マッチングアプリ と提携し認知度を高める、ウォーキングアプリの戦略:「理由がわかれば当然に思えるが、確かなスキルが必要な取り組みだ」

DIGIDAY

毎日の歩数に応じたアプリ内通貨を提供しているウォーキングアプリのスウェットコイン(Sweatcoin)がこの夏、マッチングプラットフォームのオーケーキューピッド(OKCupid)と提携し、オーケーキューピッドのプレミアムメンバーシップを3カ月間無料で利用できる特典を提供した。

「今の人々がどのようにデートしたり交際したりしているかといえば、その多くがオンラインで行われている」と、スウェットコインのCMO、ジェシカ・ブッチャー氏は話す。そのうえで、デートがスウェットコインのアプリを利用するきっかけになりうるのかということに、チームは関心を持っていたと付け加えた。一方、オーケーキューピッドの狙いは、「(スウェットコインの)ユーザーが(オーケーキューピッドに)フィットするかどうかテストする」ことにあったという。

新しいオーディエンスにリーチするパートナー戦略

2017年に設立されたスウェットコインは、アウトドアを楽しむアクティブな人々をターゲットにしており、その中心はミレニアル世代とZ世代だ。同社はウォーキングの見返りに自社の通貨を提供することで、人々をさらにアクティブにしたいと考えている。ユーザーは、獲得した通貨をスウェットコインのマーケットプレイスで換金し、商品の購入や慈善活動への寄付に利用できる。ブッチャー氏によれば、スウェットコインのユーザーはすでに1億人を突破しているという。

オーケーキューピッドとの提携は、新しいオーディエンスにリーチしてブランド認知度を高めるという、スウェットコインの総合的なパートナー戦略の一環だ。同社はすでに、瞑想アプリのヘッドスペース(Headspace)、オーディオブックのオーディブル(Audible)、ストリーミングサービスのタイダル(Tidal)といったブランドと提携したことがあり、今後も新しいブランドを提携先に加えたいと考えている。ただし、オーケーキューピッドとの具体的な契約条件は明らかにしていない。

「我々は当初から、自社のユーザーにとって魅力的と思われるブランドを世界中から選び出し、彼らと提携するというビジネスモデルを採用している。我々のユーザーは当然ながら若く、テクノロジーに詳しく、自身の健康やその改善への関心が高く、特典やバーゲンなどにも関心を示す」と、ブッチャー氏は説明した。

オーケーキューピッドとの提携が始まった6月以降、プレミアムメンバーシップの特典への申し込みは数時間で上限に達し、申請者の3分の2以上が開始から1週間以内にこの特典を実際に利用した。ただし、ブッチャー氏は実際の数を明らかにしていない。この特典を手に入れたユーザーは、セントラルパーク、ザイオン国立公園、グリフィスパークといった公園内を歩き回るだけで、スウェットコインの通貨を受け取ることができる。「スウェットコインがマーケターにもたらす価値は、健康志向で同じような考え方の消費者が増え続ける『コミュニティ』にある」と、ブランドコンサルティング会社メタフォース(Metaforce)の共同創設者、アレン・アダムソン氏はいう。「マーケターは、拡大し続ける熱心なコミュニティを、商品やサービス、特典を売り込むターゲットにできる」。

顧客調査と顧客理解への投資が必要

「今回の提携では、ユーザーに対するマーケティングがアプリ内で行われたため、有料広告を使った取り組みではなく、オーガニックな取り組みになった」と、ブッチャー氏は説明する。そのうえで、ユーザーは歩数を確認したり友達と競い合ったりするためにアプリをチェックすることが多いと述べている。「我々がすべきことは、アプリ内で特典を利用できるようにし、毎日あるいは毎週チェックインする数百万人のユーザーに特典について知ってもらうことだった。マスメディア広告やデジタル広告への投資が不要なのはそのためだ」。

スウェットコインが広告に費やしている金額はわかっていない。ブッチャー氏はこの提携のオーガニックなアプローチについては言及したものの、全体的な予算の詳細は明らかにしなかった。調査会社のカンター(Kantar)や広告トラッキング企業のパスマティックス(Pathmatics)も、スウェットコインの広告支出に関するデータは持ち合わせていない。

オーケーキュービッドを利用しているZ世代やミレニアル世代は、健康やウェルネスを重視している。したがって、今回の提携でウォーキングデートを奨励したのは賢明な判断だったと、業界アナリストらは指摘する。ソーシャルデータとAIをベースとしたコンバージョンテクノロジーを提供するインフルエンシャル(Influential)のCEO、ライアン・デター氏もそのひとりだ。

パフォーマンスマーケティングエージェンシーのジャーニーファーザー(Journey Further)で戦略担当責任者を務めるダン・ペデン氏もこの見方に同調し、スウェットコインは、自社ユーザーの多くと健康やフィットネスに関心がある一般の人々が、マッチングアプリを積極的に利用していることに気づいていると語った。「このようなインサイトは、わかってしまえば当然の話に思えるかもしれない。だが、こうしたインサイトにたどり着くには確かなスキルが必要で、顧客調査と顧客理解への投資が求められる」。

[原文:How Sweatcoin uses partnerships with companies like OKCupid to boost brand awareness

Julian Cannon(翻訳:佐藤 卓/ガリレオ、編集:分島翔平)

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