BNPLのSmartpay、EC事業者向け教育プログラムを無償提供:ひろゆき氏「性善説のビジネスモデルが面白い」

DIGIDAY

BNPL(後払い)決済サービスのSmartpayは、日本のEC事業者のECビジネススキル向上を目的としたオンライントレーニングプログラムを無料提供する。プログラム開発には、ひろゆきこと西村博之氏も参加。同社は日本のEC事業者のECビジネススキル向上に向け、今後3年間で5億円を投じる計画だ。

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いいものを作っているのにオンラインでの売上が伸びないーー。ECへの需要が増加するなか、企業やブランドにとってもECへの取り組みの重要性が増している。だが、EC運営のためのスキルが足りない、リソースを割けない、といったケースも多い。その課題に、「決済」という手段で風穴を開けようとしているサービスがある。

BNPL(後払い)決済サービスの株式会社Smartpayは、日本のEC事業者のECビジネススキル向上を目的としたオンライントレーニングプログラム「ECグロースアカデミー」を無料提供することを発表した。日本のEC事業者のECビジネススキル向上に向け、今後3年間で5億円を投じる計画だ。12日に都内で開かれた記者発表会では、日本カントリー・マネージャーを務める大坪直哉氏をはじめ、プログラム開発に協力したひろゆきこと西村博之氏や、日本オムニチャネル協会の鈴木康弘会長らも登壇し、日本のEC市場の課題やSmartpayの魅力、ECグロースアカデミー立ち上げの背景などについて語った。

Smartpayは、日本初のクレジットカード払い・無料3回分割払いが可能なBNPLサービス。日本では、ECカート落ち率が世界的に見ても高く、「オンラインでの売上が伸びない」ことに課題を感じたというピーテールヤン・バンダーレ氏とサミル・アハメド氏が2021年に創業した。Smartpayは、日本国内で利用できる大手BNPLと比較して、「より消費者の課題解決に特化したサービス」だといい、他社の決済手段の多くが現金払いであり、支払いや延滞時の手数料がかかるのに対し、クレジットカードによる自動支払いができる点、無金利・延滞金なし・手数料無料である点などを訴求する。分割払いに抵抗のある人や、ポイントを貯めるためにクレジットカード払いをしている人の利用も期待できるという。

また、ワンクリック決済や自動返済、無金利・手数料無料といったスムーズな購入プロセスやソリューションによって、消費者の支払いに関する障壁を解消することで、マーチャントのコンバージョン率アップにもつなげる。1回ごとの支払い額が下がるため、結果として、購入単価の増加にもつながることが多いという。同社は現在、アパレルやアート、医療系など幅広い業種のマーチャント約50社を抱えており、ShopifyではすでにSmartpayが実装されているという。

ECグロースアカデミーも、日本のEC事業者の課題に応えたものだ。日本ではEC利用世帯数が増加している一方、EC化率は8%(2020年)と低く、また、自社ECサイトを構築しても、EC運営のためのビジネススキルが十分でないことなどが、開校の決め手になった。100万円相当するというトレーニングプログラムは、サイト訪問者を購入者に変える仕掛け(コンバージョン)、集客を無限ループにする法則(トラフィック)、リピーターを育てるテクニック(リピート)という3つのモジュールで構成されており、ひろゆき氏や日本オムニチャネル協会、SMBCベンチャーキャピタルとのパートナーシップにより開発した。ECサイトでもっともコンバージョン率を上げた参加者に、1000万円の報奨金を支払うコンペも開催予定だ。

ひろゆき氏「日本のブランドはプラットフォームに集客力があると思い込んでいる」


ひろゆき氏と対談する日本カントリー・マネージャーの大坪直哉氏

記者発表会では、Smartpayの株主兼ブランドアンバサダーでもあるひろゆき氏や、日本オムニチャネル協会会長の鈴木康弘氏、三井住友銀行の青山法人営業部長である上田孝典氏らも登壇した。鈴木氏は、日本の企業内におけるDXについて、「デジタル技術そのものが遅れているのではなく、活用が遅れている。デジタルは手段であり、本来ならば組織全体に横軸で関わっているものであるべきだが、どうしても切り離されがちだ」と指摘。「DXを進めるには、それに関わる人の理解も必要。ECグロースアカデミーは、DXを全体的に捉えることができるし、オンラインの担当者だけではなく、オフラインの担当者にもぜひ受講してほしい」と話した。

リモート参加したひろゆき氏は、自身が居住するフランスと日本のEC市場を比較し、「フランスでは、ブランド価値を高めたいというブランドは、自社ECで顧客との直接的なつながりを構築していることが多い。日本のブランドはプラットフォームに集客力があると思い込んでいるのでは」とコメント。プラットフォームに依存しないEC運営について、SNSをいかに活用するかが重要であるという見解を示した。また、Smartpay支援の経緯について、消費者の未払いが生じた場合にマーチャントではなくSmartpayが負担すること、Smartpayが今後EC事業者のスキル向上に5億円を投じることなどを挙げつつ、「性善説に基づいたビジネスモデルが面白いと感じた。誰もやっていないことに価値がある」と期待を寄せた。

大坪氏も、同社のビジネスモデルについて触れ、「収益はマーチャントからの手数料2%。儲かるのか? という声もあると思うが、まずはマーチャントとの長期的なお付き合いを目指す。マーチャントがしっかり売上を作っていくことが、我々のビジネス成長にもつながる」と語った。

Written by 戸田美子
Image via Smartpay


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