Meta が初の実店舗「Meta Store」をオープン:プロダクトとメタバースを体感できる場に

DIGIDAY

こちらは、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です
※モダンリテール[日本版]は、DIGIDAY[日本版]内のバーティカルサイトとなります

Meta(旧Facebook)は、メタバースビジネスを売り込むために、実店舗に賭けている。

最初のMeta Storeは、5月初旬にカリフォルニア州にオープンする予定で、メタバース製品を開発しているMetaの研究施設リアリティ・ラボ(Reality Labs)のそばだという。店頭では、Metaの3つのメタバース製品、スマートビデオチャット機器「ポータル(Portal)」、スマートグラス「レイバン・ストーリーズ(Ray-Ban Stories)」、バーチャルリアリティ・ヘッドセット「メタクエスト(Meta Quest)」を試したり、購入したりすることができる。

Metaは2月の第4四半期決算発表で、収益予想を下回り、AppleのiOS14によるプライバシー保護の展開のなかで初めてデイリーアクティブユーザー数が減少するなど、散々な結果に終わった。Meta Storeのコンセプトは、Facebookが収益源を広告からメタバースにおける製品、プラットフォーム、サービスへと多様化させる意図を示す最新のシグナルである。しかし、アナリストたちは、これらの技術の一部がメインストリームで採用される可能性については懐疑的だ。

Appleに倣った実店舗戦略

MetaはAppleの戦略に倣い、消費者が初めてMetaのテクノロジーを試す場として実店舗を利用している。買い物客は、レイバン・ストーリーズを装着して、自分に最適なスタイルや色を確認したり、店内にあるスマートグラスの技術を使って、写真をいくつか撮ることもできる。メタクエストのヘッドセットを使えば、VRフィッシングゲームを楽しむこともできる。また、ポータルのスマートビデオ機能を使って、店員に電話をかけることもできる。

Metaの店舗責任者であるマーティン・ジラード氏は、ブログで次のように述べている。「一度この技術を体験すれば、より深く理解してもらえるだろう。我々が正しい仕事をしたなら、人々は店舗を出たあと、友人に『Meta Storeを見に行かなきゃ』 と言うはずだ」。

インサイダーインテリジェンスの主席アナリストであるアンドリュー・リップスマン氏は、Metaには「ほかの選択肢」はなく、製品を宣伝するためには物理的な小売店を開くしかなかったと述べている。

「Metaは、現時点では誰も使っていないようなデバイス群にその将来を賭けている」とリップスマン氏は話した。「多くの消費者にとって導入のハードルが非常に高いため、消費者が体験できるような形で、これらのデバイスを提供する必要があったのだ」。

リップスマン氏は、若い世代はメタクエストのような製品に興味を持つ可能性が高いが、300ドル(約3万9000円)の製品を購入できる財布を持っているのは親の方であるとも述べている。同氏は、店舗では年配の消費者にこうした製品を試してもらい、安心して子供に買ってもらえるようにすることが大切だという。

これは、多くの意味で、メタバースという考え方そのものを消費者に受け入れてもらうという、ソーシャルメディアの巨人であるMetaの新たな焦点のひとつである。Facebookは2021年11月、メタバースが今後のビジネスの重要な推進力になるか、ということにどれだけ真剣に取り組んでいるかを示すため、自社のブランドをMetaに変更すると発表した。

メタバースとは、大まかにいえば、永続的な仮想世界で構築されるあらゆる技術のことである。実際には、MetaのVRゲームへの投資、スナップ(Snap)のARショッピングへの注力、ロブロックス(Roblox)のユーザー生成ビデオゲームなど、あらゆるものが含まれる。

知名度と早期参入でリードできるか

ジラード氏とFacebookは、Meta Storeの新コンセプトを発表する際、この情報に関する障害に気づいたようだった。「Meta Storeは、我々のプロダクトが、将来的にメタバースへの入り口となるよう、人々がそのつながりを持てるよう支援する」とジラード氏は述べている。「我々の店舗ではメタバースを売っているわけではないが、人々が店舗に来て、我々の製品がどのようにメタバースに接続するのに役立つかについて、少しでも理解して店舗を出て行くことを願っている」。

しかし、人々がメタバースに接続することを望んでいるかどうかについては、まだ結論は出ていない。Googleトレンドによると、「メタバース」という言葉の検索数は、1月にピークを迎えた。しかし、4月3日までに「メタバース」の検索回数は81%減少している。

さらに、メタバースに参加することに関心のある消費者でさえ、Meta版メタバースを望んでいないかもしれない。「信頼度は非常に低い。我々は、Facebookを(信頼して)ソーシャルメディア・プラットフォームの最下位とする独自の調査をたくさん行ってきた」とリップスマン氏は述べた。

しかし、同氏は、Facebookの利用率の高さとこの分野への早期参入が、この信頼の欠如を打ち消すかもしれないと付け加えた。「もし彼らがより良い体験を構築して、ネットワーク効果を発揮し、メタバースに参入しようとしているほかの人たちをリードすることができれば、それは信頼とは関係なく、十分に可能性がある」。

そして、Facebookは、確かに広告以外の収益を多様化するために何かをしなければならない。Facebookは、iOS14のプライバシーに関する変更により、2022年中に収益が100億ドル(約1.3兆円)減少すると予測している。実際、2月に第4四半期の業績が予想を大きく下回ったことを発表した後、Metaは2320億ドル(約30.2兆円)という史上最大の株価下落を経験した

「彼らはますます大きな賭けに出なければならない立場にあり、メタバースは明らかにその賭けである」とリップマン氏は言う。「収益源の多様化、特に広告収入源の多様化は賢明だ。しかし問題は、ほかの事業が勢いを失い始めたときに、その事業がどれだけ早く拡大し、利益を上げることができるかということだ」。

[原文:Why Meta is opening its first brick-and-mortar store]

Maile McCann(翻訳・編集:戸田美子)
Image via Meta

Source

タイトルとURLをコピーしました