イーロン・マスクがChatGPT開発元のOpenAIを2018年に買収しようとしていたことが発覚

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高精度なチャットAI「ChatGPT」は、2022年11月30日に発表されて以降、その性能の高さから大きな注目を集め、2023年2月時点で月間アクティブユーザー数が1億人に到達したことが報告されています。そんなChatGPTを開発したAI研究団体・OpenAIをイーロン・マスク氏が2018年に買収しようとしていたことが明らかになりました。

The secret history of Elon Musk, Sam Altman, and OpenAI | Semafor
https://www.semafor.com/article/03/24/2023/the-secret-history-of-elon-musk-sam-altman-and-openai


Elon Musk reportedly tried and failed to take over OpenAI in 2018 – The Verge
https://www.theverge.com/2023/3/24/23654701/openai-elon-musk-failed-takeover-report-closed-open-source

OpenAI CEO Sam Altman didn’t take any equity in the company: Semafor
https://www.cnbc.com/2023/03/24/openai-ceo-sam-altman-didnt-take-any-equity-in-the-company-semafor.html

OpenAIは2015年にサム・アルトマン氏やマスク氏らによって非営利企業として設立され、合計10億ドル(約1300億円)が投資されました。

ロボットの悪用を防ぐ人工知能の非営利研究組織「OpenAI」がIT業界の著名な起業家や投資家らによって設立される – GIGAZINE


しかし、マスク氏は2018年初頭にOpenAIのCEOであるアルトマン氏に対し「AI開発分野でOpenAIはGoogleよりも致命的な遅れを取っています」と報告し、解決策として、マスク氏によるOpenAIの買収と自身がOpenAIを直接管理・運営することを提案しました。

一方でアルトマン氏とOpneAIの社長であるグレッグ・ブロックマン氏らはマスク氏の提案を拒否しました。その後2018年2月にマスク氏はOpenAIの取締役を辞任しています。

マスク氏は辞任の理由を、自身がCEOを務めるテスラでの仕事との利益相反と述べていましたが、ニュースメディア・Semaforは、マスク氏がOpenAIに対して10億ドルの資金を提供すると約束していたにもかかわらず、取締役を辞任した際には1億ドル(約130億円)しか提供しなかったことを報じ、OpenAIとマスク氏との関係性に亀裂が生じた結果マスク氏が辞任したと考察しています。

マスク氏からの資金提供がなくなった結果、深刻な資金不足に陥った非営利団体のOpenAIは、AI開発のための資金調達を行う営利団体を新たに設立し、2019年にはMicrosoftから10億ドルの投資を受け入れています。さらにSemaforによると、MicrosoftはOpenAIが当時持っていなかったインフラストラクチャとAI開発のノウハウを提供したとのこと。OpenAIの協力を得たMicrosoftは、OpenAIが開発したChatGPTの技術を利用して、検索エンジン「Bing」とブラウザ「Edge」にチャットAIを搭載したことを発表しています。

MicrosoftがChatGPTのアップグレード版AIを統合した新しい検索エンジンBingとブラウザEdgeを発表 – GIGAZINE


しかしマスク氏は2023年2月に「OpenAIはオープンソースとして設立された企業です。当初はGoogleのカウンターウェイトとして機能する非営利団体が、どうして今ではMicrosoftによって管理されているクローズドソースの利益追及団体になってしまっています」とOpenAIを批判しています。

OpenAI was created as an open source (which is why I named it “Open” AI), non-profit company to serve as a counterweight to Google, but now it has become a closed source, maximum-profit company effectively controlled by Microsoft.

Not what I intended at all.

— Elon Musk (@elonmusk)


さらにマスク氏は「10億ドルの資金提供を行ったはずの非営利団体が、今では300億ドル(約4兆円)もの時価総額になったのか、いまだに混乱しています。これが合法なら、なぜ誰もがそのような経営戦略を取らないのでしょうか」と述べています。

I’m still confused as to how a non-profit to which I donated ~$100M somehow became a $30B market cap for-profit. If this is legal, why doesn’t everyone do it?

— Elon Musk (@elonmusk)


またマスク氏は「人類がこれまで作成した中で最も強力なツールであるAIが、今や冷酷な独占企業の手に渡っていることに気付いた」という意見に賛同しています。


買収の試みがあったことについて尋ねられたOpenAIとマスク氏は、記事作成時点でコメントを発表していません。

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