生理用品のD2Cブランドが TikTok でコミュニティの構築に力を注ぐ理由:「啓発にもコンバージョンにも効果を発揮する」

DIGIDAY

この1年間、生理用品を手がけるD2Cブランドのヴィヴ(Viv)が、TikTokでのマーケティング活動に力を入れている。このプラットフォームを活用してブランドの認知度を高め、自社の月経カップの使い方を消費者に知ってもらうためだ。こうした戦略は、自社ブランドの売上を増やすだけでなく、生理について話すことへの偏見をなくすのに役立っていると、ヴィヴの創業者でCEOを務めるケイティ・ディアスティ氏はいう。

ディアスティ氏によれば、ヴィヴが2021年4月にTikTokで初めて啓発動画のシリーズを投稿して以来、ブランドの売上は140%増加したという。ただし、TikTokを利用する前の売上額や現在の売上額は明らかにされていない。全体としては、同社はTikTokコンテンツで有料とオーガニックの両方のアプローチを採用しており、パフォーマンスの高いオーガニックコンテンツ(啓発的な内容のものが多い)の背後に、有料メディアを配置している。

「我々の使命のひとつは、生理に対する偏見をなくすことだ。(中略)そのためにできるのは、生理について話すことだけだ」と、ヴィヴでデジタルマーケティングおよびデザイン担当ディレクターを務めるケリー・ドノヒュー氏はいう。「TikTokは、人々が普段話さないようなことを話題にするのにとても適したプラットフォームだ」。

さらにドノヒュー氏は、次のように話す。「啓発という点で、(TikTokは)素晴らしい機会を提供してくれる。人々に直接語りかけ、彼らを啓発し、製品を紹介し、製品がどのように使われているのかを示すことができるのだ。Facebookやインスタグラムといったほかのソーシャルメディアプラットフォームでは、このような機会は得られない」。Facebookとインスタグラムは新たなステージをもたらしたが、その次のステージを切り開いたのはTikTokだった。TikTokは、動画コンテンツで発見を促すだけでなく、いままでにない方法でこのような共通体験に光を当て、こうした体験を次のステージに導いてくれる。そのため、女性たちはTikTokに参加することで自分の考えを共有できる。

TikTokの効果は実証済み

消費者を啓発するためのマーケティングツールとしてTikTokを利用しているのは、ヴィヴだけではない。最近では、フェンダー(Fender)やベビーリスト(Babylist)など複数のブランドがTikTokのプラットフォームに目を向け、増え続ける TikTokのオーディエンスにリーチしようと、啓発動画を配信してブランド認知度を高めている。TikTokのおかげで忠実なコミュニティを構築して販売を促進できたヴィヴにとって、TikTokの効果は実証済みだ。

ヴィヴはTikTokの有料メディアに費やしている金額を明らかにしていないが、このプラットフォームで集中的に有料広告を展開している。「私の推測では、有料広告予算のおよそ80%がTikTok広告に向けられている」と、ディアスティ氏は話す。

また、同社がTikTokに力を注ぐようになったのは売り上げの増加がきっかけで、TikTokのコンテンツは月経カップをより親しみやすい製品にするのに役立っているという。「インフルエンサーマーケティングやアフィリエイト、それにGoogle広告も少しは利用しているが、コンバージョンが高いのは圧倒的にTikTokだ」。

共通の体験でコミュニティを構築

ヴィヴの啓発動画は、18~49歳の女性を主要なターゲットとしている。最近の調査によれば、TikTokユーザーは1日に平均52分をこのアプリに費やしている。また、TikTokユーザーの60%はZ世代で、彼らがこのプラットフォームに費やしている時間は、1日あたり最大5時間に及ぶという。

TikTokを啓発キャンペーンに活用すれば、タブー視されがちな話題に光を当て、その話題に対する認識をオーディエンスに広めることができる。「消費者を対話に誘い込むことができる機会は、ブランドにとって重要だ。その対話が私たちの健康やウェルネスに大きな影響を与えるものであれば、なおさらだろう」と、マーケティングエージェンシーのマニフェスト(Manifest)でアソシエイトクリエイティブディレクターを務めるテス・ドミトロフスキー氏は話す。「ソーシャルプラットフォームは学習ツールであり、この種の話題をチャネルに取り入れるブランドが増えるほど、その話題が消費者の心に響くようになる」。

ヴィヴのようなブランドは、コミュニティを構築する方法を見つけ出すことでメリットが得られると、ベルリン・キャメロン(Berlin Cameron)のソーシャルメディアストラテジスト、ペイジ・レイチック氏は指摘する。「ヴィヴはTikTokで強固なプレゼンスを築いている。女性は生理について話すことを非常に恥ずかしがったりためらったりしがちだが、もとよりプレゼンスがあることで、このような話題もタブー視されにくくなる。女性は平均して(人生のうちの)10年分を生理とともに過ごすことになるが、これまで女性はひとりで悩みを抱え込んでいた。共通の体験を中心としたコミュニティを構築するのは賢明なやり方だ」。

ヴィヴのコンテンツはすべて、3人のチームが社内で作成している。「私たちの分野と生理用品市場に対する私たちの深い理解を考えれば、自前で規模を拡大できることには非常に大きなメリットがある」と、ディアスティ氏は述べている。

ヴィヴでは、コミュニティを成長させるために今後もTikTokを活用する計画だ。「我々のブランドは、ほとんどコミュニティのようなものであり、人々に製品のことを伝えるだけでなく、彼らとのやりとりをもっと増やしたいと考えている」と、ドノヒュー氏は話す。「我々はコミュニティの意見を取り入れたい。それが最も価値のあることだからだ。TikTokをうまく活用することで、ブランドを運営するのと同じような方法でコミュニティを広げることができる」。

[原文:‘Highest conversions’: Why direct-to-consumer period care brand Viv is looking to TikTok to build community, boost brand awareness

Julian Cannon(翻訳:佐藤 卓/ガリレオ、編集:黒田千聖)

Source

タイトルとURLをコピーしました