Shopify、新フルフィルメントプログラムを発表:「より意図的に」出品者の物流の簡素化を支援する

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Shopify(ショッピファイ)はデリバー(Deliverr)の買収を完了した。デリバーはフルフィルメントの新興企業で、Amazon、ウォルマート(Walmart)、eBayなどのマーケットプレイスと統合されている。

これはすべて、フルフィルメントに取り組むShopifyの大きな計画の一部にすぎない。eコマースプラットフォームである同社は、過去数年間にわたって慎重にフルフィルメント分野への参入を行ってきた。同社はまず2019年に倉庫の自動化テックプロバイダであるシックスリバーシステムズ(6 River Systems)を買収し、その次に自社のフルフィルメント方針を修正し、それまで提携していたいくつかの倉庫の契約を終了し、そして今回デリバーを買収した。

Shopifyの物流グループCEOを務めるアーロン・ブラウン氏によると、インターネットは小売の多くの部分について公平な競争の場を作り出したが、物流やサプライチェーンは依然として難しい課題として残っているという。「当社はデリバーに大きく期待している。これによって当社は、輸送、配達、フルフィルメントの問題を抱える出品者を大規模に支援する機会が得られると考えている。デリバーの作り上げたソフトウェアは、サプライチェーン全体にわたるネットワークを可視化することができる。これは出品者にとって情勢を劇的に変化させる要素になると、私は考えている」と、ブラウン氏は述べている。

同氏は、Shopifyのフルフィルメントネットワークで最近ソフトウェアの更新が行われたことにより、注文の70%は2日以内に配達されるようになったと付け加えている。

カナダのテック企業である同社は、最初にシックスリバーシステムズを利用して、自社のベータ版として開始されたフルフィルメントネットワークの拡大を試みた。この試みは、まだ開発中のソフトウェアを各種の倉庫パートナー間で統合したことにより、2月に多少のトラブルを引き起こしたと、ビジネスインサイダー(Business Insider)は報じている

しかし、Shopifyのフルフィルメントへの野心は、この数カ月に劇的に拡大してきた。同社はサプライチェーンの近代化をサポートするため、2月に輸送サービスプロバイダのフレックスポート(Flexport)に対して、戦略的な投資を行った。

Shopifyは現在、フルフィルメントに特化した新しいプログラムを開始しようとしている。同社は第1四半期の決算発表において、出品者がより迅速な配達を行えるよう支援するショッププロミス(Shop Promise)を発表した。ショッププロミスは、出品者のオンラインストアと、Facebook、インスタグラム、Googleなどの場所にわたって、2日および1日の配達約束を表示する。

ブラウン氏は米モダンリテールのインタビューで、自社のフルフィルメントビジネスの強化、出品者向けの2日間配達の実現、売り手のフルフィルメントコストの低減、そしてAmazonとの競合について語った。以下の対談内容は簡素さと明瞭さを考慮し、編集を加えたものである。

Shopifyは過去に、シックスリバーシステムズのソフトウェアと統合を行うときに問題に直面したことがある。その後にどうなったのかを教えてほしい。

SFN(Shopifyフルフィルメントネットワーク)の初期バージョンの頃、当社は3PL(サードパーティ物流)との多くのパートナーシップを保有しており、それぞれ異なる種類の倉庫管理ソフトウェアを実行していた。一応言っておくと、これらのグループはすべて可能な限りの努力をしており、グループが劣悪だったわけではない。

しかし我々が気づいたのは、2日間配達の約束を常時行えるようにするには、適切な3PLを、適切な場所に保有し、適切なソフトウェアを実行する必要があるということだった。そこで、昨年から構築してきたのが、2日間配達に最適な場所にあるパートナー倉庫の非常に小さなネットワークであり、最新のソフトウェア更新で使用を開始した。それほど多くの倉庫に分散させないため、出品者が当社に渡す在庫は、はるかに少量とする必要がある。そして現在、SFNでは、シックスリバーが当社のために構築した倉庫管理ソフトウェアを使い、100%の注文を受けることができるようになった。

この経験すべてから得られた最大の教訓は何か?

