婦人服小売の ソフトサラウンディングス、 X世代 向けにリブランディング:「競合が少なく、大きなチャンスがある」

DIGIDAY

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ファッション小売業者のソフトサラウンディングス(Soft Surroundings)は、何年にもわたってベビーブーム世代を対象にしてきた。しかし、1年前の6月、同社はいわゆる「忘れられた消費者」であるX世代女性に焦点を当てた品揃えを開始し、それは変わった。

ソフトサラウンディングスは、ドレスやジャンプスーツ、シューズやバッグなど、衣類やアクセサリーを販売しているが、創業から約24年を経て、同社の顧客ベースの多くは現在X世代の女性だということに気づいた。ブランド改革を実行するため、同社は在庫を65%削減し、X世代の女性が望むものに特化して、よりフレッシュな商品を揃えた。また、2022年末までに不採算店舗を閉鎖し、70店舗あまりあった店舗数を43店舗にまで減らした。

同社のエグゼクティブチェアマンで、暫定CEOを務めるブリジット・ロンバード氏は次のように述べている。「ソフトサラウンディングスが表現するものをとにかく愛してくれる、熱心なブランド信奉者の女性たちがいることに気づいた。我々は、注力の対象を多少変更する必要があったということだ」。

歴史ある小売業者の多くは、顧客が真っ先に思い浮かべるブランドであり続けるため、そのライフサイクルのどこかで、リフレッシュやリフォーカスを開始する。ソフトサラウンディングスの場合、ブランドにもっとも共感しているのがX世代であることを特定した。新たに見出したターゲット顧客であるX世代にアピールするため、店舗を整理し、品揃えを一新して、ブランドを現代化した。この取り組みのおかげで、同社は今年15%成長の軌道に乗ることができた。昨年は店舗を閉鎖して在庫を減らすという決定から、売上は15%低下したが、同社が31店舗を閉鎖したことを考えれば、この数値は比較的小さいものだと、ロンバード氏は述べている。

在庫を刷新

1999年に創設された同社は、衣類やアクセサリーに加えて、掛布団や枕などのホーム&ウェルネス商品も販売している。同社は収益の正確な数値を公開していないが、セントルイスビジネスジャーナル(St. Louis Business Journal)は同社が2016年に2億7500万ドル(約380億円)の収益を記録したと報じている。同社の売上の約73%は自社サイトで、27%が店舗でのものだ。

同社がこの1年間に行った大きな活動のひとつが在庫の一新で、一部は時代遅れになっていたものもあったと、ロンバード氏は語る。パンデミックとマクロ経済の逆風のため、同社は明確な値下げ戦略を実施していなかったため、過剰在庫や古い在庫が積み重なる結果になった。この新しいフェーズでは、閉鎖した店舗を清算用の店舗として活用し、新商品のためのスペースを確保した。

ロンバード氏は次のように述べている。「これは、ブランドがためらいがちな値下げ戦略を行うときに、特に起きやすいものだ。小売における我々の業務のひとつは、自社の在庫を極めてクリーンな位置に保ち、在庫を回転させ、顧客にとって新しいものに保ち続けられるようにすることだ」。

不採算店舗の見直し

同社は、昨年末の時点での店舗当たりの収益性や場所などの指標に基づいて、店舗の清算を選択した。また同社は、どの店舗を閉鎖するかを選択するとき、市場での重複も考慮した。郊外のモールを拠点とするいくつかの店舗については、それらの拠点におけるアンカーとトラフィックを調べたと、ロンバート氏は述べている。

店舗数を減らしたことで、残りの店舗に集中することができ、これらの店舗には同社の新しいターゲット層の顧客にアピールする新しい商品を置くことができるようになった。同社のX世代の顧客は、通気性があり軽量な素材を好むと、ロンバード氏は語る。同氏は、現在買い物客を引き付けている商品ラインの一例として、同社の手作りで、手作業で装飾されているグローバルアーティストリーコレクション(Global Artistry Collection)を挙げている。2023年における同社の平均注文価格は、前年より2ケタ増となったが、これは、買い物客が新しい品揃えに共感していることを示していると、同氏は述べている。

X世代への理解

バブソン大学(Babson College)でマーケティングの準教授を務めるローレン・ベイテルスパッカー氏は、「X世代を特に対象としている小売業者はそれほど多くないため、大きなチャンスがある」語る。多くのブランドは、顧客の生涯価値という点で、若い買い物客をターゲットにすることを好む。X世代はほかの世代に比べて人口は少ないが、キャリアの絶頂期にあり、可処分所得が多いと、同氏は述べている。

この層にアピールするには、X世代が実際よりも老いている、または若いかのようにマーケティングすることは避けるべきだと、同氏は語る。ブランドはX世代に訴える方法を知り、この世代がどのようなものに関心を持つかを理解する必要があるとも、同氏は述べている。

しかし、ブランドのターゲット層を設定しなおすことにはリスクもある。「これまで熱心に自社を支えてきた人々を遠ざけてしまう危険がある。さらに、新しい顧客を十分引き出せず、既存の顧客を遠ざけてしまうリスクもある」と、同氏は述べている。

ソフトサラウンディングスはリポジショニングの第2フェーズを開始したばかりだが、これまで行ってきた変更に満足していると、ロンバード氏は語る。同社は技術的なアップデートも進めている。たとえば、店舗でShopify POSを採用し、ウェブサイトを新しいプラットフォームに移行する手順を進めている。

「これまでの進展に良い手ごたえを感じている。営業し続けている小売店舗は、昨年よりも既存店売上が増加している」と、同氏は述べている。

[原文:Why Soft Surroundings is refocusing on Gen X shoppers]

Maria Monteros(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Soft Surroundings

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