低アルコール 、クラフトSAKEーー日本のアルコール市場に新視点で誕生した「お酒の未来」【IGTVレポート】

DIGIDAY

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欧米ではミレニアム世代を中心に、お酒は飲めるけれど、あえて飲まない選択をする「ソーバーキュリアス(Sober Curious)」というライフスタイルが急速に広まっている。多様性や個性を尊重する風潮に、飲み過ぎは健康を害すというヘルシー志向も手伝って、世界でのみならず日本でもこの傾向が見て取れる。

そんななか、クラフト日本酒と低アルコールカクテルという新たな商品をもって日本のアルコール市場に挑んでいるブランドが存在している。Glossy Hot Liveでは、そんな新しい視点で酒造に携わる2名が登壇し、日本のアルコール市場の未来について語ってもらった。

Glossy Japanでは、Instagramでも情報発信中。いま注目のD2Cブランドのキーパーソンなどをゲストに迎え、インスタライブ「Glossy Hot Live」を開催しています。

本記事では、このGlossy Hot Liveにおける「いま知っておきたい!最新アルコール市場」回の内容をテキストでサマライズ。なお、読みやすさを考慮して、編集を加えている。

縮小するアルコール市場に参入した経緯

低アルコールのクラフトカクテルブランド、Koyoi(コヨイ)

日本でもアルコール離れしている人が増えているなか、2021年9月に低アルコールのクラフトカクテルブランド、Koyoi(コヨイ)をローンチした石根友理恵氏。Koyoiでは、アルコール度数3%以下のクラフトカクテルを15種類展開し、自身の気分やテイストに合うカクテルを選べるパーソナライズ機能も併せて提供。“明日への力を作る”をテーマに、セルフモチベーションにつながるお酒を作りたいという思いから、ブランドを立ち上げたという。

「アルコール依存症の父を見てきたものの、自分がお酒を嗜むようになり、アルコールには飲みすぎると健康を害する悪い面、コミュニケーションツールとしてその場を盛り上げたり、気持ちを癒したりする良い面の両面があると実感。ネガティブな部分をしっかり排除すれば、自分を向上させる新たなお酒の文化が作れるのではないかと思い至った。低アルコールにこだわっているのは、飲んでも酔い過ぎることなく心地良い気分になれる点を意識したから」、と石根氏。

WAKAZE(ワカゼ)は“日本酒を世界に”というヴィジョンを掲げ、東京・三軒茶屋とフランス・パリの2拠点に酒蔵を構えている日本酒メーカー。三軒茶屋の醸造所には手がけているお酒を食事と楽しめるよう、ペアリングに特化した体験型のレストランを併設。日本のみならず世界においても、食事をするときのお酒に日本酒が選択肢として上がってくるよう、お酒文化のアップデートを狙っている。

WAKAZE三軒茶屋醸造所

「全体を見ると斜陽産業になっている日本酒が、限られた市場ではなく世界に展開していくことに共感し、ここのお酒造りに参加した」とは、WAKAZE三軒茶屋醸造所で杜氏を務める戸田京介氏。「新しい作り手たちが面白いビールやワインを生産しているように、枠に縛られることなく新しい日本酒を生み出せることが魅力。和食だけではなく洋食など、日本酒がどんな食事にも取り入れてもらえる存在になってほしいと思いながら、新たなSAKEを手がけている」。

日本のアルコール市場に立ち向かうための工夫

20〜30代の日々頑張っている女性をターゲット層にしているKoyoiで、石根氏がまず力を入れたのは、そのルックス。「彼女たちの多くはパッケージを見て判断するので、ボトルと箱のデザインには徹底的にこだわって制作」。そして次に味。「“明日への力を得るお酒”でもあるので、味はよりヘルシーに表現したく、原材料にフルーツやハーブをふんだんに使用。保存料や人口甘味料、着色料などは一切使わず、製法はナチュラル。今までにない新感覚な味なうえ、健康志向にもマッチした体にも優しいカクテルに仕上がっている」。また購入する際にパーソナライズ診断をしてカクテルを選べるという、占いのような機能を盛り込んでいる点も、興味を引くツールとして効いているそうだ。

