変化の激しい ソーシャルメディア 、マーケターたちの所感は?:TikTok、Facebook、インスタグラム、Twitterについて言及

DIGIDAY

今年初め、米DIGIDAYのマーケティングチームは、近年ソーシャルメディアを取り巻く状況がどのように分断され、それがマーケターの仕事をどのように変えたかを取り上げた。

もちろん、ソーシャルメディアは絶えず変化しており、我々の分析をリリースしてから数週間のあいだにも、TikTokが米国において禁止される可能性が再び高まり有料でのユーザー認証の時代が訪れ、新しいソーシャルプラットフォーム・レモン8(Lemon8)がローンチされるなど、変化は目まぐるしい。

こういった最近のソーシャルメディア業界の忙しなさを受けて、我々はTikTok、Twitter、インスタグラム、Facebookに対してマーケターたちがどのように考えているか、またそれぞれの利点と欠点はどのようなものかを把握する機会が必要だと考えた。ただし言うまでもなく、業界の変化の速さを考慮すると、以下で挙げる利点と欠点は数週間で変わる可能性がある。

ソーシャルメディアはブランドにとって成長の場か?

さらに、その変化の速さ自体が、それぞれのプラットフォームに対するマーケターの意見に影響を与えている。VMLY&Rロンドン(VMLY&R London)のソーシャルメディア責任者であるクリスティーナ・ミラー氏はメールで、「過去1年以上のソーシャルメディア業界の変化を受けて、ブランドたちは長期的な成長を築くための投資について、どこでどのようにおこなうかをより慎重に検討している」と伝えた。「しかし、それでもソーシャルメディアがブランドにとって成長の場であると信じている」。

エージェンシーであるザンベジ(Zambezi)の統合戦略ディレクターを務めるナタリー・ゴメス氏も同意見だ。彼女は、「ソーシャルメディアが常に変化することから、我々はクライアントのために常にソーシャルメディアの観測・分析・意見形成を行うことを義務化している」と話す。

また、「多くの場合、(結論としては)ただ慎重に進めるだけだ」といい、「(ソーシャルメディア上での)有料広告に関していえば、広告主は自分たちのソーシャル上の支出を再検討し、別のプラットフォームへと支出を再配分することはいつでもできる」と指摘した。

以下では、各ソーシャルメディアプラットフォームにおけるマーケターの現在の所感を記載する。

TikTok

マーケターやエージェンシーの幹部は、TikTokの継続的な成長、アカウントが持つフォロワー数が少なくても「For You」ページに掲載される可能性、そして洗練されていないコンテンツを好む傾向は、米国でプラットフォーム自体が禁止されるかもしれない可能性を鑑みても、プラスだと述べている。マーケターたちが積極的にTikTokに投稿していなくても、TikTokは消費者リサーチの場としても役立つようだ。

クリエイティブ・エージェンシーであるノー・フィックスド・アドレス(No Fixed Address)のストラテジストを務めるキャス・セルヴィ氏は、「文化面で、今の時代がどのような価値観や気持ちを持っているかを把握するよい方法だ」と話し、「だから、TikTokに積極的に取り組んでいなくても耳を傾けるのがよい」とTikTokを肯定する。

しかしながら、同プラットフォームが禁止される可能性もマーケターたちは完全には無視していない。そして、一部はTikTokにどれだけの努力を継続すべきかを再検討している。

ミラー氏は、「TikTokにはデータとプライバシーについての不確実性と問題が世界中で続々と浮上しており、フォロワーを増やす投資に価値があるのか、それとも近い将来すべてが消えてしまうのか、分からない」と述べた。

また、TikTokにはほかにも問題がある。マーケターたちは、TikTokでの大規模なエンゲージメントが以前ほど簡単ではなくなっていることや、TikTokが必要とする取り組みがマーケターにとって大きなものになりすぎている点を指摘する。TikTokでの存在感を持つためには高い速度でコンテンツを提供できなければならず、その状況にないマーケターたちにとっては、負担が大きいすぎるようだ。

「クリエイティブ面において、ブランド側は(社内でもエージェンシーとの共同作業でも)TikTokスタイルのコンテンツを作成するための準備ができていないことが多い」とミラー氏は述べる。「これは投資と制作のシフトを必要とし、そのことが多くのブランドにとって課題となり得る。コンテンツなしには、TikTokで人気を獲得することはほぼ不可能に近い」。

