「私は常にユーザーの購買体験にこだわってきた」:CSOボーンスタイン氏が語る、 ピンタレスト のショッピング機能改革

DIGIDAY

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ピンタレスト(Pinterest)は、オンラインショッピングの重要なプレイヤーになりたいと考えている。

ソーシャルネットワークである同社は6月、ショッピングの新興企業であるザ・イエス(The Yes)を買収した。ザ・イエスは、人工知能を搭載した、女性向けファッションに特化したeコマースプラットフォームだ。ザ・イエスの創設者で、現在はピンタレストでショッピングの最高責任者を務めるジュリー・ボーンスタイン氏は、ザ・イエスの事業がピンタレストのサービスにおいて、特化したショッピング環境を構築できるよう支援している。

ピンタレストはこれまで、プロダクトピンズ(Product Pins)やショップウィズレンズ(Shop with Lens)などのツールや、インフルエンサーやブロガーからのお勧め商品を紹介するショッピングスポットライト(Shopping Spotlight)という、全く新しいセクションで買い物客を引き寄せる努力を続けているが、オンラインショッピングにおいて同社を大手に押し上げるには至らなかった。

ボーンスタイン氏は、eコマースの最初の20年間は、店舗をそのままオンラインに移行することが中心だったと語る。しかし今日では、パーソナライゼーション機能という付加価値が焦点となり、消費者と商品、および多くの技術リソースへの包括的な理解が求められるようになってきたと語る。「ピンタレストには4億人以上のアクティブユーザーが存在し、やがてはこれらのユーザーすべてが買い物も行うようになるだろう」と、同氏は付け加えている。

同氏は米モダンリテールとのチャットの中で、ショッピングの将来について、およびピンタレストでショッピングが急増すると同氏が考えている理由について語った。

以下の対談内容は簡素さと明瞭さを考慮し、編集を加えたものである。

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――ピンタレストとザ・イエスとの統合はどのような形になりつつあるのか? ザ・イエスのソフトウェア統合プロセスは開始されたのか?

ザ・イエスのチームと、ピンタレストとの統合は順調に進んでいる。当社はすでに、ブランドが参加しやすいようにシステムをどのように組み合わせるか、計画を立て始めた。そして、ブランド側が大きな技術的負担なしで営業を開始できるようにするのが、我々の行っている作業の大きな部分を占める。

当社はすでに分類の統合を開始した。今年の秋、または年末までには、新しいテクノロジーのすべてが完全に統合されると見込んでいる。

そして、我々は、多くのブランドと話をしたが、誰もがピンタレストに大きな興味を示した。ザ・イエスの以前のブランドパートナーであるゴールデングース(Golden Goose)、ラ・ダブル・ジェイ(La Double J)、マッカージュ(Mackage)、エーエルシー(ALC)などは、ピンタレストショッピング(Pinterest Shopping)に参加することに熱意を持っていた。これらのブランド、特にテックチームを持たないブランドの多くは、出品者として高度な技術リソースを必要とせず営業を行えることが本当の利点だと理解していた。

結論として、テクノロジーを結合し、ザ・イエスのパートナーに加えて、さらに多くのブランドをピンタレストに招き入れるという目標に向けて、我々の作業は順調に進んでいると、私は考えている。

――ピンタレストのショッピングをどのように変革する計画か?

ピンタレストは常に、人々がアイデアや発想を得る場所であり、そこでショッピングを行えることも求められてきた。そこで、当社が行っているのは顧客がピンタレストで適切な商品を購入、またはピンタレストで優れたアイデアを手に入れて買い物を行えるようにすることだ。当社は女性向けファッションを中心に作業を開始している。

このために当社は、ファッションのあらゆるジャンルのブランドを取り入れた、より大きなカタログを用意している。さらに、新しいパートナーも招き入れる予定だ。ショッピングに特化したエクスペリエンスも用意している。また、「探す」(セクション)では、ショッピング可能な商品を見ることができる。さらに当社は利用者からの意見や要望を受け付け、すべてのユーザー向けにパーソナライズされたショッピング体験を提供していく。

