シーインやズリリーも注力:ホリデー後のセールは「自分へのギフト」が焦点に

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D2Cのアウトドアブランドのソロストーブ(Solo Stove)が販売している煙の出ないファイヤーピットは、2022年のホリデーシーズンに約40%もの値引きが行われた。サイバーウィーク中に売上がピークに達し、12月第4週目も、クリスマスまでに配送が保証されている商品を探し求める顧客で高い売上を記録した。

しかし、ホリデーの駆け込みショッピングが終わったあとでも割引は終わりそうにない。

「従来から、クリスマスの日から新年までに、ちょっとした売上の上昇が見られる」と、親会社のソロブランズ(Solo Brands)のCEOを務めるジョン・メリス氏は語る。「当社は、『誰かにギフトを贈る代わりに、自分に贈ろう』というアイデアを積極的に取り入れている」という。

1月は、ホリデーでの出費がかさみ、アイテムを十分に買い揃えている人が多いため、売上は低下する可能性がある。これに対して、ソロブランズのような小売業者は、クリスマス後にセールを行い、買い物客が現金やギフトカードを自分のための買い物に使うよう勧めることを計画している。

新年もショッピングモードは続いている

全米小売業協会(The National Retail Federation)は、全米の買い物客の70%が12月25日以降もショッピングを計画しており、クリスマス後のショッピングはパンデミック前の水準に匹敵することを、調査から見いだした。このようなショッピングをするのは、残りのホリデーのセールやプロモーションを活用したり、ギフトカードを使用したり、不要なギフトを返品・交換しようとする、価値主導の買い物客によるものに見えるかもしれない。しかし、1月になるとショッピングは減少する傾向があり、一部の小売業者は会計年度の最後の月に販売が低迷することになる。

ソロストーブは、クリスマスから新年にかけて、人々が自分のためにショッピングをする傾向が高いことを想定し、買い物客へのマーケティングを行うと、メリス氏は語る。同氏は、(年明けも需要が続くことから)顧客が商品を返却して再購入する率が高くならないよう、「12月末は、1月初めよりも大幅な割引を行わないよう十分に注意している」と述べ、プロモーションの内容は変わらないことを明らかにした。

しかし、ホリデー後のメッセージングは、ギフトを贈ることから受け取ることに移行している。

同氏は次のように述べている。「我々は、「自分が本当に欲しかったものを入手しよう」「あの人が本当に欲しかったものを贈ろう」といった楽しいキャンペーンに注力している。そしてこのキャンペーンは成功している。顧客は間違いなく、新年までショッピングモードが続いている」。

ターゲットを絞った販売

買い物客が自分にご褒美を与えるというテーマに沿って、オンラインマーケットプレイスのズリリー(Zulily)は、新年まで続く初めてのプロモーション「ママへの魔法(Magic for Moms)」を実施。1000人の買い物客に40ドル(約5280円)分のストアクレジットが提供される。ユーザーはランディングページにメールアドレスを入力して申し込むことができ、1月9日までに先着1000人がクレジットを受け取ることができる。

「当社は、母親たちがホリデーの魔法の一部を自分たちのためにも使い、お手頃な価格で買い物を楽しめるよう働きかけている」と、ズリリーで統合顧客マーケティング担当バイスプレジデントを務めるデニス・イェシュケ氏は述べる。

同ブランドは、エクササイズ用品や、睡眠衛生グッズ、健康アイテム、美容ルーチンなどセルフケアに関するプロモーションを行う。新年を迎えるにあたり、母親がプランやToDoリストを整理するためのショッピングの目的地となるよう、新年に必要なアイテムの販売も期待されている。

「2022年の最後の週には、新年の家の整理整頓や、子供たちのスポーツシーズンの開始、そしてバレンタインデーに必要なものは何かをすでに考えている顧客もいる」と、イェシュケ氏は述べている。

シーイン年間最大のセール

ファストファッション小売のシーイン(Shein)は、クリスマスから新年までのあいだに恒例の年末セールを行う。代表者は具体的なプロモーションやセールの詳細を言及していないが、割引は、2022年の年間を通して、トップトレンドだったものや、ベストセラーだったアイテムに適用されると語った。

代表者のひとりは、このセールが「年間最大のプロモーションのひとつ」だと、米モダンリテールにメールで語った。

販売数量はクリスマス前のほうが多かったものの、シーインの顧客への調査から、21%は12月の最後の数日間にもホリデーのショッピングを続ける計画であることが明らかになっている。そして、これらの顧客が自分たちのためにショッピングを行うことも、トレンドから示されている。

「当社は通常、12月の最後にバケーション用の衣服、たとえば水着などの需要が増えはじめるのを目にしている」と、シーインは声明で米モダンリテールに語った。「1月には、バレンタインデーに向けて、当社ブランド「ラブレッテ(Luvlette)」のランジェリーやラウンジウェアの売上がピークに達し、新年の抱負としてフィットネスの目標を掲げる人が多いことから、「グロウモード(Glowmode)」のアクティブウェアの需要もピークになる」。

プロモーションは横並びに

このようなプロモーションが控えていても、ショッピングシーズンでの特売よりもお得な特売があることに期待して買い物を控えている買い物客は失望することになるかもしれない。マーケティング企業のベラルディ・ウォン(Belardi Wong)のプレジデントを務めるポリー・ウォン氏は、クリスマスが終わると、お得な特売が鈍化する傾向があると語る。というのも、小売業者は通常、シーズンの真っただ中に、すでに最大の割引を行う可能性が高いからだ。そして、小売業者がプロモーションを行わなかったのであれば、今さら開始することはないだろうからだと、同氏は述べる。

「これらのプロモーションは今後も続くだろう。しかし、プロモーションがさらに大きなものになるとは考えにくい。どの業者も、売上を促進するために可能な限りの手段はすでに尽くしてしまったからだ」と、同氏は述べる。

一時期、1月は、2月1日からの新しい会計年度を前に、小売業者が余剰在庫を売却しようとするため、棚卸しセールを行う重要な時期だったと、ウォン氏は述べている。しかし近年は、ホリデーシーズンの支出が早くなり、11月に前倒しされていることから、年明け以降は消費者の需要は減少している。

「少なくともここ数年においては、非常に多くのプロモーション活動が前倒しされたため、ホリデー以降の販売需要と消費者支出は抑制されていた」と、ウォン氏は述べている。

しかしそれでも、ショッピングは人々のウォンツとニーズにより推進されるだろう。これは、健康やフィットネス、アクティブウェア、美容やスキンケアなど、「新しい年に新しいことをはじめる」カテゴリーに属する分野に特に当てはまると、同氏は述べる。

「クリスマスのあとのショッピングはおおむね自分のための買い物で、総合的にはギフトと同じ水準には達しないかもしれない。総合的な数量だけ見ても同等ではない」と、同氏は述べている。

[原文:Post-holiday sales for Shein, Zulily and others lean into self-gifting]

MELISSA DANIELS(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)

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