デニムのトゥルーレリジョン、D2Cへの野心を語る:「デジタルがチャネルを主導するべきだ」

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トゥルーレリジョン(True Religion)はモールでのクラシックな木材のパネルやずらりと並んだデニム商品で知られるブランドだが、デジタルファーストのD2Cブランドとなることを使命としている。

同社の目標はオンラインでの収益を3倍に増やすことで、長期的には自社ビジネスの半分以上をeコマースにすることをめざしている。この目標を達成するため、同社は3月、コロンビアスポーツウェア(Columbia Sportswear)の元幹部をeコマース担当のシニアバイスプレジデントに任命し、D2Cへの転換を率先して進めている。

2002年に設立されたトゥルーレリジョンは、プレミアムデニムでもっともよく知られている。最初に破産保護を申請した2017年にはトゥルーレリジョンとラストスティッチ(Last Stitch)の小売店140店舗で販売され、2020年に2度目の申請を行ったときには87店舗で販売されていた。現在は50店舗を残し、デジタルファーストのブランドに転換する戦略を中核に据えようとしている。

若い消費者へのアプローチ

トゥルーレリジョンのCEOを務めるマイケル・バックリー氏は次のように述べる。「我々が重視しているのは、常に自分たちの運命をコントロールすることだった。我々は何年も前に、自前の小売店舗でそれを行っていた。世界の情勢が変化するにつれ、消費者はオンラインでの購入を増やすようになり、当社も当然、このデジタルファーストのコマースを最優先とするようになってきた」。

バックリー氏によると、同社のトラフィックの90%はすでにモバイルからのものだという。2021年のeコマースの売上は約9000万ドル(約115億円)で、同社のビジネスの約37%を占めるという。同社の収益は、2020年の1億5100万ドル(約193億円)から、2021年には2億5500万ドル(約326億円)に増加した。

同社がデジタルファーストへの移行を計画する理由のひとつは、若い消費者に訴求するためだ。バックリー氏は次のように述べている。「Z世代、そしてミレニアル世代の多くも、店舗に行かない。そこで、当社はデジタルビジネスの構築を最優先して、それに完全に注力することがさらに重要になったと考えた」。

同社は今後も既存の顧客への対応も続ける計画だが、ビジネスの成長のために新規顧客を獲得したいと考えている。同社の価格はハイエンド寄りで、150ドル(約1万9200円)以上のジーンズもある。しかし、若い消費者が買い求めやすくなるよう、同社はアフターペイ(Afterpay)やクラーナ(Klarna)などの後払いサービスと提携した。

TikTokもまた、同社がZ世代の消費者を獲得するために開発を計画している、主要な取り組みであると、同氏は述べている。現時点で、同社のTikTokアカウントにピン留めされた動画のひとつで、さまざまなスタイルのジーンズを紹介しているものは、約100万回再生されている。

アーティストとのコラボレーションも進行中で、そのマーケティングはデジタル空間が中心になっていると、バックリー氏は語る。トゥルーレリジョンは2021年、すでにいくつかのコラボレーションを行った。11月にはラッパーの2チェインズ(2 Chainz)と組み、限定版のカプセルコレクションを販売した。また2021年秋にはストリートウェアブランドのシュプリーム(Supreme)とも提携した。

デジタルファーストがもたらすもの

デジタルコンサルティング企業のシーアイ・アンド・ティー(CI&T)で小売戦略ディレクターを務めるメリッサ・ミンコウ氏は、トゥルーレリジョンがこのチャネルで成功するかどうかにかかわらず、モールを拠点とするほかのブランドも、何らかの形でD2Cに目を向けるだろうと予測している。すでに、ギャップ(Gap)やアバクロンビー&フィッチ(Abercrombie & Fitch)などモールを拠点とする従来型のブランドは、TikTokなどのオンラインチャネルで成功している。アバクロンビーは今年、データ分析やデジタル販売に力を入れるなど、デジタルリテールのリーダー的存在となるための計画を発表している。

ミンコウ氏は次のように述べている。「Z世代や、もっとも若い世代からの関心は確実に得られる。しかし私は、トゥルーレリジョンがこれらの世代について、ミレニアル世代が若かった頃とは別の方法で理解する必要があると思う」。

同氏は、トゥルーレリジョンがデジタルファーストのD2Cへと移行することによって、自社のマーケティング活動とイメージをより細かくコントロールできるようになるという。デジタルでの取り組みを重視することで、同社は対象の顧客ベースに再訴求し、たとえばY2Kスタイルの復活のような、ブランドアイデンティティに適したトレンドを取り入れることができるようになる。

オンラインチャネルもまた、ロイヤルティを築き上げ、場合によっては「カルト的な信奉者」を獲得できる有効なツールだと、同氏は語る。同社は今年の終わりに向け、より多くの消費者を獲得するための新たな手段として、ロイヤルティ・イニシアチブを開始する計画だ。

実店舗チャネルへの依存が少ないということは、コントロールが効かない外的環境における問題に耐えられる可能性も高い。パンデミックがはじまったとき、同社は店舗の閉鎖を迫られ、収益の80%が消失したと、2回目の破産申請時の暫定CFOは語っていた。

ミンコウ氏は次のように述べている。「ここには、3回目の失敗があればアウトになるというようなシナリオの圧力がたしかに存在する。現在のところ、デニムは非常にトレンディで、極めて競合性の高い分野だ」。

新しいeコマース担当のシニアバイスプレジデントとは別に、同社のバックリー氏は、「顧客情報を掘り下げて調査する」ことができるデータアナリストなど、将来同社がデジタル面でのビジネスを発展させるための、より戦略的な雇用を行う可能性があると語る。また、同社は店舗数を減らすような計画もないという。同社の商品は現在、全世界で約4000の卸売店舗で販売されており、卸売りの拠点をさらに拡大する予定だ。

同氏は次のように述べている。「我々は、小売店舗があることの重要性を信じている。しかし、このチャネルはデジタル主導であるべきだとも信じている」。

[原文:‘Our focus has always been on controlling our own destiny’: Inside True Religion’s DTC ambitions]

著者:Maria Monteros(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via True Religion

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