%に上昇したかたちだ。

一方で、直接販売されたプログラマティック広告からプログラマティック広告収益の「大部分」を得ていると回答した割合は、過去6カ月間で減少した。2023年の第1四半期の回答は19%であり、これは2022年の第3四半期の24%および2022年の第1四半期の23%から減少した。

同時に、直接販売されたプログラマティック広告からプログラマティック広告収益の「適度な部分」を得ているとの回答は、2022年の第3四半期の21%から2022年の第1四半期に33%に上昇した。

[原文:Digiday+ Research deep dive: Publishers’ dependency on programmatic is likely to grow, with focus on open market

Julia Tabisz(翻訳:塚本 紺、編集:島田涼平)

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