クリーンビューティ 分野のBIPOCの創業者を支援するプログラムの最終候補者が決定:メイクアップブランド、タワー28が主催

DIGIDAY

メイクアップブランドのタワー28(Tower 28)が主催する、BIPOC(黒人、先住民、有色人種)の美容創業者のためのクリーンビューティサマースクールプログラムは、今年で3年目に突入した。

5月25日水曜日、タワー28は今年夏のプログラムの最終候補者となる10ブランドを発表した。ボディケアブランドのシンシアリー・ベイド(Sincerely, Bäde)、ベイズブランド(Bathe Brand)、ノパレラ(Nopalera)、メイクアップブランドのバイブコスメティックス(Vive Cosmetics)、ラミックビューティ(Lamik Beauty)、スカルプ&ヘアケアブランドのスクイグスビューティ(Squigs Beauty)、ミシェルヘアケア(m’Chel Haircare)、スキンケアブランドのルックグッドライブウェル(Look Good Live Well)、アムビューティ(Ammu Beauty)、フローラアンドヌーア(Flora and Noor)である。

クリーンビューティ業界の有色人種の女性に機会とアクセスを

タワー28の創業者であるエイミー・リュー氏は、クリーンビューティ分野の創業者たちについて、「多様なバックグラウンドから、これをやりたいと思う人が後を絶たない」と述べている。このプログラムには毎年200〜300人の応募があるという。それにもかかわらず、クリーンビューティ業界は、有色人種の女性が所有するブランドの製品のインクルーシビティ、資金調達、小売店での存在感に関しては特に遅れを取っている。「コミュニティとして本当に助けとなるのは、機会とアクセスを一致させることだ」と、リュー氏は言う。

デジタルアンディバイデッド(Digital Undivided)のデータによると、ラテン系の女性と黒人の女性の創業者が調達したベンチャーキャピタル(VC)の資金額は、2018年の10億ドル(約1280億円)から2020年には31億ドル(約3968億円)に増加している。だが、それはスタートアップに対する投資総額のごくわずかである。クランチベース(Crunchbase)によれば、2021年上半期に黒人の女性創業者が受けたベンチャーキャピタル投資額は全体のわずか0.34%だ。

これまでのプログラム参加者は成長を遂げ、小売店とのパートナーシップを確立してきた。昨年の優勝者であるスキンケアブランドのフォーク(Pholk)は現在、クレドビューティ(Credo Beauty)、グープ(Goop)、アーバン・アウトフィッターズ(Urban Outfitters)だけでなく、JCペニー(JCPenney)でもサーティーンルーン(Thirteen Lune)とのパートナーシップの一環として取り扱われている。さらに、2020年に参加した54スローンズ(54 Thrones)はセフォラ(Sephora)で発売され、同じ年に参加したローゼンスキンケア(Rosen Skincare)はターゲット(Target)での取り扱い製品を拡大した。その他のブランドもクレドビューティやサーティーンルーンで発売されており、またさらに多くのブランドが小売店とのパートナーシップを進行中である。

プログラムの参加者同士のコミュニティを作ることも目的

今年の受賞者には、リュー氏いわく「まさしく魅力的な賞品一式が贈られる」。これには有色人種の女性起業家を支援する非営利団体ニューヴォイシズファウンデーション(New Voices Foundation)からの1万ドル(約128万円)の助成金が含まれている。また、レア・ビューティ(Rare Beauty)、サマー・フライデーズ(Summer Fridays)、ムーン・ジュース(Moon Juice)などのブランドと協力して小売ビジネスの成長を支援している小売戦略コンサルタントのヘッドカウント(Headkount)から1万5000ドル(約192万円)相当のサービスも受けることができる。さらに、美容専門法律事務ワインバーグ・ゴンサーLLP(Weinberg Gonser LLP)からは、1万ドル(約128万円)相当の法律サービスも提供される予定だ。

リュー氏によると、このプログラムは参加者同士のコミュニティを作ることも目的としており、eメールや一連のオンラインコースなどを通じて参加者同士をつないでいる。

「いま同じような境遇に置かれている人たちが集まることができれば、お互いに助け合える。それこそ本当の美だ。彼女たちはまさに似たような経験をしている」とリュー氏は言う。

また最終選考に残った者にはそれぞれメンターが付いて、プログラム中の指導にあたる。メンターには、フォークの創業者ニアンビ・カッチョーリ氏や54スローンズの創業者クリスティーナ・テグベ氏といった昨年の参加者のほか、アミコレ(Ami Colé)創業者ディアラ・ダイ=エムバイェ氏、ヒーローコスメティックス(Hero Cosmetics)共同創業者でCEOのジュー・リュー氏、ラナバット(Ranavat)創業者ミシェル・ラナバット氏などが名を連ねている。メンターは、参加者を見込み投資家へとつなぐ手助けともなる。

参加ブランドの選考基準は、成人のBIPOCが所有し、クリーンまたはサステナブルな美に注力しており、従業員が3人以下であることだ。

勝者は、夏の終わりに行われるピッチデー・コンペティションで審査員によって選ばれる。ピッチは、ブランドの価値提案、市場ニーズのギャップを埋める能力、牽引力、小売の準備などに基づいて評価される。ピッチは、最終候補者が夏の間に行われるマーケティング、法律問題、資金調達などをテーマにした11のクラスに出席した後で行われる。

目指すのは資金調達のギャップを埋めること

BIPOCが経営する美容ブランドには、さまざまなメンターシッププログラムが導入されており、2020年のブラックライブズマターへの支援の波を受けて、その数はますます増加している。2020年、セフォラは現在7年目となるアクセラレートプログラム(Accelerate program)を刷新してインクルーシビティに注力しており、同年にメンターシッププログラムや助成プログラムをローンチしたブランドや小売業者には、クレドビューティ、グロシエ(Glossier)、シア・モイスチャー(Shea Moisture)、グロウレシピ(Glow Recipe)、ピーチ&リリー(Peach & Lily)、KNCビューティ(KNC Beauty)などがある。

小売業者がスポンサーとなるプログラムが仕入れ先となるブランドを見つけることを重視しているのに対して、ブランドとしてプログラムの提供者となるメリットは、タワー28には参加ブランドがどの小売業者に参入するのか「まったくわからない」ことだとリュー氏は説明した。

有色人種の女性としてブランドを立ち上げたという個人的な経験がきっかけとなり、資金調達の大きなギャップを縮めることを期待して、リュー氏はこのプログラムをスタートさせた。

彼女は自分のブランドを立ち上げた際、「美容のために資金調達が可能であることすら知らなかったが、私は長い期間、この業界で働いてきた。エミリー・ワイス氏のように、あまりにも多額の資金を調達した人たちのイメージを目にすれば、これは大変なことだとおじけづいてしまう。まさか自分にもそんなことが起こるとは思ってもみなかった」という。「こうしたギャップを埋めることができれば、将来的にもっとよい方向に向かうだろう」。

[原文:Tower 28 announces finalists for third Clean Beauty Summer School program]

SARA SPRUCH-FEINER(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)

Source

タイトルとURLをコピーしました