Facebook

Z世代の注目を集めようとするマーケターは、Facebookのユーザー年齢層が高いために同プラットフォームを利用しないかもしれない。しかし、マーケターやエージェンシーの幹部によると、全体的にはメタ(Meta)の提供するプラットフォームが依然としてソーシャル・マーケティングのトップスポットを占めているため、完全に見放すべきではないようだ。

「メタは、Facebookとインスタグラムの両方で人々にアクセスできる能力を持っているため、まだ最も強力なプレイヤーだと思う」と、メディアハブ(Mediahub)のシニア・バイスプレジデント兼ペイドソーシャル責任者であるエリカ・パトリック氏は指摘する。メカニズム(Mekanism)の最高ソーシャル責任者兼パートナーであるブレンダン・ガハン氏もその意見に同意し、「パフォーマンスの観点から(Facebookが)最も効果的だ」と話した。

Facebookに関しては、効率的かつ効果的であるという利点がある一方で、「年齢層が高いユーザーベース、限定的なオーガニック・ディスカバリー、クリエイティブなイノベーションが少ない」という欠点があるとマーケターたちは言う。また、彼らはFacebookの広告マネージャー(Ads Manager)と広告担当者との問題にも言及。これらは長年にわたってバイヤーたちが口にしてきた苦情であり、最近の大量解雇がこれらの問題を悪化させたと指摘するマーケターもいる。

インスタグラム

インスタグラムの定期的なアルゴリズムの変更は、クリエイターやマーケターにとって厄介かもしれないが、マーケターやエージェンシーの幹部は、「インスタグラムが予算における定番の存在となっており、安定した信頼性があるため、マーケターが求める結果を提供するために引き続き重要なプラットフォームだ」と述べている。

「私たちは新しいホームページのような存在と呼んでいる」とセルヴィ氏は話す。また、「ブランドの一般的なアイデンティティや、見た目についてもっと知りたいと思っている消費者のほとんどがチェックする場所がインスタグラムだ。今となっては、Webサイトの前にインスタグラムのページに行く人々がますます多くなっている。その点で(投資に対する)正当性を持っており、ブランドが存在を持つ場所としてよい」と言及する。

それでも、インスタグラムのアルゴリズムやプラットフォーム自体のフォーカスが変わり続けることは、引き続き問題となっている。「インスタグラムは過去1年間で少しアイデンティティ・クライシスを経験しており、TikTokやビーリアル(BeReal)のようなプラットフォームを模倣して、ユーザーが求める最新のトレンドや機能を追いかけている」とミラー氏は言う。

さらに、「それがユーザーの不満につながっており、ブランドたちもインスタグラムでの存在感をどのように維持するか、そのための戦略をどのように作成するか、疑問を持っている」と同氏は続け、「まだ(インスタグラムの)最終形態ははっきりしていない。リール中心の形態になるのか、それとも画像投稿やビデオ両方にとっての場所として残るのか、その不確実性はブランド戦略にとって難しい」と述べた。

Twitter

Twitterでは広告主に再び広告支出を開始してもらおうとする取り組みが続いている。マーケターがTwitterに戻るか、そして彼らのマーケティングにおける重要な焦点にTwitterがなるかどうかはまだ見通せず、これらの努力が十分に成果を上げるどうかはわからない。イーロン・マスク氏の乗っ取りを受け、Twitterは波乱を含んた性質となり、マーケターはTwitterに取り組むこと自体を疑問視し続けている。

それでも、スーパーボウル関連のTwitterの活発な取り組みにおいて、Twitterには一部のマーケターたちが戻ってきた

同時に、ダブルヴェリファイ(DoubleVerify)との提携によるブランド安全性向上の強化取り組みは、一部のマーケターやエージェンシー幹部によると、Twitterでの支出を再考させる要因となったようだ。それでも、「少しリスキーなプラットフォームとしての傾向が強い」とサービ氏は言う。また、「コミュニティ管理が非常に重要な場所の例だ」とも指摘した。

Twitterの未来に対する不確実性はマーケターにとって問題である。「まだ次に何が来るかはっきりとした見通しがない」とパトリック氏は嘆く。

[原文:Marketing Briefing: How marketers feel right now about TikTok, Facebook, Instagram and Twitter

Kristina Monllos(翻訳:塚本 紺、編集:島田涼平)

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