メイベリン、 新企画バーチャル ロフトをローンチ:没入型デジタルマーケティングの幕開け

DIGIDAY

メイベリン(Maybelline)がハロウィーンをテーマにした新企画メイベリン・バーチャル・ロフト(Maybelline Virtual Loft)を開始、デジタルとバーチャルショッピングの領域をさらに深く探求している。

メイベリン・バーチャル・ロフトは非ショッパブルのウェブサイトに設置され、消費者は新製品の探索、プログラム内のゲームやメイベリンのサービスの利用、オンライン限定イベントへの参加ができる。バーチャル・ロフトはニューヨークのロフトスタイルのアパートとパティオをイメージしており、ニューヨークの夜景が空間を包み込み、ローファイなハウスミュージックが全体に流れている。ビジターはバーチャルスカベンジャーハントに参加したり、バーチャルハロウィーンメイクアップのトライオンを楽しめるほか、商品を探すことも可能だ。メイベリンはD2Cのeコマース機能を持たないマスブランドなので、顧客はサイトの商品ページからメイベリンの小売パートナーのリンク先に行き、そこで商品を購入できる。

この現在進行中のバーチャル体験は、化粧品の売上が回復するなか、ブランドの楽しさを大きくアピールするという長期的なビジョンとともに、メイベリンの大々的な没入型マーケティング戦略の幕開けとなるものだ。最終的には、没入型の体験を通じて、メイベリンは美容サービスの概念を刷新することに期待を寄せている。

ブランドは製品からサービスへと移行しつつある

「企業としても、ロレアル(L’Oréal)は製品からサービスへと移行しつつあり、製品全体の魅力、ブランドのイメージ、消費者の購買意思決定に影響を与える方法などを強化している」と語るのは、メイベリン・ニューヨークのコンシューマーアクティベーション・バイスプレジデントのダニエル・ローズ氏だ。「これは、消費者がブランドとどのように関わりたいかを確認するための第一歩だ」。

バーチャルロフトに加え、メイベリンはMaybelline.comのひとつのセクションとしてハロウィーンも構築しており、姉妹ブランドのガルニエ(Garnier)とともにSnapchatのARフィルターを制作した。

「Covid-19のパンデミックのため、ハロウィーンはあまり注目されてこなかった。だが現実の生活で皆がホリデーに戻ってきているので、今年はハロウィーンに大々的に力を入れたいと考えた」とローズ氏は述べた。

ローズ氏によれば、現在の非ショッパブルなウェブサイトの役割は、小売パートナーにはできない情報やサービスの提供だ。さらに彼女は、消費者からもっとも注目されているさまざまな要素を含むエンゲージメントが、最大の業績評価指標になると付け加えた。特筆すべきは、今回のロフトのアクティベーションが、製品やカテゴリーに関する消費者の好み、色の親和性、肌の色、肌質といったファーストパーティデータを収集する機会となっている点だ。小売パートナーは、そのウェブサイトへのトラフィックの誘導には参加していない。

バーチャルストアが標準的な方法に

メイベリンのバーチャルロフトを開発した体験型eコマース企業オブセス(Obsess)の創業者でCEOのネーハ・シン氏は、ブランドは、ゲーミングのインターフェースに慣れている新規の若いオーディエンスと関わる革新的な方法を見つけたかったのだと話す。オブセスは、ディオール(Dior)など、さまざまな美容ブランドと仕事をしている。

「バーチャルストアは、ブランドが消費者とつながり始めるための標準的な方法になってきている」と彼女は指摘した。

オブセスがカンター(Kantar)と行った調査によると、バーチャルストアを訪れたことのある消費者の70%が購入にいたっている。メタバースやゲーミングへのさらなる拡大において、バーチャルな店舗で顧客を呼び込むことには明確なメリットがあるようだ。オブセスの調査によると、Z世代の買い物客の75%近くがビデオゲーム内のデジタルアイテムを購入したことがあり、これらの若い買い物客の60%は、ブランドがメタバースプラットフォームで製品を販売するべきだと考えていることがわかった。

バーチャルメイクアップやメタバースへの取り組み

メイベリンはすでに、バーチャルメイクアップのトライオンとメタバースを試している。同社は2018年にYouCamメイク(YouCam Makeup)と提携し、現在はモディフェイス(Modiface)によるウェブサイトのトライオン機能を提供している。10月21日、ロレアル中国は、アリババ(Alibaba、阿里巴巴)が毎年行うショッピングイベント11:11に先立ち、天猫(Tmall)でメタバース体験をデビューさせたと発表した。今年初め、メイベリンとそのほかのロレアル傘下のブランドは、NFTの商標を申請している。

メイベリンは、トラフィックとエンゲージメントを促進するために、メイクアップアーティストでTikTokインフルエンサーのメレディス・ダックスベリー氏にブランドのウェブサイトへとオーディエンスを誘導するよう依頼し、さらにSEOに投資して、他のソーシャルメディアインフルエンサーと提携した有料プロモーションを行っている。ユーザーはバーチャルメイクアップのルックを作るたびに、500ドル(約約7万3700円)のウォルマート(Walmart)のギフトカードが当たる懸賞に応募することができる。ローズ氏は、この取り組みへの具体的な投資額については言及を避けた。

ローズ氏は、ロフトがいつ更新されるかという頻度については決まっておらず、今後はブランドコラボレーションの可能性もあると述べている。

[原文:Maybelline launches virtual experience amid push into immersive digital initiatives]

EMMA SANDLER(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)

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