インフルエンサー エージェンシーがAIを活用し、ブランドとクリエイターの結びつけを強化

DIGIDAY

グローバルインフルエンサーエージェンシーのビリオンダラーボーイ(Billion Dollar Boy:以下、BDB)がAIの流行に飛び付いた。AIを活用し、とくにインフルエンサーの検索と発見を改善することで、クリエイタープラットフォームの強化を図っているのだ。

BDBは2014年、エド・イースト氏と共同創業者のトーマス・ウォルター氏、ペルメレ・ドイル氏によって立ち上げられ、英国ロンドンからドイツのベルリン、米国のニューヨーク、ニューオーリンズに進出した。現在、2022年に4000万ドル(約55億5600万円)を稼ぎ出した米国事業の成長に注力し、AIがどのようにクリエイタービジネスを形づくるかを実験している。

イースト氏は、「私たちは(AIを)クリエイティブチームや財務チームなどのアシスタントと捉えている。彼らがすでに行っていることが(AIに)置き換わるのではない。私たちはテストと学習を繰り返している」とDIGIDAYに語る。

インフルエンサーマーケティング業界の成長に伴い、インフルエンサーエージェンシーやソーシャルエージェンシーは、タレントとそのネットワークを活用したい大手ブランドの橋渡しをするパートナーとしての地位を固めている。BDBは、ハイネケン(Heineken)、キング(King)、ユニリーバ(Unilever)、ペプシコ(PepsiCo)などのブランドと仕事の実績があるほか、インフルエンサーキャンペーン管理プラットフォームを、60以上のソーシャルエージェンシーやブランドにライセンス供与している。

DIGIDAYはイースト氏にインタビューを行い、過去10年間にインフルエンサー業界で起きた技術的変化、今後AIがクリエイターエコノミーに与える影響について語ってもらった。なお、読みやすさを考慮し、以下のインタビューには編集を加えている。

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――AIはあなたのビジネスをどのように形づくっているのか?

私たちはAIを社内でどのように活用すれば、より多くのリサーチインサイトが生まれ、コピーライティングなどのプロセスが合理化し、チームとその活動を本当の意味で支援できるかを考えている。クライアントのために全く新しいクリエイティブのアイデアを生み出すことが目的ではない。

たとえば、エアビーアンドビー(Airbnb)、ダヴ(Dove)、ハイネケンなどのクライアントが私たちのところにやって来る。私たちの仕事は、複数のソーシャルプラットフォームで彼らの商品を宣伝するため、クリエイティブのアイデアとそのアイデアを実現するための戦略を考えることだ。(中略)すでにAIを組み込み始めているのは、新しい発見や洞察の部分だ。つまり、AIを活用して新しいアイデアや創造性を持つクリエイターを見つけ、それを実現するためのチームや組織を構築したいと考えている。

――自社のプラットフォームにAIを組み込んだのか?

BDBが行ったのは、サードパーティのAIツールを活用し、我々のディスカバリーソフトウェアプラットフォーム「コンパニオン(Companion)」の入力部分にAI機能を統合したことだ。それによってコンパニオンは、さまざまなコンテンツに対応できる。写真をアップロードしたり、私たちが完璧だと思うクリエイターのコンテンツをアップロードしたりなどだ。たとえば、絵コンテ風のコンテンツもあるだろう。そして、AIを使って私たちのデータベースにあるすべてのクリエイターのコンテンツを検索し、クリエイティブのビジョンと合致するクリエイターを特定している。

――規制や倫理に関する懸念は?

今、ソーシャルメディアが与えている影響を振り返ってみると、もちろん、プラスの影響がたくさんある。しかし、マイナスの影響も多く見られる。ソーシャルメディアは初期に規制が不十分だったといえることから、その教訓を今回のAIブームでも学ぶ必要があるだろう。(中略)私が最も心配しているのは、クリエイターがAIを使ってコンテンツを作り、自分の作品と呼ぶようになることだ。(中略)これらのAIモデルは基本的に、第3者のクリエイティブをかき集め、それを使って新しいクリエイティブを制作しているものだからだ。

――インフルエンサーマーケティングで最も刺激的なことは?

本当に刺激的だと思うのは、これからの10年間、このビジネスがどこに向かっていくのかという点だ。私にとって、クリエイターエコノミーとは、クリエイターが作るビジネスすべてと、そのクリエイティブビジネスを支えるビジネスすべてだ。大成功しているシェフがソーシャルメディアでフォロワーを獲得し、この数年で始めたレストランがいくつもある。クリエイターがブランドを立ち上げているのは、語りかけることのできるオーディエンスがいるからであり、今、彼らは商品を発売し、消費者に売ることができている。

ブランドは、クリエイターのオーディエンスを活用して、自社の商品を消費者に売り込みたいと考えている。しかし、本当のスイートスポットは、ブランドとクリエイターが協力して新しい商品をつくることであり、そのジャーニーのかなり早い段階で、クリエイターを参加させることだ。

[原文:How influencer agency Billion Dollar Boy is using AI to change discovery in that space

Antoinette Siu(翻訳:米井香織/ガリレオ、編集:島田涼平)

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