また、ザ・イエスを買収したことで、ピンタレストは、価格帯やカテゴリの異なるブランドおよびマーチャント(加盟店)と多くの関係を保持している。

ピンタレストは、それぞれのユーザー、そしてそのスタイルや好みについて理解するために優れた場所だ。そこで、それと同じモデルをファッションに適用しようとしている。そして、ピンタレストの中で重要なほかの分野についても垂直的に取り組んでいく。ピンタレストでは、ファッション、家庭用品、美容品、食品がすべて、大きなエンゲージメントカテゴリーだ。

――ピンタレストは最終的なショッピングの目的地として、より活躍するようになってきたのか? コンバージョン率は上昇してきたのか?

興味深いことに、ピンタレストは長年にわたってショッピングに取り組んできた。そして、同社が新しい機能や能力を運用開始するにつれ、コンバージョン率は向上してきた。さらにプラットフォーム主導のGMV(流通取引総額)は時間とともに着実に増加してきたと言っていいだろう。

マーチャントやブランドパートナーからも、我々が一層の投資を行い、より多くの取り組みを行うことに期待していると感じている。マーチャントにリンクする機能や、商品ページの改善など、様々な機能を導入することで、当社は継続的に成長している。このため、ショッピングは着実に成長してきたし、消費者向けの新しい機能の運用を開始すればさらに成長が加速するといっていいだろう。

――ソーシャルコマースが勢いを増すなか、Facebookやインスタグラムなどのプラットフォームとの競合をどのように見ているのか?

ピンタレストはいくつかの理由から、ショッピングを優れた体験にできるという点において、ほかのいかなるソーシャルメディア企業よりも有利な位置にある。理由のひとつは、人々が購買の意図を持ってピンタレストを訪れるということだ。人々がインスタグラムを訪れる理由とは異なる。人々がインスタグラムを訪れるのは、友人の状況や、インフルエンサーの活動を確認するためだ。インスタグラムは衝動買いをするのには優れた場所だろう。しかし、具体的なニーズや欲求を満たしたいと考えたときに人々が訪問するのはインスタグラムではなくピンタレストだ。

また私は、ピンタレストのインターフェースが、ほかのプラットフォームと比べて、ある意味で自然にショッピングの延長になっていると考えている。また、ピンタレストがこの課題に取り組み、そしていくつかの非常に優れた基盤技術を構築した上で、これらの技術のすべてを保有しているチーム、すなわちザ・イエスを引き入れることを決定し、現在のチームと力を合わせてこれらすべてを構築したことは、ピンタレストにとって非常に大きな優位点になるだろう。

――あなたはセフォラダイレクト(Sephora Direct)、LVMH、DKNYでの勤務経験がある。これらの過去の経験から得たもっとも重要な教訓は何か?

私は常に利用者のショッピング体験にこだわってきた。そして、この観点から商品を作り上げることを考えている。私があらゆる仕事に持ち込むのは、消費者についての真の理解、すなわちどうすれば優れた体験を生み出せるのかで、そこから遡って作業を進める。商品のデザインやテクノロジーの構築を行うとき、そのすべては消費者の優れた体験をサポートするものでなければならない。私は常に、ここから出発している。

――現代の買い物客は何を望んでいるのか?

この20年間に、インターネットはますます巨大なものになった。現在では、どこからはじめるべきか、どうふるいにかけるのか、といったことを見つけ出すのが非常に困難だ。無関係のものがあまりにも多く存在する。そこで、膨大なものから余計なものを排除して、自分が必要とするものを見つけ出せることが、真に重要となる。テクノロジーの次の波は、ネットに存在する膨大なもののなかから自分に必要なものを見つけ出し、ほかのものを調べる必要がなくなるようにすることだと私は考えている。

[原文:‘I’ve always been obsessed with the user shopping experience’: How Julie Bornstein plans to transform shopping on Pinterest]

Vidhi Choudhary(翻訳:ジェスコーポレーション 編集:猿渡さとみ)

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