ブランドの新たなトレンド、Z世代で人気急上昇の ビーリアル :広告禁止のルールにいかに向き合うか

DIGIDAY

ブランドはビーリアル(BeReal)への参入の道を見いだした。ビーリアルは若年層に支持されているフランス発の新たな写真共有ソーシャルメディアアプリで、毎日特定の時間に2分以内に写真を撮影し、友達のネットワークの中でリアルタイムでシェアするという仕組みだ。

人気が高まるにつれ、エージェンシーとクライアントのあいだで、ブランドはどんな形でビーリアルに参入できるか、そもそも参入すべきなのかどうかといった会話がなされるようになりつつある。

「ビーリアルは明らかに、次に来るプラットフォームに目を光らせているマーケターにとって最大の注目株となっている」と、IMGNメディア(IMGN Media)の最高戦略責任者、ノア・マリン氏は言う。

関心高まるも、懐疑的な意見も

ビーリアルのユーザーベースが急成長するなか、新たな金脈を探すブランドの関心も高まっている。ビーリアルに関するクライアントの問い合わせは増加傾向にあるとエージェンシーは述べるものの、同プラットフォームでのマーケティングが機能するかどうかについては懐疑的な見方もある。というのも、ビーリアルはそもそも、キュレーションが少なく、広告のないソーシャルメディア体験を求めるユーザーから支持されているからだ(ビーリアルというネーミングもここから来ている)。マーケティング業界が最新のトレンドを追うのはいつものことで、実験は短命に終わることも多い(音声SNSアプリのクラブハウスを思い出そう)。

モバイルアプリ分析企業のアップトピア(Apptopia)によれば、2019年12月の創業以来、ビーリアルは4330万回ダウンロードされた。このうち約4100万回は今年に入ってからで、米国の新規ユーザーが40%を占める。これに比べ、TikTokは昨年だけで6億5600万回ダウンロードされている(アップトピア調べ)。

直近の数カ月でビーリアルは爆発的に成長しているが、この背景には、ビーリアルのコンテンツをTwitterやTikTokにクロスポストできるようになったことや、Z世代がインスタグラムに代わるアプリを積極的に探し求めている現状がある。

大手ブランドもアカウント開設

チポトレ(Chipotle)やエルフ・コスメティクス(e. l. f. Cosmetics)といった大手ブランドは、すでにビーリアルにブランドアカウントを開設し、アーリーアダプターとして割引コードを発行するなどの方法で話題を集めつつある。本記事の執筆時点では、いずれのアカウントも「友達」が多すぎて新規の友達リクエストを承認できない状態にある(ビーリアルユーザーが最大で何人の友達を持てるのかは明らかになっていない)。友達の数に制限があることは、同アプリが必ずしもクライアントに推奨されない理由のひとつになっている。

「このプラットフォームには、ブランドを取り込むつもりがあるのかどうか、まだ不確かなことがあまりに多い」と、クリエイティブエージェンシーのカーソン+ドイル(Carson + Doyle)でマネージングディレクターを務めるチャーリー・ノース氏は言う。「アプリの構造やビジネス哲学から考えて、(広告に)強硬に反対する可能性は高いだろう」。

カーソン+ドイルが現在抱える20社のクライアントのなかで、少なくとも3社が過去3週間以内にビーリアルについて質問してきたと、ノース氏は言う(同氏はクライアントの名前は明かしていない)。「残念ながら、この話は立ち消えになった。ビーリアルが公表していないことは、私にも答えられないからだ」と、ノース氏は話す。たとえば、ビーリアルは今後、TikTokやインスタグラムのように、検索と発見にフォーカスしていくのか、それともフォロワー重視のままなのか。あるいは「ブランドが生きていける」空間を新たに創出するのか、といったことだ。

広告禁止の規約をいかに順守するか

ビーリアルの規約によれば、ユーザーは「ビーリアルを広告や商品販売の目的で利用する」ことを禁じられている。ただし、ビーリアルがこの広告禁止の規約をどう順守させるのかは不透明だ。

また、現状のビーリアルは、ブランドを発見しやすいように最適化されたデザインを備えていない。ユーザーはそもそもブランドアカウントが存在すると思っておらず、ユーザーにとってブランドをフォローする見返りはほとんどない。

「ビーリアルへの参入を考慮し、ほかのソーシャルプラットフォームと同様のパフォーマンスマーケティング機能を期待しているブランドが、大いに落胆することは言うまでもない」と、エージェンシーのモディフライ(Modifly)でペイド広告部門を率いるブランドン・ビアンカラーニ氏はEメールで述べている。

だからといって、ビーリアルにブランドにとっての希望はまったくないと言うつもりはないと、ビアンカラーニ氏は言う。同氏によれば、割引コード、限定のシークレットプロモーション、オフショットといったアイディアは、ビーリアルで効果を発揮しうる。「こうした未知の要素によって、ブランドのビーリアルコンテンツとつながりを持ちたいと、ユーザーに思わせることができるだろう」と、ビアンカラーニ氏は説明する。なお、本記事の公開にあたってビーリアルにコメントを求めたが、回答は得られなかった。

「ビジネスに結びつくかは未知数」

ソーシャルメディアの世界では新規参入組のビーリアルだが、短期間のうちにその他のプラットフォームに挑むまでになった。TikTokは最近、ビーリアルを真似た機能を実装した。トークショー番組の「サタデー・ナイト・ライブ」ですら同アプリの成長を取り上げ、ビーリアル風のスキットを10月上旬に放送した。

こうした動きを念頭に、マーケティング集団のブランニュー(Brand New)はビーリアルのKPIと投資の機会に関して、アーリーアダプターを目指す少なくとも1社のクライアント(社名非公開)との交渉を活発に進めている。「我々の目標は、アーリーアダプターとなり、他社に後れを取らないうちに(ビーリアルを)どうすればビジネスチャンスに変えられるかを理解することだ」と、ブランニューの共同創業者でCEOのアリッサ・コンベルティーニ氏は言う。

ビーリアルのアプリには現段階でさまざまな制限があり、TikTokが行ったような全面的な広告導入にビーリアルが踏み切るかどうかを判断するのはまだ時期尚早だと、IMGNメディアのマリン氏は言う。ただし、ビーリアルは近い将来、ブランドにとっての参入ハードルを下げるなんらかの機能を組み込むようになるというのが同氏の考えだ。ビーリアルはここ数週間、クライアントがIMGNメディアに持ちかける話題のひとつだった。同社は現在、最初の質問に基づいて、あるクライアントへの提案を作成中だという(マリン氏はクライアントの社名を明かさなかった)。

「これは話題のアプリがいつも通る道であり、現在の関心が実際のビジネスに結びつくかどうかは未知数だ」と、マリン氏は語った。

[原文:Surging photo-sharing app BeReal has brands like Chipotle, e.l.f. Cosmetics rushing to understand platform’s appeal with Gen Z

Kimeko McCoy(翻訳:的場知之/ガリレオ、編集:黒田千聖)

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