「 冷凍食品 」に着目しはじめた D2Cブランドたち:健康・便利・手ごろ感がキーワードに

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冷凍食品はこれまで、手軽だが不健康な食品として不評を買ってきたが、いくつかのD2C食品ブランドは現在、高品質の商品と利便性を両立し、その評判をくつがえしつつある。

3年前に起業したモザイクフーズ(Mosaic Foods)は、5分以内に調理できる健康的な冷凍食品の提供することを事業の柱としている。フライバイジン(Fly by Jing)は中国の調味料ブランドとして創設されたが、11月にダンプリングを品揃えに加え、生鮮・冷凍食品カテゴリーにも手を広げた。フライバイジンは、自社のダンプリングを発表してから2カ月足らずで100万個以上を売り上げ、モザイクもこれまでに100万食以上を売り上げた。

パンデミックで食料品を蓄える人が増加

食品の新興企業は、健康的で簡単に調理でき、より完成された食事のように見える食品を求める人々にアピールすることで、冷凍食品のカテゴリーの革新を試みている。パンデミックのあいだに人々が食料品を食料貯蔵庫に蓄えていたことから、D2Cブランドの創設者たちは、冷凍食品カテゴリーの商品に需要を見いだしたと、米モダンリテールのインタビューで述べていた。デロイト(Deloitte)による9月のレポートによれば、冷凍食品の売上額は2020年に21%増加し、これは生鮮食品の売上額の増加率の2倍だった。消費者が利便性のために冷凍食品を使い続けることで、このカテゴリーは成長し続け、競合も激しくなっていく可能性がある。

モザイクフーズの共同創設者でCEOを務めるマット・デイビス氏は次のように述べている。「食料品店で冷凍食品カテゴリーを避けてきた多くの人々が、COVIDのさなかで食料品店に行くことに気が進まなかったことから、冷凍食品に寛容となってきた。ロックダウン下の人々は、外出を減らそうとしたことから、満たされないニーズを解決するため、オンラインストアや、さまざまな食品サブスクリプションサービスに目を向けるようになった」。

消費者からの需要の高まりから、野菜ボウル、スープ、オートミールのボウルを販売しているモザイクフーズは前年比で200%も成長したと、デイビス氏は語る。フランスの食品企業であるピカール・シェルジェ(Picard Surgelés)のような、欧州に存在する冷凍食品専門店をヒントに、モザイクは5月、ブルックリンのプロスペクトハイツ地区に独自の冷凍食品専門のポップアップストアを開設し、将来に向けて新たな成長のチャネルを探求することを計画している。同社はこれまでに、1000万ドル(約13億4000万円)の資金を調達した。

デイビス氏は次のように述べている。「当社は、素晴らしい食事を調理して冷凍すれば、再加熱しても素晴らしい食事のままだということに気づいた。簡単なことのようだが、現在の食料品店で必ずこれが見られるわけではない」。

デロイトによる同レポートによれば、現在の消費者はパンデミックの前ほど、日持ちのしない食品に寛容ではない。小売テック企業であるグロッサリーショッピー(Grocery Shopii)の創設者兼CEOのケイティ・ハッツェ氏は、人々は料理のような家事を負担するストレスを最小限に抑えるソリューションを求めていると語る。同氏は、オンラインブランドには革新的なソリューションを提供する機会が豊富に存在するとも付け加えている。

活況を呈する冷凍食品カテゴリー

ほかの企業も同様に、冷凍食品での成長の計画を描いている。冷凍スムージーやグレインボウルなどの商品を提供するD2C食品ブランドのデイリーハーベスト(Daily Harvest)は1月、焼くだけで完成する料理のセレクションをハーベストベイクス(Harvest Bakes)という名前で発売した。子ども向け冷凍食品ブランドのキッドフレッシュ(KidFresh)は5月、新しい冷凍食品を自社の品揃えに加えた。また同社は近年、ホールフーズ(Whole Foods)やパブリックス(Publix)などの小売業者と提携し、実店舗での戦略を推し進めてきた。

ハッツェ氏は次のように述べている。「パンデミックのあとで、調理疲れが見られる。母親に負担がかかり、親は自宅のキッチンで調理するのに疲れている。誰もが解決策を探している」。

フライバイジンの創設者でCEOを務めるジン・ガオ氏にとって、冷凍ダンプリングの発売はビジネス拡大の自然な流れだった。「我々が長年にもわたり顧客から受け取ったフィードバックのひとつが、顧客が当社のソースをかけるもののトップがダンプリングだということだった」。

この冷凍ダンプリングは膨大な数の記事で扱われ、商品はバイラル化した。ガオ氏は、同社が今年の年末に向け、植物性食品を使った冷凍ダンプリングの発売を計画していると語った。

同氏は次のように述べている。「この新商品は、非常に高品質な商品を作り続けるという当社の目標を再確認するものとなる。当社はある意味、このような商品がどこにも見られないため、自分たちのために商品を作り上げたようなものなのだ」。

健康、便利、手ごろがキーワードに

モザイクのデイビス氏は、冷凍食品を販売する多くの企業で、ひしめき合うようになってきているという。従来型の実店舗小売業者でさえ、冷凍食品カテゴリーが軌道に乗ることに期待している。たとえば家庭用品小売のウィリアムズ・ソノマ(Williams Sonoma)は、ベーコン・マカロニチーズやズッキーニとコーンのキャセロールなど、さまざまな調理済み冷凍食品も販売している。ペットスマート(PetSmart)はD2Cブランドのノムノム(Nom Nom)と提携し、一部のペットスマート店舗とPetSmart.comで新鮮な冷凍ドッグフードを販売している。

同氏は次のように述べている。「非常に多くの食品ブランドが、健康、便利、手ごろ感を強調している。最終的な評価は顧客に委ねられるわけだ」。

モザイクが自社を競合他社と差別化する試みのひとつに、自社商品への投資がある。同社は、社内にモザイクの商品を作るシェフのチームが存在する。また同社は、四半期ごとに新商品を発売している。今後発売される商品のひとつはスムージーの商品ラインで、9種類のフレイバーと材料の組み合わせが用意されている。

冷凍食品のカテゴリーで起きているあらゆる革新に伴い、同氏は冷凍食品に対する悪い評判が減少し、このカテゴリーがより幅広く受け入れられていくことを期待していると語る。マジックキッチン(Magic Kitchen)やミールプロ(MealPro)などのブランドも、冷凍食品のカテゴリーでさまざまなビジネスモデルを打ち出している。マジックキッチンはサブスクリプションや契約の義務なしに食事を提供し、ミールプロは、顧客が自分の食事をカスタマイズできるようにしている。

デイビス氏は、「かつては放棄されたも同然だったこのカテゴリーに、人々は新鮮な目を向けている」と語る。「多くの新しい企業が冷凍食品を開発し、多くの消費者が冷凍食品に戻ってくることになるだろう」。

[原文:DTC brands see frozen food as the next trending category]

Maria Monteros(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Mosaic Foods

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