パブリッシャーにとっての不確実な2023年が始まってしばらく経つ。DIGIDAY+リサーチがパブリッシャー関係者112人を対象に行った調査によると、アフィリエイトコマースは収益源として、とくに小規模パブリッシャーのあいだで関心が高まっているようだ。
全体として、アフィリエイトコマースからわずかでも収益を得ているパブリッシャーの割合は増加傾向にあり、パブリッシャー関係者の62%が、2023年第1四半期現在でアフィリエイトコマースから何らかの収益を得ていると回答している(6カ月前は52%)。そしてこの割合は、今後さらに上昇する可能性がある。今後6カ月間にアフィリエイトコマース事業にわずかでも注力すると回答したパブリッシャー関係者は70%に上る(6カ月前は59%)。
アフィリエイトコマースで収益を上げているパブリッシャーのうち、全体の売上に対するその割合は現在、最も多かった回答は自社収益に占める「とても小さい」割合とする回答だ(調査回答者の4分の1に相当)。次いで「小さい」とする回答(同18%)となっている。
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一方、今後6カ月間にアフィリエイトコマース事業に注力すると答えたパブリッシャーのうち、最も高い割合(19%)を占めたのが、「中程度」に注力するとの回答だった。6カ月前は、アフィリエイトコマースに注力すると答えたパブリッシャーのうち、注力のレベルは「とても低い」「低い」との回答が16%と最も高く、1年前は「とても低い」との回答が22%と最も高かった。
経済情勢が不安定なため、パブリッシャーが今年の収益を伸ばすためにできることは何でもやろうとしている可能性はあるが、いずれにせよ、アフィリエイトコマース収益に対するパブリッシャーの関心が高まっていることは明らかだ。
今回の調査データをもう少し掘り下げてみると、アフィリエイトコマースに最も成長を求めているのは、小規模パブリッシャー(昨年の売上高が1000万ドル[約13憶3000万円]未満のパブリッシャー)のようだ。小規模パブリッシャーの多くが、実際にはまだアフィリエイトコマースで収益を上げていないことを考えると、これは納得のいく結果といえる。
厳密には、小規模パブリッシャーのうち、収益のごくわずかでもアフィリエイトコマースから得ているとの回答は39%にすぎない。しかし、今後6カ月間にアフィリエイトコマース事業の構築にいくらかでも注力するとの回答は58%にも上り、小規模パブリッシャーにとってアフィリエイトコマースは成長機会であることを示している。
アフィリエイトコマース収益を得ている小規模パブリッシャーのうち、大多数は全体の収益に占める「とても小さい」か「小さい」割合との回答だった(それぞれ22%と14%)。しかし、パブリッシャー関係者の17%は、今後6カ月間にアフィリエイトコマース事業の構築に「高い」レベルで注力する予定だと回答している。一方、アフィリエイトコマース事業構築に「とても低い」レベルで注力するとの回答は19%だった。
アフィリエイトコマースの成長の可能性は、大規模パブリッシャー(昨年の売上高が5000万ドル[約66億6000万円]以上のパブリッシャー)にとってはそれほど劇的なものではないが、こうした大手も同事業の成長をある程度は視野に入れているようだ。
大規模パブリッシャー関係者の4分の3以上(76%)が、調査に対して、ごくわずかでもアフィリエイトコマースから収益を得ていると回答している。これはすでに大きな割合だ。しかし、さらに多くの81%が、今後6カ月間にアフィリエイトコマース事業を成長させることに、ごくわずかでも注力すると回答しており、大規模パブリッシャーのあいだでも、この収益源に成長の余地があることを示している。
現在、アフィリエイトコマースで収益を上げている大規模パブリッシャーのうち、最も多いのが(29%)、全体の収益に占める「小さい」割合との回答だ。しかし、この数字は年内に変化するかもしれない。大規模パブリッシャーにおいては、今後6カ月間にアフィリエイトコマース事業の構築に「中程度」注力するとの回答が最多(32%)を占めているためだ。
[原文:Digiday+ Research: Publishers, especially small ones, see affiliate commerce as an area for growth]
Julia Tabisz(翻訳:高橋朋子/ガリレオ、編集:島田涼平)