AI競争に「成熟」をもたらすGoogleのAIツールと GPT-4 :「勝ち抜くのは技術を消化されやすく変換できた企業だ」

DIGIDAY

AI関連のニュースが相次ぐなか、近い将来、そうした最新情報すべてに通じる(そして、理解する)ために、人々は独自のAIを持つことが必要になるかもしれない。

GoogleとオープンAI(OpenAI)はいずれも、3月14日にAIツールの新しいアップデートを公開した。午前中にGoogleが新機能を発表し、そのわずか数時間後にオープンAIが待望の「GPT-4」をリリースしたのだ。

変化のさらなる加速

Googleは、開発者と法人向けの新しいAPIにより、「Gmail」や「Google Docs」向けの新たなAI機能とともに、テキストや画像(ならびに、ゆくゆくは音声や動画)を生成する新しいAIツールをリリースした。また、「Google Cloud」を利用するマーケターには、ブレインストーミングや広告文案作成といった業務およびメールやクリエイティブ資産を作成するための、専用の新ツールも用意されている。

その後まもなくして、オープンAIが、テキストと画像両方の入力を受けることができる最新の言語モデルGPT-4を公開した。オープンAIによると、GPT-4は「GPT-3」と比べて、事実に基づく回答を生成する可能性が40%高く、「許可されない内容」で回答する可能性が82%低いという。これらはどちらも、懸念され続けている領域だ。

両社にさらなるコメントを求めたが、GoogleとオープンAIはいずれも、コメントを避けた。だが、両社のアップデートが、それでなくても目まぐるしいペースで動いている分野のさらなる加速を示している。Googleの新しい「PaLM API」が登場したのは、オープンAIが、(開発者がサードパーティアプリにChatGPTを統合できる)独自のAPIを公開してから数週間後だが、Googleはすでに、より小規模で歴史の浅い競争相手に追いついていると確信する観測筋もいる。

調査会社ガートナー(Gartner)のアナリスト、チラグ・デカテ氏は、Googleによるアップデートは、モデルデータから顧客データを切り離す方法(ユーザーの情報を保護する重要な機能)を提供して、「そのレベルを引き上げた」と語る。だが、どの場合でも、「ノイズの中では非常に道に迷いやすい」ため、さまざまなツールを試すことが重要だという。

「率直に言うと、見出しの域を越えて、AI競争に勝ち抜くのは、これらの技術をうまく変換して消化されやすくすることに成功する企業だ」とデカテ氏は付け加えた。

「優位性が、期待できる」

企業は、GPT-4を利用して、最大50ページのテキストが含まれた、より大きなデータセットを分析することもできる。新しいモデルは、写真の分析以外にも、図表やスクリーンショットも読み込める。

「テキストから画像への変換や動画生成の潜在的能力は、非常に高い」と、広告代理店DDBノースアメリカ(DDB North America)の最高データ責任者、プラディープ・クマール氏は言う。「翻訳、Q&Aの高速化、拡張性や生産性、創造性における全体的な優位性が期待できる」。

オープンAIのアップデートについては、GPT-4を利用して新しいツールをすでに開発中の企業もある。

決済企業ストライプ(Stripe)は、ユーザー体験の効率化と詐欺対策にGPT-4を利用しようとしている。一方、 モルガン・スタンレー(Morgan Stanley)はGPT-4を利用して、ナレッジベースを整理中だ。カーンアカデミー(Khan Academy)は、生徒一人ひとりに合わせた指導を行うために、そしてアイスランド政府は、自国の言語保護にGPT-4を活用している。

言語学習アプリのデュオリンゴ(DuoLingo)もアーリーアダプターで、GPT-4を利用して、新しいサブスクリプション版アプリ「Duolingo Max」向けツールを開発した。ユーザーに答えを説明する機能や、パリのバリスタにコーヒーを注文する場合など、さまざまな状況で言語を用いるロールプレイ機能がある。

企業による導入が可能な段階に

新しいAI活用言語ツールを宣伝するため、デュオリンゴはさまざまなデジタルプラットフォームで広告キャンペーンを展開し、GPT-4に具体的に言及していない印刷広告も3月14日にニューヨーク・タイムズ(The New York Times)に掲出した。デュオリンゴのAI担当責任者、クリントン・ビックネル氏によると、GPT-4は旧モデルよりも優れており、デュオリンゴはすでに、アプリにAIを組み込む方法をさらに模索しているという。ビックネル氏は、オープンAIのものだけでなく、他社の言語モデルも将来的に利用する可能性があると付け加えた。

「特定のタイプのナレッジの保有の点ではるかに優れている。言語指導で大事なことのひとつは、人々への説明のために、時には知っておく必要がある詳細な言語知識が豊富な点だ。GPT-4はその点で、旧モデルには不可能だった方法で良い仕事を行えるとわかった」とビックネル氏は言う。

顧客サービス自動化プラットフォームのインターコム(Intercom)も、新ツールにGPT-4を活用している。インターコムは3月14日に顧客サービス用チャットボット「Fin」を公開した。インターコムで機械学習担当ディレクターを務めるファーガル・リード氏によると、最新モデルでようやく、不正確な情報をめぐる多くの問題に直面せずにAIで顧客サービスを提供することが可能になるという。

「何をすべきかを指示すれば、予測可能な対応をとる段階を越えつつある。構成要素として使えるようになってきて、企業による導入が可能になりつつある。製品化するまでにはまだ多くの作業があるが、そうした仕事を行えば、最終的に素晴らしい製品になり得る」とリード氏は語った。

[原文:Google’s new AI tools and OpenAI’s GPT-4 bring more ‘maturation’ to the AI race

Marty Swant(翻訳:矢倉美登里/ガリレオ、編集:分島翔平)

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