ファーストパーティデータ、いかに最大活用すべきか?:要点まとめ

DIGIDAY

サードパーティCookieの代替としてはもちろん、企業自らがデータを管理・コントロールできることから、ファーストパーティデータが注目を集めている。では、その活用ポイントはどこにあるのか。

ポストCookieソリューションを提供する、LiveRamp(ライブランプ)の日本営業責任者、鳥井武志氏は、ファーストパーティデータを最大活用するためには「『可用性』『継続性』『許諾』の3つに配慮することが大切だ」と述べる。「LiveRampのソリューションであれば、この3点をカバーできる」。

LiveRampが提供するのは、ポストCookieソリューションのひとつである「IDソリューション」。企業が保有するファーストパーティデータを、不可逆的にハッシュ化し、独自のアルゴリズムで生成された「RampID」を用いて、企業のデータをマッチングする。実際、北米や欧州では、ブランドとパブリッシャーだけでなく、リテール企業が同社のソリューションを用いて、広告事業に参入するといった動きも見られているという。

鳥井氏は、12月8日に開催されたDIGIDAY BRAND LEADRESにて、「ファーストパーティデータ、いかに最大活用すべきか?:LiveRampのソリューションで紐解く」と題したセッションに登壇。ファーストパーティデータ活用のポイントや、最新の海外事例を共有した。

LiveRampの鳥井氏

本稿の要点

  • ファーストパーティデータは、企業が自ら管理・コントロールできるという点で可能性を秘めている。
  • ファーストパーティデータを最大活用するには「可用性」「継続性」「許諾」の3つに配慮することが大切。
  • LiveRampのソリューションは、企業が持つファーストパーティデータを不可逆的にハッシュ化し、独自のアルゴリズムを用いてRampIDなる固有のIDを生成し、企業間のデータコラボレーションを後押しする。同ソリューションを活用すれば、マーケターはデータのプライバシーを遵守しつつ、広告ターゲティングや顧客とのコミュニケーションに、ファーストパーティデータを活用できる。
  • 北米や欧州では、LiveRampのソリューションを活用し、データコラボレーションを実現した例が見られている。たとえばダノン(Danone)は、リテール企業とデータコラボレーションを実施し、eコマース経由の売上が17%、チャネルを跨いだ総売上高も24.7%上昇したという。

ファーストパーティデータの可能性

鳥井氏はセッション冒頭、日本のマーケターが直面している、デジタルマーケティングに関する課題を述べる。同氏によるとそれは「プラットフォーマーによる支配」「プライバシー規制」「サードパーティーCookieやIDFAの利活用性の減少」「データの断片化」の4つだという。

特に、デバイスやブラウザを提供するプラットフォーマーたちは、これまでウォールドガーデンを構築することで、自らの支配力を強め続けてきた。鳥井氏はその状況を「いまや、GAFAと、それ以外の世界という構図になっている」と表現する。

また、2022年4月には「改正個人情報保護法」の施行が控えている。国内でもいよいよプライバシー規制が強まりつつあるなか、いかに顧客とコミュニケーションを行うか、マーケターたちは考える必要があるだろう。

さらに、デジタルマーケティングにおいて大きな役割を担ってきた、サードパーティCookieとIDFAの使用も、日をますごとに利用が困難に。それにともない、マーケターたちもターゲティングや効果計測手法の見直しを迫られている。サードパーティCookieに関しては、唯一Google Chromeでまだ使用が可能だが、SafariやFirefoxなど47%のブラウザでは、サードパーティCookieがすでに終焉を迎えている。鳥井氏によると、こうした諸々の動向が、結果として「データの断片化」を引き起こしているという。

確かにマーケターたちは、これまでになく多様な課題に見舞われている。そんななか、特にデータ活用の点で期待が集まっているのが、企業が保持するファーストパーティデータだ。鳥井氏は、ファーストパーティデータは「企業が自らの手でコントロール可能」である点で、大きな可能性を秘めていると強調する。

