こちらは、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です
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2020年は、ネイバーフッド・グッズ(Neighborhood Goods)にとって恐ろしい事態が発生した年だった。
同社の共同創設者でCEOを務めるマット・アレクサンダー氏は次のように述べている。「当社はレイオフと一時帰休など、あらゆる困難を経験した。ちょうどその年は絶好調だったため、突然このような状況になり断腸の思いだった」。
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しかし業務は回復し、同氏の最新の百貨店モデル、すなわちマンハッタン、オースティン、プレイノなどの都心に小売店舗を設け、各種のブランドを受け入れ、売り場の定額料金と、収益の一定割合を受け取るという方式が成功を収めつつある。同氏は、米モダンリテールのポッドキャストで、「売上は増え続け、さらにブラントを増やし続けていく」と語った。
アレクサンダー氏は、Digiday Media主催のコマースウィーク(Commerce Week)期間中、ニューヨーク市のチェルシーマーケット(Chelsea Market)にある同社の店舗で、米モダンリテールのポッドキャストのライブ収録に参加した。ここで同氏は、ビジネスの変化と、将来に向けた準備について語った。
パンデミックの最中に売上が低下したのは明白で、同社はすべての店舗をかなりの期間にわたって閉鎖することを余儀なくされたが、ネイバーフッド・グッズはデジタルサービスによっていくつかの光明を見いだすことができた。「我々の店舗は、表面的にはその店舗自体の倉庫でもある。そのため当社では、通常なら顧客の手元に届くまで数週間、数カ月を要するような商品についても、現地配送、即日配達、店舗受け取りといったサービスを提供することができた。そして、それは実際に当社の業績を押し上げる原動力となった」と同氏は述べている。
しかし現在は、デジタルだけが焦点ではなく、店舗も重視されはじめている。訪問客数がパンデミック前の水準に復帰し、店舗がこれまでになく生産的になってきたと、同氏は語る。実際に同氏は、現在直面している本当の問題は訪問客が多すぎることだという。「店舗を訪れる人々の数があまりに多すぎるため、訪問客への対応方法に関して多くの課題が発生している」と同氏は述べている。
しかし、これはむしろ良い問題だ。現在注目されているのは成長についてである。そのためには店舗数を増やすこともひとつの方法だが、アレクサンダー氏はどこに新店舗を開設すべきかいまだに模索している。カルフォルニア、アトランタ、ナッシュビル、あるいはもっと小規模な郊外の可能性もあると、同氏は語っている。
それでも、同氏はビジネスの将来について、さらには実店舗小売自体の将来について楽観的だ。「結局のところ、基本的な状況は改善され続けるだろう」と同氏は述べている。
同氏との対談のハイライトをいくつか紹介する。これらは明瞭化のため、多少編集を加えたものだ。
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オムニチャネルサービスの成長
「すぐにわかったことは、参加ブランドの多くが我々とともにオンラインに移行することを選択しなかったということだ。別の形で自分たちのビジネスを共食いしてしまうかもしれないという懸念があったためだ。このため、当社にとってデジタルは情報提供の意味合いが強いものだった。しかし当社は、パンデミックがはじまった頃に、これらのブランドの多くから、オンラインに移行したいという要望を聞くようになった。そして重要な点のひとつは、多くのブランドが明らかにサプライチェーンで苦戦しはじめたことだ。当社の店舗は表面的に、その店舗自体の倉庫でもある。そのため、通常なら顧客に届くまで数週間、数カ月を要するような商品についても、現地配送、即日配達、店舗での受け取りといった種類のサービスを提供することができている。そして、これは実際に当社の業績を推進する要因となった。レストランもまた、創造性を育む非常に興味深い環境になった。当社は、配達専門のレストランというコンセプトで、レストランを活性化させることができるようになった」。
実店舗への来店客数が回復
「再開当時、店舗は生産性が高く、単に客の数が減少しただけだった。それ以来、来店客数は回復したが、コンバージョン率は安定している。当然、これは良い結果につながった。これによって、興味深いダイナミズムを生み出している。当社にとっての定説は常に同じだ。我々の店舗にはじめて来店する人は、今まで実際に見ることができなかったX、Y、Zというブランドが気になったことが理由だ。そして、店舗でブランドを目にすることができ、そこで良い体験を得て、ほかのブランドにも魅力を感じたなら、再び店舗を足を運ぶようになるだろう。または、たとえばレストランで非常に良い体験をしたなら、これも店舗を繰り返し訪れる理由となる。当社は現在、これを実践していると、私は考えている」。
ネイバーフッド・グッズの次の拠点について
「カリフォルニアには非常に興味深い市場がいくつか存在し、当社はそれに着目している。また、アトランタ、ナッシュビル、デンバー、シアトルの市場も、多くの明白な理由から、多くの種類のブランドを活性化してくれる。さらに、シカゴやほかの場所もある。そして、これらの多くの市場について考えれば、そのなかからもっとも明白な地域について考えることができる。しかし、郊外の衛星市場にも非常に魅力的なものが存在する。当社が現在多くのブランドから耳にしているのは常に同じことで、顧客獲得のコストが着実に上昇し続けているということだ。そして、パンデミックの最中には一時的な猶予があったが、現在ではそれがはるかに悪化している。このため、誰もが流通チャネルについて考え、収益性について考え、適切な場所に店舗を開設すれば、毎月広告キャンペーンを行うよりも大幅に安価で、より熱心な顧客を集めてより多くのリターンを得ることができるという、実店舗の戦略について考えている。誰もが考えていることだと私は思う。また、当社がこのような種類のシナリオにおいて支援を行えるという、我々の存在意義のようなものは、極めて重要であることは変わらないと考えている」。
Cale Guthrie Weissman(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)