堅調な滑り出し グッドウィルファインズのCEOマシュー・カネス氏が語る、1点ものの「宝探し体験」をオンラインで再現するための戦略

DIGIDAY

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グッドウィルファインズ(GoodwillFinds)は、リセール店舗運営として1世紀の歴史を持つグッドウィル(Goodwill)のネットワークを、スレッドアップ(ThredUp)の時代に持ち込もうとしている。

この新しいeコマースプラットフォームは、10月に稼働したばかりだが、すでに堅実な成長を見せている。このプラットフォームが市場に出た当初、同社は全国の4つのグッドウィルの拠点から、10万点のアイテムを出品していた。その数は現在、20万点に迫りつつある。CEOを務めるマシュー・カネス氏は、同社が2022年の年末までに100万点を超える商品のカタログを用意する計画だと語る。同社は4つの拠点を運用しているところだが、2023年にさらに数十カ所の拠点を追加する準備に入っていると、同氏は述べている。

カネス氏は、米モダンリテールのポッドキャストに参加し、成長中のプログラムについて語った。米国のほとんどの人々はグッドウィルについて知っているが、この組織はこれまで、オンラインでの集中的な存在感を示したことはなかった。グッドウィルファインズの構想は、まさにそれを実現しようとするもので、スレッドアップやリアルリアル(RealReal)などほかのデジタルリセールの大手業者と競合することも考慮されている。

このプラットフォームは運用開始からまだ数カ月だが、難しいのは顧客を見つけることではなく、拡大しながらプログラムを円滑に実行できるようにすることだと、カネス氏は語る。同氏は次のように述べている。「消費者からこれほど大きな反響が来るとは思っていなかった。このため当社は、カスタマーサービスの人員に割き、各種のグッドウィル内の集荷・梱包・配送部門の要員を増やすなど、運用の一部を追求する」。

同社は、オンラインプラットフォームでもっとも売れる商品を見つけようとも試みている。アパレルはグッドウィルのもっとも人気のカテゴリーのひとつだったが、グッドウィルファインズでは、「衣類以外の商品の需要が非常に強い」と、カネス氏は述べている。実際に、アパレルは現在同プラットフォームの売上の4分の1程度を占めるにすぎない。

このプラットフォームは今でも継続的にアップグレードされており、商品や機能が毎日追加されている。目標としているのはグッドウィルでの体験をオンライン上に作り上げることだ。しかし、よく知られた宝探しのようなグッドウィルの体験は、オンラインアプリで真似できるものではないことを、カネス氏は熟知していた。「当社が試みているのは、その体験を拡大、拡張、強化することだ」と同氏は述べている。

対談からいくつかの要点を以下に示す。これらは明瞭化のため多少の編集を加えたものである。

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グッドウィルの過去のeコマースプログラムについて

「グッドウィルは数十年にわたり、会員レベルでオンライン販売を行ってきた。ほとんどはAmazonやeBayなどのマーケットプレイスでサードパーティー出品者として販売されているものだ。Amazonで購入できる中古書籍の多くはグッドウィルからのものだ。同社はこのように関与してきた。そして、大手であるグッドウィルの多くはそれぞれの寄贈センターで、かなり洗練された成熟したeコマース運用を行い、こうしたさまざまなマーケットプレイスでサードパーティーの出品者として販売を行っている。過去には、ネットワーク内の各地域で、会員が販売するための独立したマーケットプレイスを構築する取り組みがあった。オークション形式で、特定のカテゴリーに特化したものだった。しかし今回の当社の取り組みは、それとはまったく異なるものだ。スレッドアップ、リアルリアル、ディーポップス(Depops)とよく似たもので、統一されたカタログがあり、単一のショッピング体験を提供し、ファーストパーティーデータを取得する。そして、すべての出品者に代わって、顧客の獲得、維持、再マーケティングを行うことができるものだ」。

グッドウィルの買い物客は3種類いる

「私は、3つのセグメントが存在すると見ている。最初のセグメントはお買い得な品を探している価格重視の買い物客だ。このような顧客は、価格の関係で中古品を買い求めなければならない世帯だ。また、安いものを探すのが好きで、時間と労力を費やしていくつもの場所でショッピングを行い、ひとつの品物を探すような消費者もここに該当する。そして、この層はグッドウィルの店舗内で買い物をする人々と類似している。次のセグメントはよりトレンドを気にする層で、ビンテージ品や掘り出し物を好み、ユニークな衣服を組み合わせようとするタイプだ。掘り出し物を購入すれば、その定義上、ほかの人々は同じものを着ていないはずだからだ。このタイプの顧客がグッドウィルファインズを訪れており、それは当社にとって素晴らしいことだ。そして3番目は、より意欲的な顧客のセグメントだ。意識の高い消費者で、どこで買い物をするかについてよく考えている層だ。このような消費者は目的を重視し、自分たちが買い物をするブランドや店舗の価値や使命と一致したいと考えている。持続可能性や循環性を気にする。このため、少なくともエンゲージメントの観点からは、そのような市場からの大きな反応を見ている。しかし、このような顧客が何を買い求めたいのか、当社は依然として学んでいるところだ。そのため、さらに大きな規模になれば、これら3つのセグメントすべてに対応したいと考えている」。

宝探しの体験はオンラインに移行できるのか?

「宝探しのスリルと利便性はトレードオフの関係にある。だが、全体として、オンラインでの利便性は、宝探しのスリルをはるかに上回っていると私は考えている。しかし長期的には、グッドウィルの顧客に対してマルチチャネルのショッピング体験を提供し、顧客が両方を享受できるようにしていきたい。そのため、地元のグッドウィルでの買い物をオンラインが取って代わってしまうということではない。我々が目指しているのは、その体験を拡大、拡張、強化することだ。これは、ある程度の期間小売業界にいた人間なら誰でも知っているように、マルチチャネルの買い物客はより大きな価値があるからだ。そのため、規模を拡大するにつれて、はるかに多くのパーソナライゼーション、リテンション(顧客維持)のマーケティング、そして、消費者への付加価値の提供などを、マルチチャネルでより多く統合していくというアプローチをとっていく。たとえば、我々のロードマップには、長期的にデジタルレシートを提供すること、最良の寄贈者に対して買い物に役立つ価値を特典として提供すること、また、当社のハウスファイル内の世帯や個人の情報を獲得し、それらの世帯や個人、またはその近隣住民が、地元のグッドウィルで利用できるサービスについて知らせることなどが含まれている」。

[原文:‘We didn’t expect the consumer response to be as great’: GoodwillFinds CEO Matthew Kaness on bringing the thrifting experience online]

CALE GUTHRIE WEISSMAN(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)

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