広告費 の成長率は小幅、主因はインフレ: 「世界の広告費成長率予測(2023~2025)」より

DIGIDAY

2023年以降の広告費に関する電通の最新リポートによると、さしあたって広告市場における朗報は、年内はまだ成長が予想されることだ。ただし、この成長が当初予想されていたよりも小幅であるだけでなく、成長のほとんどは広告費の実質的な増加ではなく、インフレが原因であることは、朗報とはいえない。

電通のメディア・国際市場部門のCEOであるピーター・ホイジブーム氏が執筆し、6月1日に発表された「世界の広告費成長率予測(2023~2025)」を見ると、世界全体の広告費成長率とデジタル広告は減少しており、またデジタル広告はメディア市場での広告支出額に占める割合が最も大きかった。

世界全体の広告費は7279億ドル(約102兆円)に増加すると予測されているが、前年同期比では3.3%増と沈滞気味で、電通による2022年12月の予測(3.5%増)から下方修正された。2022年12月の時点では、広告費総額は7410億ドル(約103兆7000億円)近くに達すると予測されていた。

「化粧品・パーソナルケア」と「通信」の2分野は広告費上昇見込み

成長予測の軟化の原因は、自動車(広告費成長率は2022年が16.5%で、2023年は5.3%にとどまる)や製薬(2022年の16.2%増から2023年の4%増へと鈍化)、旅行・運輸(46%から5%弱に成長率が鈍化)など、広告量が多い分野における広告費の伸びの鈍化にある。

2023年に広告費成長率の上昇が見込まれる2つの分野は、リポートによると「化粧品・パーソナルケア」と「通信」だが、両分野でもまだ、広告費成長率が5%を下回ると予測されている。

成長率が最も大きい地域は4.6%の日本を含むアジア太平洋地域で、2.9%の米州(米国単独では2.6%)、1.9%のヨーロッパ・中東・アフリカ(EMEA)がそれに続く。リポートによれば、不変価格での実際の広告費は実質的に0.6%減であり、増加の原因はいずれもインフレだという。なお、半年単位で見るとFIFA女子ワールドカップなどの国際イベントの影響で、2023年後半には支出が4.1%増加する見通しだ。

「マーケティングにおいては現在、より基本的なものに対して、近年のデジタルトランスフォーメーション(DX)を超える変革を推進する大きな動きがある。具体的には、データやサステナビリティ、パーパスを中心にして、テクノロジーや人々の知性を基盤に不安定な状況のなかで、さらに十年間生き残れるような効果的な事業体へと企業を変革する動きだ」と、ホイジブーム氏はリポートに記している。

2000年以降では3回(残りの2回は2009年と2020年)だけとなるが、デジタル広告は1桁の成長(4243億ドル[約59兆4000億円]で7.8%増)になる見込みだとリポートでは予測されている。また、今回初めて成長率が今後2年間にわたって1桁にとどまると見られている。それでも、デジタル広告は世界全体の広告費の58.3%を占めるようだ。

リテールメディアやCTVは急増、検索も急成長が見込まれる

「2023年にはディスプレイ広告の成長が鈍化し、直接的/従来型の掲載申し込みが減少しているが、リテールメディア(18.0%)やコネクテッドTV(15.2%)のような新興のデジタル分野と、プログラマティック取引される広告インベントリー(14.4%)については、引き続き急速に増加すると予想している」とホイジブーム氏は書いている。

検索も比較的強力な成長を遂げるデジタル分野のひとつで、現代の検索サービスへの人工知能(AI)導入の影響もあってか、8.9%の成長を予測している。

ほかのメディア分野については、広告主はコネクテッドTVに関心を抱き続けているが、TVへの支出総額は2022年の水準から1702億ドル(約23兆8300億円)へと3.1%減少する、と予測。また、ストリーミングサービスについては、人口統計上の価値があり、大衆を引きつける最後の砦であり続けることを考慮すると、生中継のスポーツの放映権をめぐるの競争がさらに激化すると予想している。一方でTVの成長は、2024年に4%の水準に戻ると記された。

屋外広告(OOH)は、2023年に3.8%(他社の予想よりも増加幅が小さい)の成長が予想されている一方、印刷広告は不可避の下落が続いて4.8%減、オーディオ広告は持ちこたえて0.8%の微増とされている。

[原文:Dentsu’s latest ad report shows slowed growth, driven mostly by inflation

Michael Bürgi(翻訳:矢倉美登里/ガリレオ、編集:島田涼平)

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