新しいCCO職、 メイクアップ の復活、そして自身がなぜ「アンチトレンド」なのかを語る:セレブメイクアップアーティスト、サー・ジョン氏

DIGIDAY

ビヨンセ氏、カーリー・クロス氏、ナオミ・キャンベル氏、キム・カーダシアン氏らトップセレブを担当する有名メイクアップアーティストのサー・ジョン氏は、4月、最高クリエイティブオフィサー兼取締役としてシチズンコスメティクス(Ctzn Cosmetics)に加わった。米国ロレアルパリ(L’Oréal Paris USA)のクリエイティブディレクターでもある同氏は、セレブのメイクを手がけて20年以上の経験をこのインディーズブランドにもたらすことになる。

また、サー・ジョン氏はシチズンの取締役会に加わり株を取得し、製品のローンチと成長戦略の主導の支援もすることになる。

シチズンコスメティックの詳細

シチズンは、アリーナ、アリーゼ、ナシーハのカーン三姉妹が共同創業者となり2年ほど前に立ち上げられた。同ブランドは過小評価されているデモグラフィック向けの製品にフォーカスしており、多色展開のヌードリップスティックが注目されている。特に2021年10月にビューティインフルエンサーのミケイラ・ノゲイラ氏が同社のリップスティックをレビューし、インフルエンサーのエリン・ドゥーガン氏がそのレビューをTikTokでスティッチしたときに売上が急増。トラフィックの流入によりしばらくのあいだ、サイトはクラッシュし、ノゲイラ氏のレビューが投稿された後、売上は12000%以上増加した。サー・ジョン氏によると、シチズンの目標にはリップスティックのカルト的な魅力をアイやコントゥアなどのほかの製品カテゴリーに拡大することがあるという。

サー・ジョン氏にインタビューして、シチズンに対する同氏のクリエイティブビジョン、ビューティのインスピレーションとクリエイティブなプロセス、メイクアップへのアプローチに関して「アンチトレンド」にこだわる理由などについて語ってもらった。
読みやすさのためにこのインタビューは若干編集、要約されている。

ーーシチズンに関与するようになった経緯は? 新しい職務はどのようにして生まれたのか?

「シチズンの製品については以前から知っていたし、(多くの肌色を網羅する)ユニバーサルレンジについても知っていた。ある投資家から紹介されて、シチズンのミッションに夢中になった。それは、ビューティコミュニティのインクルーシンブな環境に取り組むということ。認められ意見を聞いてもらえていると感じてもらえるように、デザインや色など当社製品の製造やデザインにおいて理解されていると感じてもらえるようにしたい。美というのはひとつの感情であり、いつも必ずしも見えるとは限らない」。

ーーメイクアップアーティストとしての経歴は製品開発にどう影響するか?

「メイクアップアーティストは最前線にいて、多くのことを目にしている。毎日多くの荷物を受け取っている。レッドカーペットやスタジアム、スーパーボウル、コーチェラ、エディトリアル市場でのカバーストーリーなどさまざまなジャンルで仕事ができて、恵まれていると思っている。どの仕事も同じではないので、そのおかげで製品を見る目が磨かれた。『これは良い製品か?』『他人の時間を無駄にしていないか?』『これは使いにくくないか?』など、製品を見たときにそんなことが気になる」。

ーーシチズンに対する今後のクリエイティブなビジョンについては?

「パッケージングが重要だ。大人になるとモノの製造方法や見た目や感触がもっと気になるものだ。Z世代を考えてみると、彼らはモノを撮影するのが大のお気に入りだ」。

ーー新しい職務は、これまでのコラボレーションと比べてどうか?

バービー(Barbie)とのコラボはとても気に入っているものだ。『ライオン・キング』コレクションは好評を博して、南アフリカ市場やアフリカのディアスポラとのつながりが持てた。これらのコラボレーションすべてを誇りに思っている。今私にできるのは情報に基づいた決定を下し、行おうとしていることを理解することだ。(経験を積んできたために)推量しなくてすむようになった」。

ーーパンデミックの現時点でのメイクアップはどんな状況にあるか? メイクは大復活したのか?

「パンデミックによって自分の肌について別の見方をすることが可能になった。ファンデーションの量を減らしてもいいし、メイクでカバーする部分が少なくてもいい。だが、その一方では楽しいメイクをしたいという両極端な状況がある。メイクは確かに復活しているが、今は『(他人の目を気にするのではなく)メイクによって自分はどう感じるか?』と少し内面に向いている」。

ーーソーシャルメディアからのどのようなトレンドに注目している?

「私はトレンドを信じていない。ある意味、アンチトレンドでアンチセレブだ。20年前、いや10年前でさえ、トレンドといえば、いつもセレブが愛用しているものだった。いますばらしいと思うのは製品を使っている人たちに直接聞ける点だ。皆が望んでいるのはどのような外見なのだろうか? セレブはもう以前と同じように影響を与えてはいないが、いまでは皆がお互いに影響を与え合っている」。

ーーキャリアの過程において、ソーシャルメディアによって美はどれほど変化したか?

「ソーシャルメディアはギフトであり、同時に呪いでもあると言える。ソーシャルメディアのすばらしい点、つまり民主主義的なのは誰もが意見を発言できる点だ。皆、認められて支持されていると感じたいと思っている。ボディポジティブはソーシャルメディアのおかげだ。このインクルーシブな美の展開は社会的なものだ。ファッション業界やビューティ業界が行動するのを待っていたとしたら、受容されたり認められたり表現されたりするのをいまだに待っていただろう。

このビジネスのあまりすばらしいとは言えない面は、ソーシャルメディアが有害になる可能性があることだ。若い世代に不安やうつ病を発症させるかもしれないし、それは誰にでも起こりうる。重要なのは少し時間を割いて相手に声をかけて気を配ること。皆が(ソーシャルメディアの他人の投稿や外見に振り回されて)自分の外見は間違っていると感じたりすることがないよう、何らかの評価基準のようなものが必要だと思う」。

ーーインスタグラムのほかに注目しているプラットフォームは?

「来週はTikTokに進出する。TikTokの自由気ままで雑然としていて完璧ではないところが気に入っている」。

[原文:Celebrity makeup artist Sir John on his new CCO role, makeup’s comeback and why he’s ‘anti-trend’

LIZ FLORA(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)

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