ピアスブランド、スタッズの TikTok広告 戦略:「台本のない、バイラルなコンテンツに魅了されている」

DIGIDAY

ピアス小売業者であるスタッズ(Studs)が、TikTokに本格参入した。ニューヨークを拠点に3年前に誕生した同社は、1年ほど前から有料メディアへの支出を増やし、事業の成長を推進するとともにブランドの認知度を高めるため、TikTokのクリエイターとのパートナー提携を開始している。

2020年後半に注目を集めて以来、広告主は次の3つの理由でTikTokに多額の資金を投じている。メディア支出の多様化、文化的な瞬間の活用、そして若い視聴者の目に触れることだ。eマーケター(eMarketer)によると、今年のアメリカにおけるTikTok上の広告費は59億6000万ドル(約8001億円)に達すると予想されており、これは同国のデジタル広告費2500億ドル(約33兆円)の2.4%に相当する。

同社の広報担当者によると、2020年9月にアカウントを開設して以来初めて、同社は成長マーケティング予算の10%から30%をTikTokでの取り組みに割り当てているという。2021年はTikTokへの支出はなかった。

ブランド認知のためのチャネル

スタッズのCBOで協同ファウンダーのリサ・ババーズ氏は、次のように話す。「さまざまなクリエーターと実験的な取り組みに挑戦し、ローンチを機にTikTokの成長を加速できるか試すことが狙いだった。私たちは、スタッズのストーリーをちゃんと伝えることができ、ビジネスの成長を推進することができるのであれば、どんなストーリーテリングプラットフォームでもトラクションを獲得することを目指している」。

カンター(Kantar)によると、スタッズが昨年有料メディアに費やした金額はわずか1万5000ドル(約201万円)だったという。カンターはソーシャルメディア向けの支出のトラッキングはしないため、この数字にはソーシャルメディアは含まれていない。スタッズは今年1月から4月にかけて、Facebookとインスタグラムに47万ドル(約6309万円)以上を費やしたとパスマティックス(Pathmatics)は報じている。この金額は2021年の52万7000ドル(約7074万円)からわずかに減少している。パスマティックスによると、2020年、スタッズがFacebookとインスタグラムに支払った金額はわずか4万ドル(約536万円)だった。

TikTokはインスタグラムのスワイプアップ機能のように、個々の投稿に直接リンクを張ることができないため、同社にとってはブランド認知のチャネルとしての役割の方が大きいとババーズ氏は言った。「私たちにとっては、アプリ内での売上へのコンバージョンを見るような、ダイレクトレスポンスのチャネルではまだない」と彼女は言った。「ブランドに注目を集めるには非常に効果的なツールとして捉えている」。

TikTokの「台本のない」性質

今年4月、スタッズはTikTokにおける「この世界を超えたコレクション(Out of This World Collection)」キャンペーンを展開し、暗闇で光るジュエリーを宣伝した。このキャンペーンは同社のソーシャルチームを通じて社内で制作された。このキャンペーンでは、13万5000人以上のTikTokフォロワーを持つコメディアンのジャニーン・ディミール・バゲット氏(@retro.avocado)や、1万人以上のフォロワーを持つメイクアップアーティストのセレナ・アデレード氏(@serenaaide)など、インフルエンサーが活用された。

ババーズ氏によると、TikTokではこれまでとは異なる種類のストーリーテリングを提供することができ、スタッズが持つ個性を発揮できると言う。また、アプリのトレンドサウンドを利用して知名度を高めることもできると彼女は語った。

「オーガニックな成長を促すためには、プラットフォームというマシンのなかに『筋肉』を作らなければならない。これは当社のマーケティング戦略の大きな部分を占めている」と彼女は付け加えた。

この点はスタッズだけでなく、TikTokの「台本のない」性質とバイラル動画の傾向に魅了されてきた多くのブランドにとってのセールスポイントとなっている。最近では、植物由来の食品ブランド「シルク(Silk)」や生理用品ブランド「ヴィヴ(Viv)」といった企業がTikTokへの取り組みを強化している。

「文化が創造されるプラットフォーム」

ボストンを拠点とする広告代理店ヒルホリデー(Hill Holliday)のコンテンツ戦略担当シニア・バイスプレジデントのフェイス・プレヴィテラ氏によると、ほぼすべての消費者向けクライアントは、TikTokが「急成長してきたトレンド」ではなく、「文化が創造されるプラットフォーム」であることを認識しているという。同氏によると、これらのクライアントは既に、有料広告、オーガニックなコンテンツ、ブランド化されたチャレンジやトレンドのスポンサーなど形式は違えど、TikTok上で何らかの存在感を生み出しているという。同社は、バンク・オブ・アメリカ(Bank of America)、プラネット・フィットネス(Planet Fitness)、パーティ・シティ(Party City)などのクライアントと提携してきた。

「ブランドにとっては、TikTokを活用するための最もリソース効率が高く、成果中心の方法は、ニッチなコミュニティの力を活用し、そのリーダーを特定し、彼らと連携することだ」と同氏は本稿の取材にEメールで回答した。

しかし、同氏はブランドは戦略として口コミに頼るのではなく「インターネットに存在するポケット(小さなコミュニティ)を利用し、そこで彼らを結びつけているものを見つけ、リーダーを特定し、彼らがエンゲージメントのドミノ倒しを次々と起こせるようにする」ことを勧めている。

クリエイターやインフルエンサーとのTikTok広告は、まだスタッズにとっては初期段階だが、まだ歴史の短い同社は現在のアプローチを進めたいと述べている。TikTokがショッピング機能の拡充を続けるなかで、スタッズはそれも活用するとババーズ氏は語った。

「(TikTokは)これまでに解読したことのない新しい暗号だが、私たちは成功していると思う」とババーズ氏は述べた。

[原文:‘It’s a whole new code to crack’: Inside Studs’ beefed-up TikTok strategy

Kimeko McCoy(翻訳:塚本 紺、編集:黒田千聖)

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