20ドル(約2700円)のスムージーとアダプトゲン飲料で、健康志向の人々のあいだではすでに人気のエレウォン(Erewhon)が、美容関連商品の取り扱いも増やしている。
LAを拠点とするこの高級食料雑貨店チェーンは、150以上の美容ブランドを取り揃えているが、このカテゴリーでの認知度を高めており、販売における強さを示している。2022年12月1日、エレウォンは初めて美容ブランドパートナーのエンド陳列を行い、その日エレウォンにローンチした詰め替え可能なボディケア製品のスタートアップ、ユニ(Uni)を紹介した。エレウォンの棚は、ベラ・ハディッド氏のドリンクブランドであるキン・ユーフォリックス(Kiin Euphorics)といったウェルネス関連の食品や飲料、サプリメントのブランドの出発点として長らく羨望の的だったが、健康やエコに関心の高い富裕層の顧客をターゲットにした美容ブランドの人気の場所として、ますます重要な位置を占めるようになっている。
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目標は美容をさらに拡大すること
エレウォンの健康およびウェルネス・バイスプレジデントで、サプリメント部門および隣接する美容部門の両方を統括するマレン・ジュリアーノ氏は、美容製品は「非常に好調だ」と話す。「顧客がいるので、この分野は継続して発展させていきたい」。
ジュリアーノ氏は1年半前にエレウォンに入社した際、「美容の面をもっと拡大する」ことを彼女自身のメインの目標のひとつにしたという。いまのところ、その品揃えは「よりサプリメントに重きを置いている」。
「私が入社した当時は(美容は)本当に小規模だったが、(エレウォンは)美容チャネルにしかない従来のブランドを取り入れる試みを始めている」。
ユニの創業者アレクサンドラ・キーティング氏によると、エレウォンは、関連する常連顧客層にブランドを発見してもらいやすく、またエレウォンのお墨付きが得られるというメリットがある。売上高については、ユニは公表を避けた。
「エレウォンは、特にLAでは本当に人の出入りがある数少ない店のひとつ」と、キーティング氏は言う。「そのコミュニティがとにかくすばらしい」。
昨年、ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)に「LAでもっともホットなスポット」と評されたエレウォンは、セレブリティの食料品の買い物の様子がパパラッチされたことや、バイラルになったスムージーのコラボ、ケンダル・ジェンナー氏とソフィー・ターナー氏が見つけた商品などで話題を集めた。パンデミック時には、不要不急のバーやレストランが閉鎖されたため、この食料品店の屋外カフェが著名なインフルエンサーの行きつけの場所となった。
「本当にカルチャーを浸透させている」とキーティング氏は述べている。
イメージに合うD2Cブランドを厳選
1966年にボストンで創業したエレウォンは、米国の自然食品界におけるパイオニアであり、現在はロサンゼルスに限定して市内に8店舗を構える。2011年にトニー・アントシ氏とジョーゼフィン・アントシ氏の夫妻に買収されて以来、同食料雑貨店にはセレブリティやインフルエンサーが殺到し、自然環境保護的なブランディングからシックなブランディングへと進化を遂げた。
ヒップな要素に加え、エレウォンは「非常に信頼できる情報源」であることから、この小売店の棚は「認められた証」だとキーティング氏は言う。
エレウォンのブランドパートナーシップ・チームは、自社のイメージに合う美容ブランドを探すため、小売パートナーシップにまだ参入していないD2Cブランドに焦点を絞り、「つねにトレンドを見て調査している」とジュリアーノ氏は語る。「私たちは、必ずしも特定のものを探しているわけではないが、適切なブランドは見ればわかる」。
この小売企業の主な美容カテゴリーは、ボディケア、ヘアケア、スキンケア、美容サプリメントで、一部フレグランスも販売している。ベストセラーのブランドには、オセア(Osea)、エージェントネイチャー(Agent Nateur)、ムーンジュース(Moon Juice)、ソルト&ストーン(Salt & Stone)などがある。化粧品はパンデミック時に製品テスターの制限によって販売を中止しており、すぐに復活させる予定はない。
また、ブランドを棚に並べるだけでなく、マーケティングパートナーシップも実施している。たとえば、スキンケアブランドのサマーフライデーズ(Summer Fridays)の創業者マリアンナ・ヒューイット氏は、同ブランドを参照したスムージーで提携してバイラルになり、コートニー・カーダシアン氏のウェルネスプラットフォームであるプーシュ(Poosh)もまたエレウォンのスムージーコラボレーションを行っている。
見栄えのする製品プレゼンテーション
ウェルネス、クリーンな成分、サステナビリティは、製品のセレクションのトップにくる要素だ。ナチュラルデオドラントのような食料雑貨に隣接するパーソナルケアアイテムがトップセラーである一方で、フェイスセラムなど一般の美容小売業者で人気の商品も主要カテゴリーとなっている。
プレミアム価格で販売されている美容ブランドの場合、製品のプレゼンテーションにはスタイルを考慮に入れる必要がある。ホールフーズ(Whole Foods)出身のジュリアーノ氏は、エレウォンの消費者の気を引くには、「エレウォンはあくまで食料雑貨店である」ので、美容は「決まったやり方で提示される」必要があると述べている。
顧客はユニのシャンプーやコンディショナー、ボディソープなど、詰め替え用ボトルに入った製品を店頭で購入することができる。ボトルが空になったらユニに返送すると、ユニのサブスクリプションプログラムを通じてリフィルの注文が可能だ。エレウォンとユニは、他の小売業者では普及しつつある店頭での詰め替えサービスは戦略的に提供しないことにした。
「人々が大きな容器から再利用可能なボトルにシャンプーを詰め替えるのは、あまりにも乱雑だ」とジュリアーノ氏は述べた。「意図としてはすばらしいが、ただエレウォンでは理想的ではない。見た目がよくなくてはならないからだ」。
[原文:Inside Erewhon’s beauty ambitions]
LIZ FLORA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)