日本のみならずフランスでも展開しているWAKAZEのこだわりは、ローカライズ。「フランスで醸造している日本酒の米や水などの原材料はすべてフランス産。そこへ日本で習得した技術が加わり、新しいSAKEが生まれている」と戸田氏。現地調達することで飲みやすい価格で提供することができ、サステナビリティを考えても、環境問題に対する意識が高いヨーロッパ圏の人たちにとっても好印象だそう。

一方日本では、日本酒そのものではなく、スイカやミントをともに発酵させたSAKEといったまったく違うテイストのSAKEも展開。味について、戸田氏は「自然製法で醸造する昔ながらの技術はきちんと継承しながらも、最先端技術を取り入れた新たなチャレンジを今後もしていく」と話す。原材料のトレーサビリティはしっかり行なっているうえ、醸造所では透明のガラス越しに酒造しているところが見えるという、トランスペアレンシーも実現。顧客に一定の安心感を与えることに成功している。

ハードルを乗り越えながら今目指していること

酒類を自ら製造するには法律上免許が必要で、取得するのは簡単なことではない。Koyoiはパートナー企業と手を組んでカクテルを製造しているが、「いちばん大変だったのがこのパートナー探しだった」と石根氏は振り返る。「日本各地を訪れたが、低アルコールカクテルという新ジャンルに一緒に挑戦してくれる酒蔵がなかなか見つからない状況に。最終的に製造を快諾してくれた老舗の酒蔵と巡り会えたのは約50軒目。なんとかリリースまでこぎつけることができた」。

低アルコール市場には大手酒造メーカーをはじめ、さまざまな企業が参入し、いままさに伸びており、Koyoiは伸び代のあるこの市場でのポジション確立を狙っている。「コロナ禍でアルコールをネット購入する人がぐっと増え、自宅でもお酒を楽しむという文化ができつつある。その流れに乗って、顧客とコミュニケーションをしっかり取り、一人でも多くファンを作っていくことがいまは重要。あとはデータドリブンを実行し、手に取りやすい、買いやすい、そして届いてからWOW体験を提供していく。デジタル初のクラフトアルコールメーカーを今後も目指す」。

WAKAZEも三軒茶屋に醸造所を作るまでは、他の酒蔵に委託していたが、「伝統的な日本酒を扱っている酒蔵に新しいチャレンジをお願いするのはむずかしかったと聞いている」と戸田氏。清酒を造るために必要な免許を新規に取得するのは厳しく、そんななか活路を海外での展開、そして、米と水で造るお酒をベースとして、比較的に免許が取りやすい区分の新しいお酒造りにシフト。クラフトビール的にお酒を造れる醸造所が誕生した。「WAKAZEが先駆者的存在になっているが、ここ3年くらいでクラフトSAKEを造る醸造所が5、6軒ほど増えた」と、新しいお酒造りの流れができていると戸田氏。

それに日本酒の多くはいままで飲食店で流通していたため、パンデミックで市場は大きくダメージを受けた。戸田氏は、「飲食店ではペアリングで食事とお酒を味わってほしいという思いがあるが、緊急事態宣言中、飲食店で自由に飲めなかった期間は、家庭での需要が増えたのは確か。家でも気軽にヘルシーに日本酒が飲めるというメッセージを伝えていきたい」と締めくくる。

縮小しつつある日本のアルコール市場全体を明るく盛り上げていきそうな、低アルコールカクテルとクラフト日本酒。ライフスタイルにもマッチする新たなアルコール飲料が、今後どうムーブメントを起こしていくのか、その動向に注目していく。

Written by Manami Ren
Navigator by Mei Kawabata

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