「顧客の嗜好はすぐに変化する」:カジュアル衣料老舗ランズエンドのCEOジェローム・グリフィス氏が語る、進化する商品戦略

DIGIDAY

こちらは、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です
※モダンリテール[日本版]は、DIGIDAY[日本版]内のバーティカルサイトとなります

カジュアル衣料小売のランズエンド(Lands’ End)は、消費者の習慣の変化に適応するため、今年はインティメート・アパレル(下着・室内着)分野への参入と、快適性を重視したワークウェアの充実を計画している。

CEOを務めるジェローム・グリフィス氏は、9月1日の第2四半期決算発表の後、米モダンリテールのインタビューに応じ、マクロ経済の課題が継続するなか、同社を成長させる計画について話した。第2四半期の収益は、過去最高の3億8410万ドル(約553億円)を記録した2021年の同時期から9%減少して3億5120万ドル(約506億円)になったが、パンデミック前の2019年の第2四半期よりは18%増えている。

同氏は今後の計画について触れ、同ブランドが今秋、インティメート・アパレル分野に進出し、ソフトローンチする予定であると語った。また、パンデミックのあいだに人気が増したレジャー用衣料のトレンドにも投資を続け、快適でありながらオフィスにも適した新しいスタイルの衣服をリリースしていくと同氏は語った。

グリフィス氏は、これらのトレンドや、多くの業者が存在するアパレル分野において、従来型の小売業者が今後どのような展開を迎えるかについて、米モダンリテールに語った。以下の対談内容は、簡素さと明瞭さを考慮して編集を加えたものである。

◆ ◆ ◆

――第2四半期の業績で印象に残ったことは何か?

いくつかの事業が非常にうまく機能している。サードパーティービジネスは過去数年間にわたって成長してきたもので、極めて良好な業績を挙げている。売上は約43%増加しました。また、学校の制服や、大口顧客、中小企業の3つの分野に分かれている制服ビジネスは、第3四半期から第2四半期へと前倒しして購入する傾向が多少見られた。早めに注文しないとサプライチェーンの問題や労働者の問題によって配送が遅れる可能性があると親たちが理解しているので、今年は昨年よりも多少早めに購入が行われたのだ。

さらに、当社は過去6カ月から12カ月のあいだに平均単価が上昇したため、多少の値上げを行った。これについて、顧客からは多くの反発は受けていない。

当社最大の商品カテゴリーである水着は、比較的比較的好調に推移した。これは、当社のビジネスの非常に大きな部分を占めている。水着のシーズンは毎年少しずつ長くなっているようなので、この点についてうれしく思っている。

――今年の第2四半期は昨年と比べて落ち込んだが、これは消費者の習慣によるものなのか、それとも2021年はパンデミックによってeコマースが大幅に伸びた年だったからなのか?

2021年の第2四半期は、すべての年の第2四半期のなかでも記録的なものだった。そこからいくつかのできごとが起きた。人々がオンラインで買い物をすることが少し減少しただけでなく、エネルギーや食品のコスト増大の影響を受けて支出を抑制するようになり、それによってショッピングの習慣も多少変化してきた。しかし、当社のコンバージョン率は依然として高いと感じている。また、オンライン店舗を訪問する人々も買い物をしに来ている。

――サードパーティーの分野における堅調な成長を指摘していたが、このような結びつきをどのように作り上げるのか、また、それによって御社のビジネスがどのように推進されるのか?

ランズエンドの商品は、4年か5年前までは、LandsEnd.comかシアーズ(Sears)でしか買えなかった。そして、シアーズとの関係は理想的なものではなく、シアーズの顧客の属性はランズエンドの顧客のものとは重ならないため、良い相乗効果は得られなかった。当社は、成長戦略の柱のひとつとして、「ユニットチャレンジのディストリビューター」であることをめざしている。つまり、顧客が買い物をする場所で顧客に商品を販売するということだ。当社の顧客はAmazon、ウォルマート(Walmart)、コールズ(Kohl’s)、ターゲット(Target)で買い物をする。当社は、顧客が支出する場所に存在することを望んでいる。顧客は理由があってそこで支出するからだ。

当社がコールズに展開したのは、我々の顧客がコールズで買い物をすることがわかっていて、コールズがアパレル中心であるためだ。そして、マーケットプレイスだけでなく、彼らの実店舗にも進出した。実店舗に出店することで、ある種の共生的な関係を見いだした。そしてそれは、マーケットプレイスのビジネスを拡大することにもつながるのだ。そして、この数カ月でターゲットとQVCにも展開を進め、今後もマーケットプレイスの拡大を続ける。

当社はこの取り組みを非常にうまく進めている。我々には、それを的確に行うためのテクノロジーがある。自社倉庫から発送しており、顧客にとってほぼシームレスだ。

――今後数四半期に開始する各種の戦略や商品について、少し話してほしい。

まずはインティメート・アパレルの取り扱いからはじめる。これまではインティメート・アパレルを扱ってこなかった。当社には本物の技術的ノウハウや、水着を作り上げる方法を熟知した、非常に優秀なテクニカルデザイナーがいる。そしてこれは、インティメート・アパレル分野で起きていることと直接関係している。今秋にソフトローンチを行い、来春に大規模なローンチを行う。

当社は、仕事にも着ていける、それでいて快適な汎用性の高い洋服を重視するように方向を転換した。これは市場のトレンドでもある。その結果、この秋には良好な結果を得ることができ、好スタートを切った。

――インティメート・アパレルについては、成長部門として多くの機会があると見ているか、そして、新しいD2Cの下着ブランドのなかでランズエンドがどのような地位を占めると考えているか?

インティメート・アパレルは顧客が求めていたものの、当社が扱っていなかったものだ。そのため、この業界には十分な革新があったと考えている。当社で商品を購入し、インティメート・アパレルは別の場所で購入していたという顧客に対してチャンスがあると考えている。

――顧客から、仕事に着ていけるような快適な衣服について、同様の要求はあったのか?

2020年4月から昨年8月にかけて、パンデミックが発生したとき、「快適な着心地であること」は、我々にとってとてもうまく機能してくれた。しかし、オフィスでの仕事に戻りはじめた人々には、より汎用性の高い衣服が必要になった。スウェットパンツで仕事に行くことはできない。いや、できないわけではないが、ほとんどの人々はやりたがらないのだ。しかし、スウェットパンツの快適性も手放したくない。そこで当社は、より快適で伸縮性に優れた、人々に好まれるような新しい生地を研究した。それが人々の共感を呼んでいるようだ。

――今後数年間について、アパレルの最大の成長分野と課題は何だと考えるか?

在庫管理がうまくいっていないアパレル企業やアパレル関係の人々、また、現在の経済状況を踏まえた上で資本力が不足している企業は、淘汰される可能性があると思う。今後生き延びるのは、最良のアイデアと最高の柔軟性を持ち、最良の収益化を行った人々だろうと考えている。

顧客の嗜好はあっという間に変わってしまうので、その変化に合わせて変化できることが必要だ。

[原文:‘Customer tastes can change very quickly’: Lands’ End CEO Jerome Griffith on the company’s evolving product strategy]

MELISSA DANIELS(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Lands’ End

Source

タイトルとURLをコピーしました