ロブロックス で人気を集める、期間限定アクティベーション:参加ハードルの低さと、ブランドのマーケティングとの適合性が魅力

DIGIDAY

この1年、メタバース・プラットフォームであるロブロックス(Roblox)には広告の機会を求めてブランドが殺到している。

同プラットフォームと、それが抱えるクリエイターコミュニティの両方と提携して、カスタムメイドのブランドスペースを立ち上げる、という取り組みが盛んだ。これまでのところ、もっとも報道され注目を集めているロブロックスにおけるブランドのアクティベーションは、「バンズ・ワールド(Vans World)」や「グッチ・タウン(Gucci Town)」といった例に見られる、永続的で常時オンの体験だ。

しかし、この種のアクティベーションが徐々に勢いを増しているものの、期間限定のイベントベースのロブロックス・アクティベーションの方が現在のところ、ユーザーとブランドの両方の間ではるかに人気が高い。

常時オンのアクティベーションはハードルが高い

メタバースでの実績を磨きたいブランドにとって、常時オンのアクティベーションはおそらく真のメタバースをもっともよく表すことができるアプローチだろう。それはユーザーがバーチャル世界の環境を自ら変えることができ、自分が加えた変化をその後も何度も体験できる、永続的で没入的なスペースだ。

しかし、ロブロックスに恒常的なスペースを運営することは、ブランドにとってはるかに大きな負担になる。ブランドはクリエイターたちと継続的に作業を行い、常に空間を新鮮なものにするためにコンテンツのアップデートに内部リソースを投入し続ける必要があるからだ。

「数週間ごとにアップデートすることを目指している」とマシュー・ワーンフォード氏は言う。彼の会社デュービット(Dubit)はバイアコム(Viacom)のようなブランドのために、ロブロックスにおける持続的な世界設計を行っている。「新しい服、武器のアップグレード、既存のゲームへの新しいレベルの追加など、小さなコンテンツのアップデートの場合もあるだろう。それから一般論としては、新しいエンジン、新しい機能や機能のアップデートも、隔月で行おうとしている」。

ワーンフォード氏によると、バイアコムのようなブランドは、自社開発の知的財産が豊富に存在するおかげで、ロブロックスの持続的なスペース運営に自然と適していると言う。

「たとえば忍者タートルズ(Ninja Turtles)、アバター(Avatar)、スポンジボブ(Spongebob)といったキャラクターを保有していれば、メタバースのなかのバーチャルなテーマパークで使うことを容易に想像できる。しかし、そんなブランドは数少ない」と彼は言った。「バイアコムは、自分達がその種の体験を支え続けることができるコンテンツを持っていることを、よく知っていた」。

「新参者としてはまず試したい」

しかし現実的には、永続的なメタバーススペース運営ではなく、期間限定のイベントやアクティベーションを通じてロブロックスに足を踏み入れる形を望むブランドが多いだろう。

「私たちはメタバースの世界では新参者だ。(参入にあたっての重要な問いは)何かを試してみて、そこからスケールし、よりしっかりとした体験を構築する方法を見つけるにはどうすればよいか、という点にある。オーディエンスからいい反応があった場合はどうすれば良いか、または方向転換して別のことを試す必要がある場合はどうすればいいか、といった具合だ」と、先週限定期間でブランデッドゲーム「ファッション・ランウェイ(Fashion Runway)」をローンチした衣料ブランド、オシュコシュ・ビゴッシュ(OshKosh B’gosh)のグローバルマーケティング担当バイスプレジデントであるジェフ・ジェンキンズ氏は語った。

「常時オンの体験とは異なり、(期間限定のイベントであるからこそ)私たちも(ロブロックス参加を)行うことができる。より恒常的な体験を作成しているブランドたちは、メタバースでの経験において、我々よりもう少し先を進んでいる存在だ」。

明らかなのは、ほとんどの場合、時間制限のあるロブロックスのアクティベーションは、常時オンのものよりも多くのトラフィックとエンゲージメントを得ているという事実だ。

2021年10月にはチポトレ(Chipotle)の無料ブリトー体験が大反響を呼び、プラットフォームで起きたサーバークラッシュが、(無料ブリトーに集まった)トラフィック急増のせいじゃないかと一部のユーザーは推測した。

「チポトレによるブランデッド企画はおそらく、これまでで最高のパフォーマンスを誇るものだ。私たちはこれまで、彼らと企画2つをやってみたが、この成功が同社による永続的なスペースを持つことにつながるかもしれない。彼らは素晴らしいポテンシャルを持っている」と語るのは、この体験を設計したメタバース開発スタジオ、メロン(MELON)の社長、ジョシュ・ニューマン氏だ。