最大の教訓は2つの要素に分けられる。まず、Shopifyは自社の在庫をどこに置くかをもっと意図的に管理して、米国全体にわたって買い手に近い適切な場所に配置する必要があるということだ。もうひとつは、Shopifyのバックオフィス、Shopifyの店頭、そして倉庫管理ソフトウェアが完全に統合されている必要があるということだ。

フレックスポートとの商品の統合について聞かせてほしい。

当社がフレックスポートをよく知るようになって理解したことだが、フレックスポートの機能は、これまで出品者にとって非常に大きな負荷だった作業を簡素化することだ。ほとんどの出品者は、入荷プロセスのために8〜12社の異なる企業と共同で作業する必要があると言うだろう。フレックスポートを使用することで、出品者はこれを1つの関係に集約でき、すべての製品をSFNのハブ拠点に配送する。これにより、出品者は在庫に直接触れる必要はなくなる。

フレックスポートとShopifyは、共同荷積みと事前予約も行っている。以前は、出品者が妥当な価格と妥当なスケジュールを実現するためには、在庫のコンテナ荷積みをすべて行う必要があった。Shopifyは、1立方メートルの空間を占めるなら、一般的な供給拠点とSFNハブとのあいだで行き来するコンテナ船のコンテナを非常に定期的に事前予約する。

出品者は一般に、輸送に必要な期間が45〜60日だと述べている。当社の早期パイロット実験の結果では、フレックスポートがSFNに直接移動する場合の期間は約20日だ。しかも、コストは50%も低い。一般的なパレットの料金は500ドル(約6万8000円)から825ドル(約11万2000円)で、これは常時変動している。だが、事前予約と荷積みの手配により、この料金を425ドル(約5万7800円)まで下げることができた。

Shopifyは、セラーフルフィルドプライム(自社の倉庫から国内のプライム顧客に直接配送できるプログラム)というプログラムによって侵入してくるAmazonとの競争にどうやって対処しているのか?

まず、当社はAmazonが行っていることに強く注目している。トビ(Shopifyの創設者でCEOのトビ・ルーク氏)は、これをインフラと呼んだ。全世界には膨大な数のインターネット企業および物流企業が存在し、優れたインフラを構築してきた。これらの企業がそのインフラを独立系小売業者や小規模の出品者に開放したことは、全世界にとって大きな利益だ。

我々も、Amazonと新しいプラットフォームの統合に毎週取り組んでおり、非常に前向きな議論をしている。我々は、AmazonとShopifyとのパートナーシップに自信を持っている。フルフィルメントに関して興味深いのは、我々が解決しようとしている問題が本質的に異なっていることだ。Shopifyは、出品者が自社のサプライチェーン全体をあらゆるチャネルにわたって管理するのに役立つエンドツーエンドのプラットフォームを提供しようとしている。このようなチャネルのひとつとなり得るのが、フルフィルメントby Amazonだ。たとえば、出品者が自社の在庫すべてをShopify SFNのクロスドックに置き、その4分の1をFBAに展開することを望むなら、当社はそのための支援を行う。

さらに我々は、Amazonのオンラインストアやチャネルと高度に統合されたフルフィルメントソリューションを作り上げようと試みている。それは、ショッププロミスと強く結びつけられて、魅力的なソリューションを構築することができるというものだ。そして、Amazonと、そしてAmazonが独立系小売業者のために構築しているインフラに、強い期待を寄せている。

ショッププロミスとその進展状況について話してほしい。

配達の約束とショッププロミスはShopifyにとってごく新しいものだが、デリバーは何年にもわたってこの課題に取り組んできたため、デリバーを引き入れたことで、当社は同社が学んだことの背後の全体像を入手できる。デリバーは、オンラインストアに野心的な配達の約束を大規模に追加することで、買い手のコンバージョン率は33%以上も増加することがわかった。

当社が舞台裏で行ってきたのは、ショッププロミスを試験的に構築し、当社のオンラインストアや、Google、YouTube、インスタグラム、Facebook、TikTokなど、ほかの一般的なチャネルでのユーザーエクスペリエンスを完璧なものにしようとすることだった。ストアフロントのパフォーマンスへの影響を最小限み抑えながら、非常に高速ソリューションを実現したいと考えている。

[原文:‘Much more intentional’: How Shopify’s latest fulfillment moves aim to simplify logistics for sellers]

Vidhi Choudhary(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Shopify

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