「可用性」「継続性」「許諾」

では、ファーストパーティデータを最大活用するためのポイントは何か。鳥井氏によるとそれは、「可能性」「継続性」「許諾」の3つに配慮することだという。

「可用性」について、鳥井氏は以下のように述べる。「よくある例だが、データはあるが『アプリでしか使えない』『特定のブラウザでしか使えない』という状況では、宝の持ち腐れだ。人々はアプリもブラウザも使うし、特定のブラウザを使っているとは限らない。企業は、自社のデータに『可用性』を持たせなければならない」。

「継続性」への配慮も欠かせない。個人に紐づいたデータは、制度や企業の規約変更といった外部要因で、使用の可否が左右される。サードパーティCookieやIDFAを巡る動きを考えれば、よくわかるはずだ。長期的な視点を持ち、さまざまな外的要因もある程度見据えたうえで、データの収集と活用を行う必要がある。

最後に忘れてはならないのが「許諾」だ。前述した通り、来年には「改正個人情報保護法」が施行される。同法律の施行により、企業は個人関連情報を取得する際に、本人に利用目的などを明示したうえで、許諾を得る必要がある。「許諾への配慮は、今後ますます重要になる」と鳥井氏は述べる。

LiveRampのソリューション

LiveRampが提供するのは、これら3つのポイントに配慮したソリューションだ。「我々が提供するソリューションであれば、ファーストパーティデータを固有の独自IDに置き換えることによって、『可用性』『継続性』『許諾』という、配慮すべきポイントをカバーできる」。

LiveRampのIDソリューションは、企業が保有するファーストパーティデータを不可逆的にハッシュ化し、独自のアルゴリズムを用いて、RampIDなる固有のIDを生成する。「『固有』というのが非常に重要だ。たとえば、私がA社とB社にメールアドレスを預けると仮定しよう。LiveRampはこのメールアドレスをベースとして、A社とB社で別々のRampIDを生成する。顧客の許諾なくデータが接続されることはなく、プライバシーがしっかり担保された状態で、ファーストパーティデータを活用できるというわけだ」。

マーケターは、こうして生成されたRampIDをCRM施策に活用することもできるし、パブリッシャーをはじめとした、他社のファーストパーティデータから生成されたRampIDと連携させ、Cookieに依存しない広告配信に活用することもできる。

「セキュアな識別子であるRampIDは、サードパーティCookieの代替としてはもちろん、企業間のデータコラボレーションの起点になる」と鳥井氏は話す。同氏によると、RampIDを活用すれば、今後はマーケターとパブリッシャーだけでなく、リテール企業や金融機関、ゲーム企業など、ファーストパーティデータを持つ多様な業種間でのデータ連携が可能になるという。

データコラボレーションの事例

鳥井氏によると、すでに北米や欧州では、こうしたデータコラボレーションの事例がいくつも見られているという。

その一例として紹介されたのが、ダノンの取り組みだ。同社はLiveRampのソリューションを通じて、リテール企業とのデータコラボレーションに挑戦。RampIDによって結びつけられたオーディエンスデータを使用して、Cookieに依存することなく、GoogleやFacebookを横断したキャンペーンを多数実施した。その結果、eコマース経由の売上が17%、チャネルを跨いだ総売上高も24.7%上昇したという。

リテール企業も積極的だ。たとえばターゲット(Target)は先頃、広告事業を設立し独自の広告商品を展開している。その中身は、マーケターが持つCRMデータと、ターゲットが持つPOSデータとCRMデータをRampIDで連携し、広告配信を行うというもの。ダノンの事例同様、Cookieに依存することなく、ピープルベースドで顧客にリーチができ、かつユーザーインサイトを分析できる点を強みにしている。

「今後は国内でも、こうしたデータコラボレーションの事例が見られてくるだろう。その際に配慮しなければならないのは、やはり『可用性』『継続性』『許諾』だ」。

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Written by DIGIDAY Brand STUDIO
Photo by 渡部幸和
Image by Shutterstock

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