「今後の永続的なスペース運営の可能性があるという考えの下で、(期間限定)イベントとしてこの分野に参入する、といったハイブリッド形式にすることもできる。しかし、最初のエントリーポイントはイベントドリブンだろう。現実に、この取り組みで大規模なエンゲージメントが見られている」。

「適正な方法で子供にアプローチできる」

ワーンフォード氏やほかの専門家によると、期間限定のイベントの方が成功率が高いのは、そうしたイベントがなくなる前に体験しようというユーザー側の明確な動機があるからだという。また、ブランドが企業として行っているマーケティング活動とも容易に組み合わせることができる。結局のところ、ほとんどのブランドのマーケティングキャンペーンは通常、常時オンではなく時間制限があるものだ。

「私たちがこの時期にしたかった大きな理由の一つは、オシュコシュにとって学校の新学期が始まる時期というのが最も重要な時期のひとつだからだ」とジェンキンズ氏は言った。「3カ月後には、そこからどこに進むか、延長するか、何かほかのことをするかを検討する」。

また、ロブロックスでは子どもの安全に対する懸念が高まっており、期間限定のアクティベーションは、より一貫したモデレーションと監視が必要な常時オンの体験と比べると安全な方法で、ブランドがユーザーとつながる機会を提供してくれる。

衣料ブランドのハッピーネーション(Happy Nation)は安全関連テック企業のスーパーオーサム(SuperAwesome)と提携して、同社の既存のロブロックス体験のひとつであるベイビュー(BayView)を活用し、期間限定でアクティベーションを行ったが、その理由のひとつもこの点だった。

「私たちは確実に適正な方法で本当に安全に行いたかった」とハッピーネーションのクリエイティブ担当バイスプレジデント、スーザン・アンダーソン氏は言った。「しかし、私たちはまた、8歳から10歳程度の顧客が物を作り、時間を費やし、ほかの子どもたちと自然にやり取りを行なっている場所で、真に意義のある方法でエンゲージメントを持ちたいと考えていた」。

バーチャルスペースプロデューサーが生まれる?

現在は期間限定のアクティベーションが主流だが、メタバースの専門家の中には、永続的なブランデッド仮想空間の拡大は避けられないと考えている人もいる。彼らは今日のプロトタイプ状態のメタヴァースのプラットフォームとソーシャルメディアの初期の時代を比較し、現在ではほとんどすべてのブランドがTwitterやFacebookのページを持っていることを指摘している。

「長期的な視点では、ブランドが唯一興味持っているのは、ユーザーに持続的な体験をしてもらうことにある。その点に(メタバース参入の)学習と進化がある」と、メタヴァースのデザインスタジオであるスーパーソーシャル(Supersocial)のCEOのヨナタン・ラゾ・フリッドマン氏は言う。

「2010年から2015年の間に、スマートフォンやiPhoneのアプリストアやAndroidのアプリストアが単なる目新しい物ではなく、本当に一大現象になった。私たちはメタバースとロブロックス、そしてそこにおける経験に関して、その転換期にいる」。

このような永続的なメタバース・スペースが抱えるユニークなニーズに対処するために企業が行うこととして、ラゾ・フリッドマン氏が予想していることがある。それはブランドたちが現在ソーシャルメディアのマネージャーを雇用しているように、バーチャルスペースのライブ運用プロデューサーを雇用し始めるだろうということだ。そしてブランドは、1回限りのイベントを試しながら仮想空間を作り、それを永続的な常時接続の世界へと発展させていくだろう。

「テーマパークを作れるブランドはまだ少ない」

しかし今のところ、多くのブランドはまだメタバース関連の人材をようやく自社で採用し始めたばかりで、期間限定のアクティベーションがロブロックスのアクティベーションのなかでも最も簡単で、最も魅力的な形態であることに変わりはない。

「ディズニーランド(Disneyland)を作ることができるブランドや知的財産のポートフォリオ(を持っているブランド)はいくつあるか」とワーンフォード氏は問いかける。「独自のテーマパークを作れるブランドは多くないし、テーマパークでさえ常に新しい乗り物が必要だ。定期的なメンテナンス、スタッフ、アトラクションなども必要だ。それができる企業は多くない」。

[原文:Why limited-time brand activations rule in Roblox — for now

Alexander Lee(翻訳:塚本 紺、編集:分島翔平)

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